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![]() フランスGP レースの舞台裏
2007年7月2日(月)●さようなら、マニクール 高速シケインをはじめとする攻め甲斐のあるレイアウトは多くのドライバーに好評だったのですが、コースのロケーションはそれほど評判がよかったわけではありません。ヌベール地方に位置するこのサーキットは、牛が放牧されている原っぱに囲まれており、この上ないほど静かで、「ホテルも夜の楽しみもない」と不満を口にするパドックの面々もすくなからずいたのです。 パナソニック・トヨタ・レーシングのシャシー部門シニア・ゼネラル・マネージャーでフランス人のパスカル・バセロンはこのサーキットがお気に入りなのですが、その彼も来シーズン、チームと共にここに戻ってくることはなさそうです。というのも、どうやら2008年のレースカレンダーにこのレースが含まれることはなさそうだからです。 パスカルは、「みんな、この場所が本当に大好きだからね!」と冗談を言いつつ、パドックの面々がこのニュースをどのようにお祝いするのか“興味津々”だったと語っていました。 そんななか、トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム(TDP)の一員である小林可夢偉は、マニクールをいい思い出と共に記憶することになるでしょう。彼は土曜日に開催されたユーロF3シリーズの一戦で初優勝を飾ったのです。 冬の間、TF107の開発テストに参加していた彼は、チームの多くのスタッフにも顔なじみで、F3で素晴らしいパフォーマンスを発揮した後に彼がモーターホームとガレージを訪れた際には、みんなから祝福と握手攻めにあいました。 ASMフォーミュラ3をドライブする20歳の彼は、実力で勝ち取った今回の優勝を本当に喜んでいました。「優勝はとてもうれしい。レースではグロージャンがずっと背後から迫り、プレッシャーをかけ続けていたのでキツかった。ミスはひとつも許されなかったし、もしひとつでもミスしたら優勝が逃げていく状況だった」 ![]() フランスGPの週末は、TDPドライバーの3人が同じサーキットで競争する珍しい機会となりました。ユーロF3の可夢偉のほか、GP2では中嶋一貴と平手晃平が出走。3人は一緒に写真に納まり、また木曜日には日本人記者を相手に会見を開きました。
●ライバルチーム周辺で見つけたニュース また、彼の運転手役を務めたのもただのドライバーではありません。なんと7度の世界チャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハーがステアリングを握り、しかもそのクルマは彼自身が所有する世界に30台しかないフェラーリFXXだったのです。 ジダンは、「すごい経験だった。コーナーを曲がる際、ミハエルのブレーキングがあれほど遅いとは信じられなかった。一般道であんなことは試したくもないけどね!」と語りました。 ただし今回のこの走行は単なるお遊びだったわけではありません。共に2006年にプロスポーツ界から引退したふたりのチャンピオンは、脳の病気を克服するために活動している脳延髄障害研究所への寄付を募り、またこの病気への人々の意識を高めるために今回の走行を実施したのです。
●レースリポート 土曜日の予選の結果、ヤルノが8番手、ラルフが11番手からのスターとなり、チームは2台そろってのポイント獲得に期待していました。 しかし、ヤルノはルノーのヘイッキ・コバライネンと接触してしまい、彼のレースはわずか1周で終わりになってしまいました。好スタートを切ったヤルノは、周囲のクルマと順位争いをしながらヘアピンに近づいていきました。ヘアピンのブレーキングで各車の間隔が詰まり、6位のヘイッキ・コバライネンのクルマの後部にぶつかってしまったヤルノは、フロントウィングを損傷してしまいます。 ![]() ヤルノは何が起こったのか、正直に話してくれました。「あれはレースにつきもののアクシデントだった。1周目は各車がお互いに接近していて、正直に言うとヘアピンへの進入で判断を誤ってしまった。誰かに仕掛けていったわけではないが、とにかくブレーキングが遅すぎて、コバライネンに追突してしまった。彼にはすまないと思う。彼のレースを台無しにしてしまったし、それに自分のレースもね。残念なことに私はミスを犯してしまったんだ」 ![]() それでもヤルノは今回の落胆を過去のものとして、すでに今週末のイギリスGPへと気持ちを切り替えています。「自分たちにはいい戦略があり、それゆえポイントを獲れるだろうと自信を持っていただけに本当に残念だった。でも次のレースは目の前だし、チームの全員が懸命に仕事をしているんだから、シルバーストーンではもっといい結果を得られると確信しているよ」 いっぽうのラルフはスタート直後の順位争いで2つ順位を落としたものの、その後激しく追い上げ、その甲斐あって燃料補給とタイヤ交換を行った28周目の1回目のピットストップでは10位にまで再浮上しました。 その後、前方を遮るクルマが皆無の状態で走行できたラルフはTF107の本来のパフォーマンスを発揮。好ラップタイムを記録しながら、ポイント圏内を走る各車との差を縮めていきました。53周目に最後のピットストップを終えたラルフは、その後も安定したパフォーマンスを発揮し10位でフィニッシュとなりました。 今回レースを支配したのはフェラーリの2台で、2回目のピットストップでチームメートのフェリペ・マッサをかわしたキミ・ライコネンが優勝しました。ここまで2戦連続優勝だったチーム・マクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトンは3位に入り、これで今シーズンの全レースで表彰台を獲得している記録をさらにひとつ伸ばしました。 ドライバーズ選手権ではトップに立つハミルトンが、今回7位に終わったチームメートのフェルナンド・アロンソとの差を14ポイントへと広げました。ハミルトンは64ポイントとなり、いっぽうで今回優勝したライコネンは42ポイントとなっています。コンストラクターズ選手権ではチーム・マクラーレン・メルセデスが114ポイントでトップ。フェラーリが89ポイントで追走し、パナソニック・トヨタ・レーシングは9ポイントで6位のままとなっています。 |