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新技術規則から生まれた“トヨタTF105”
2005.01.08(土)
パナソニック・トヨタ・レーシングの“トヨタTF105”は、2005年シーズンに実施される、改訂された新技術規則に適合して製作された。とくに、空力に関わる新たな制限は、常に速さを増し続けるスピードを抑制しており、風洞で実施される作業が重要となる。

「シャシーに関わる最も大きな変更点は、空力といえる」というシャシー部門のテクニカル・ディレクターであるマイク・ガスコインは、「とくに、フロントウィング、リアウィング、そしてディフューザーが大きく変わっており、この新たな制限に挑戦するために、昨年は、風洞での作業に精力を傾け、作業に集中してきた。“トヨタTF105”が、我々の仕事の成果を発揮することを望んでいる。新技術規則により、当初、25%のダウンフォースを失うことになったが、我々は、開幕戦オーストラリアGP、そして、2005年シーズンを通して、ダウンフォースの回復へと努力を続ける」と語った。

バルセロナで発表された“TF105”は、今後長期に渡って続けられていく、開発の初期段階に過ぎない。チームは既に、3月に開幕戦として行われるオーストラリアGPへ向けた、全く新しい空力パッケージに取り組んでおり、それは“TF105”の外観を大きく変えるレベルのものになるだろう。新しいレギュレーションが初めて実戦で施行される、開幕戦メルボルンへ向けて最適化された“TF105”を作り出すために、トヨタはコンピュータを駆使し、出来る限り完成度を上げることを目指している。そしてその分野において、すでにかなりの改善を成し遂げている。

F1世界選手権への挑戦4年目となる2005年シーズンへ向けて、上位チームとの差を縮めるために、ケルンの風洞では、50%のモデルを使用して徹底的に空力を追求し、最大性能を発揮するシャシーデザインを生み出した。これは、シャシー部門と空力部門の大幅な改善により成し得た。

「2003年シーズンの終盤以来、我々は、ただ、単に多くの部品をテストの場に持ち込むのではなく、結果の精度を上げるためにも、風洞での作業に重点を置き、シャシー部門の再構築をはかってきた」とマイク・ガスコインは加え、さらに、「シャシー部門は、TF104が発表された後、TF104およびTF104Bを開発するグループと、チーフ・デザイナーであるグスタフ・ブルナーの下で、TF105の開発に専念する、2つのプロジェクトグループが作られた。

チームは、2004年シーズンの半ば7月のドイツGPに改良型TF104Bを投入したのを機に、TF104Bの開発を凍結する戦略的決断を下した。そして、マイク・ガスコインは、シーズン後半へ向けてリスクは生じることを承知の上で、TF105の開発に、集中して精力を傾けた。しかし、そのリスクは、2005年への大きな成功に繋がると信じたからにほかならない。「残念ながら、最終戦ブラジルGPまで続ける予定であったTF104Bの開発を凍結せねばならなかった。しかし、昨シーズンは苦戦を強いられたが、その分、早く2005年の新技術規則改定に対応することが出来、今はライバルに比べて、より優位に立てたと確信している」と語った。

チーフ・デザイナーのグスタフ・ブルナーは、「パナソニック・トヨタ・レーシングの短い歴史の中で、初めて、チーム内のオペレーションとテストの効率に集中した。“トヨタTF105”は、これまでの新型と異なり、多くの部品を踏襲している。我々は、テストの内容を濃くするために、多岐にわたる方法を注意深く適用し、分類を行い、新たな戦闘力を持ったパッケージで開幕戦へと臨むための貴重なデータを得ることが出来た。

グスタフ・ブルナーは、「メカニズム的には、進化型である。TF104からTF104Bへは車重を軽減するために多くの努力を注いだ。そして、TF105は、104Bからごく自然に進化を遂げた。しかし、大きな違いが見られるのは細部であり、メカニカルな部分で、非常に手の込んだ改良を加えている」と語る。

シャシーとサスペンションのコンセプトは、最前線を見据えたトヨタが、1レース1セットの新しいタイヤ規制へ向けて、起こり得る戦略の可能性全てを考慮し、2004年シーズン中盤以降から開発を開始。タイヤ寿命の最適化においては、やはり電子システムが大きな役割を果たした。

「空力面は別として、他の全ての分野において、最新の注意を払ってデザインし、改良してきた。そして、シャシー、エンジン及びトランスミッションのパッケージ全般について、FIAの安全要求事項に合わせて剛性の向上を続けるとともに、軽量化と重心の最適化を行ってきた」とマイク・ガスコインは加えた。
「グスタフ・ブルナーと彼のデザインチームは、全体的なメカニカルパッケージを見直し、我々も昨シーズン弱点の一つだと感じていた車体後部に特に注力した。“TF105”は、車体後部の剛性という点で大きく進化している。また、このプロセスの中で、より軽く、より剛性の高いギアボックスを生み出すことにも集中した」

さらに、「もう一つ付け加えるならば」とマイク・ガスコインは続けた。「我々は過去12ヶ月の間に、シャシーとエンジン部門における作業プロセスの改善も行っており、これは“TF105”をエンジンと一体化してまとめあげるための重要なステップをもたらした。エンジン部門のテクニカル・ディレクターであるルカ・マルモリーニと共に、エンジンとの一体化という面で密接に開発を続け、かなり大きなパッケージ改良を行ってきた。全ての場面で妥協することなく、総合的な性能を得るためには、シャシー部門とエンジン部門が高度に協力し合うことが必要であり、それは、トヨタのように全てを一つ屋根の下で開発するという哲学の元でしか実現できない」

2005年シーズンは、1基のエンジンで2レースを戦うという新規則の下、エンジン部門は、さらなる挑戦を課せられることとなる。2004年シーズンに、すでに“RVX-04”エンジンの寿命は、400Kmから800Kmへと延ばされてはいたが、エンジン部門のテクニカル・ディレクターであるルカ・マルモニーニと、彼のエンジニアチームは、2005年シーズンへ向けて、再び、信頼性を2倍にすることを強いられた。その成果として、新しく作られた“RVX-05”エンジンは、約1500Kmの寿命を達成して、2回にわたるF1GPを戦い抜ける様にデザインされている。

「継続的に改善を続けるというトヨタの姿勢が、新しいエンジン開発の骨子となっている」と言うルカ・マルモニーニは「エンジン規則に対応するための“RVX-05”エンジンは、“RVX-04”エンジンの発展型といえる。クランクシャフトやエンジン・ブロックのように、開発に時間を要する部分を修正するには、十分な時間が必要であり、我々は、この2レース用エンジンの開発を、早い時点から手がけ始めた。全ての部分について、2回のF1GPを戦い抜くことを保証するために、エンジン各部の耐久信頼性のテストが必須であった。2004年シーンの様に、我々は、エンジン性能を損なわずに、エンジンの寿命と走行距離を2倍にする必要があった。2004年の基本部分を踏襲した “RVX-05”エンジンのハイブリッド型は、微調整のための十分な時間と“トヨタTF105”が走り出すまでに、十分な開発の余裕をもって、2004年8月に火入れが行われた。ハイブリッド型による最初のサーキットでのテストは、とても手応えの得られるものであり、 “RVX-05”エンジンが、2005年シーズンのF1GPで最高のエンジンになるものと確信している」と語った。

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