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イギリスGP レースの舞台裏
2007年7月9日(月)

●地元の大学のサッカーチームと対戦!
週末のレースを前に、パナソニック・トヨタ・レーシングのメカニックたちがシルバーストーンの地元ノーサンプトンにある大学のサッカーチームと試合を行いました。フィールド脇からお馴染みのイギリス国歌が聞こえてきたわけではありませんが、それでも彼らの競争意欲が萎えることはありませんでした。

勝負はかなりの接戦だったのですが、大学生たちにはこれからレースを控えたスタッフの主要メンバーたちにケガを負わせないよう指示が出されていました。そしてうれしいことに(ちょっと驚きでもあったのですが)われわれがゲームに勝つことができたのです!

また、今週末のシルバーストーンはトヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラムの一員である中嶋一貴にとって、うれしい結果となりました。ウィリアムズ・トヨタでテストドライバーを務める彼は、DAMSチームから出走しているGP2で、2レース連続3位表彰台を獲得したのです。

ライバルチーム周辺で見つけたニュース
マクラーレンとフェラーリのタイトル争いは、キミ・ライコネンがマニクールに続いて連勝して10ポイント獲得したため、ますます激しくなってきました。ライコネンは2回目のピットストップの後トップに浮上し、2度ワールドチャンピオンを獲得しているフェルナンド・アロンソを最後まで抑え切りました。ポイント争いのトップに立つルイス・ハミルトンは初めてのイギリスGPでポールポジションを獲得し、母国ファンを喜ばせましたが、レースではライコネンとアロンソの速さについていくことができませんでした。それでも彼は表彰台に昇り、これで新人としてデビューして以来、表彰台獲得率100パーセントという素晴らしい記録を今回も維持しました。この結果、ハミルトンは70ポイント、アロンソが58ポイント、ライコネンが52ポイント、マッサが51ポイントとなっています。

元BARホンダのチーム代表だったデビッド・リチャーズは、プロドライブ社のF1プロジェクトに関する発表が今回は遅れたものの、まだ実現可能だと土曜日に語りました。「発表の時期が決まっているわけではないし、われわれは現在、いくつかの細かな点について最終確認を行っている段階だ。最終的な“ゴー”の合図がどれほど遅い時期になるのか、みんなは驚くかもしれないけどね」とリチャーズは話していました。プロドライブは2008年にマクラーレン・メルセデスのカスタマーシャシーを走らせるものと予想されています。

レースリポート
F1世界選手権第9戦イギリスGPの予選で、パナソニック・トヨタ・レーシングは素晴らしいパフォーマンスを披露しました。しかし残念なことにレースでは期待通りとはいかず、2台のトヨタTF107はそろってリタイヤに終わりました。ラルフ・シューマッハーは22周目に左前輪を固定する部分にトラブルが生じレースを去りました。またヤルノ・トゥルーリは残り17周の時点でクルマのハンドリングがおかしくなっていると伝え、チームもテレメトリーで不審な点を確認できたためリタイヤしました。

ラルフは彼にとって今シーズン最高の予選順位となる6番グリッドからスタートすることになり、また、最初のフォーメーションラップ終了時に4番グリッドのフェラーリのフェリペ・マッサが隊列を離れたため、レースでも上位を狙えるかと思われました。しかし、スタートで出遅れたラルフはルノーの2台とBMWザウバーのニック・ハイドフェルドにかわされてしまいます。

ラルフは「コバライネンがピットインした際、7位に浮上し、次の周回に入っていった。第1スティントを長めにしていた後続車とはかなりの差があったため、いい結果が手にできると思っていた。ところが複合コーナーに入ったとき、突然ホイールに問題が生じ、すぐにリタイヤしなければならなくなった。この結果は言うまでもなく残念だが、上位のクルマと競い合えたことと予選で再び2台そろってトップ10入りできたのはポジティブなことだ。この点はケルンと日本で懸命に仕事をしてくれているみんなにとって、励みになると思う。特に、2週間後のニュルブルクリンクはチームにとって実質的なホームレースだからね」

チームメートのヤルノ・トゥルーリは予選が終わってもレースカーの感触に満足できていませんでしたが、18周走行した第1スティントではトップ10をずっと維持していました。しかし、グリップとバランスの問題を抱えていたため、チームは第2スティントの後、その原因を探るため早めに彼をピットへと戻しました。

「私のラップタイムはコンペティティブではなかったし、クルマのハンドリングが非常に難しかった」と説明するヤルノ。「ラルフよりもタイヤの摩耗がかなり激しく、週末の間ずっと同じ症状だった。なんとかレースを続けたものの、状況は悪くなる一方だった。2回目のピットストップの後もまったくグリップが得られなかった。チームがテレメトリーに想定外のデータが記録されていることに気づき、そのため2回目のピットストップの10周後にリタイヤした。この問題は調査の必要がある。私にとっては忘れてしまうべきレースだった」

レースではスクーデリア・フェラーリ・マールボロのキミ・ライコネンが2週連続優勝を達成し、これでチームメートのフェリペ・マッサを1ポイント上回りタイトル争いの3位に浮上しました。またボーダフォン・マクラーレン・メルセデスのフェルナンド・アロンソとルイス・ハミルトンが2位と3位でした。

シャシー部門シニア・ゼネラル・マネージャーのパスカル・バセロンは次のように語っています。

「シルバーストーンでは上々のテストができ、TF107は金曜日の1回目のフリー走行からそのまま好調を維持していた。われわれのクルマは、カナダやインディアナポリスよりも、マニクールやシルバーストーンのようなダウンフォースを必要とするコースにより適している。だが、2戦続けてクルマの本当のポテンシャルを発揮することはかなわなかった。技術的な問題に見舞われるときはいつも落胆してしまうものだが、2台のクルマに起こった今回の問題についてわれわれは徹底的に調査する予定だ。ニュルブルクリンクではまた強さを取り戻せるようにしたい」