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トヨタTF105新車発表会レポート
2005.01.08(土)
バルセロナの古い駅を舞台に、2005年F1新車の先陣を切ってお披露目

例年、いち早く新車を発表するパナソニック・トヨタ・レーシングだが、今年もどのチームよりも早い年明け早々の1月8日に2005年シーズン向けの新型車となるTF105を発表した。これまではチームの本拠地ケルンで行われることが多かった新車発表会だが、今年はスペイン・バルセロナで行われた。この後、ヘレスで行われる合同テストに参加するため、場所的に近いバルセロナでのお披露目となったのだ。スペインは冬でも比較的暖かく、そのためシーズンオフのテストはほとんどがバルセロナやヘレスで行われるが、この日も好天に恵まれ、暖かな1日となった。

会場となったのはバルセロナの中心にある、古い駅「フランシア駅」。1920年ごろに建てられたという駅舎と最新のF1マシンとのコラボレーションは、F1マシンを見慣れた記者たちの目にも新鮮なイメージとして映った。

プレゼンテーションの会場となった駅のホールには、特設ステージが作られ、その前には世界中から関係者、記者らが集まった。チームからの発表では150名を招待したということだったが、実際にはそれよりも多くの人が集まり、会場には人が溢れんばかりの状態となっていた。日本からもジャーナリストや新聞記者らが多数訪れた。

正午。司会者の声によりステージに呼ばれたのはTMG会長の冨田務と社長のジョン・ハウエットだった。冨田TMG会長は 「2005年シーズンに向けて、ケルンの本拠施設内の適切な見直しを行った。特に、風洞と工作加工部門は大きく進化した。 工場とサーキットの連携はさらに良くなりつつある。これは、F1GPの週末に最大限のパフォーマンスを発揮できることを意味する。 このような、短期間で改善を図れることは、当初から、自らF1カー全てをひとつの屋根の下で開発するという決断によりなしえることと言える」 とここまでの地道な改善が形になりつつあることを強調した。

社長のハウエットは、2005年からの大幅なレギュレーション変更に対して、「2レース1エンジンはコスト低減において有効だ」とそれを歓迎するコメントを述べ、一新したドライバーについては「ヤルノ・トゥルーリとラルフ・シューマッハーが加わったことは、我々にとっても、さらにパフォーマンスを上げる、良い刺激になる」と語った。さらにハウエット社長は1月23日にドイツ・ケルンのTMGの工場を一般のファンに有料で開放し、その入場料をスマトラ沖地震・津波の義援金とすることを併せて発表した。

TMGトップのふたりに続き、ステージに上がったのは、トヨタTF105を作り上げたふたりのテクニカルディレクター、シャシー部門のマイク・ガスコインとエンジン部門のルカ・マルモリーニだった。

「TF105は、昨年の7月から風洞でのテストを始めた。2005年のレギュレーション変更が伝えられた当初から、我々はその成り行きを予想し、作業を進めてきた」とガスコインが熱く語れば、「2004年シーズン中に、エンジンの信頼性を高めるための、いくつかの部品を組み込んで走らせている。新しいレギュレーションに合わせたエンジンを作り上げることは楽しく、興味深い技術への挑戦だった」とマルモリーニは物静かに、しかしはっきりとした口調で語った。

続いて、司会者がヤルノ・トゥルーリとラルフ・シューマッハーの名前を呼ぶと、会場内には大きな歓声と拍手が沸きあがる。そして、舞台の袖から、レーシングスーツ姿のふたりがステージに上がった。今年のパナソニック・トヨタ・レーシングのレーシングスーツはデザインがリニューアルされ、肩から腕にかけての部分がグレーとされていた。

「私は、大きな可能性を秘めたチームであることを認めて、パナソニック・トヨタ・レーシングへと加入した。ただ、昨年のポジションを見てもわかるとおり、一歩一歩着実な進歩が必要だと思う。トヨタはトップへ辿り着くための情熱を持っているが、それには時間も必要だ」とトゥルーリは語った。

初めてパナソニック・トヨタ・レーシングのレーシングスーツに袖をとおしたラルフ・シューマッハーは、それに違和感を感じさせることはなかった。「私の2005年シーズンの目標は、コンストラクターズ・チャンピオンのトップ5にチームを導くことだ。そして2006年、2007年へと成功の道を学び続けなければならない。その時、我々の真の成功がやってくる」と抱負を語った。

最後にステージに上がったのはテストドライバーを務める、オリビエ・パニスとリカルド・ゾンタだった。「トヨタとチャレンジを続けることに非常に興奮を覚え、誇りに思っている」とパニスが語れば、ゾンタは「金曜日に3台目のクルマを運転することは、とても重要なことであり、週末の成果を左右する。これまでのレースとテストの経験を活かして、2005年シーズンに、チームがより上位のグリッドが確保できるように努力を惜しまない」と語った。

1時間ほどのプレゼンテーションが終わると、マシンが飾られる駅のプラットホームにジャーナリストは移動。プラットホームの乗り場の数字は、ゼッケンと同じ16と17に張り替えられていた。その奥には、低いステージが作られ、その上には赤い布で覆われたトヨタTF105が置かれていた。布の隠されている状態でも、低くコンパクトな車体がわかる。

トヨタTF105の両側にトゥルーリとラルフが立ち、赤い布を捲り上げていく。徐々にその姿を現すトヨタTF105。その印象は、これまでのトヨタTF104とは大きく違っていた。レギュレーション変更に伴うウイング位置の違いもあったが、それだけではなく後ろに向かってギュッと絞り込まれたサイドポンツーン、コンパクトなエンジンカウルなど、より洗練されたデザインだということは誰が見てもわかった。その完成度の高さが伝わってくるような仕上がり具合だった。15分ほどのフォトセッションの後も、集まった記者、関係者たちはF1カーのそばから離れようとしなかった。

例年よりも簡素なスタイルの新車発表会となったが、その印象は決して弱いものではなかった。むしろ、無駄な演出がない分、レースへの意気込みはより強く伝わってきた。そして何より、F1カーの大幅な進化が見て取れた。

「このクルマはまだまだシェイクダウン仕様なのです。すでに開幕戦までのアップデートのパーツを用意してあります。オーストラリアGPに投入するTF105はさらに進化しているはずです」。トヨタTF105の横で記念撮影を終えた、高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクターはさらに力強く語っていたのだった。

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