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Rd11. Grand Prix of France
grand prix
新居章年リポート
2006年7月16日(日)
 

いつも応援ありがとうございます。後半戦へと入り、再びヨーロッパへと戻ってきたフランスGPの報告をいたします。

超高速の前戦アメリカGPとは違い、ダウンフォースが必要なマニクールではフロントウイングに追加ウイングが設定されるなどの変更が加えられた。  

●今度こその思いで2台上位フィニッシュを目指す
北米での2連戦を終え、ヨーロッパに戻ってきました。コースの特性が過去2戦に比べてハイダウンフォースを要求しますので、それに合わせた仕様のフロントおよびリアウィングを持ってきています。また、アメリカも相当暑かったのですが、フランスは例年暑いので、エンジンやブレーキなどの冷却関係は余裕のある仕様を準備してきました。

レースのたびに少しずついろんな部分で改良を加えてきましたが、シーズンの折り返しを過ぎた段階で振り返ってみると、シーズン開幕当初に比べてだいぶパフォーマンスが上がっていると感じています。開発は順調です。

●暑さに負けず順調にプログラムを消化したフリー走行
金曜日の走行でヤルノがヘアピンで止まりきれず、おっとっと、というようなことがありましたが、それ以外は順調で、予定どおりプログラムをこなすことができました。ヤルノの一件はコースに出た最初の周だったのですが、ブレーキをロックさせてグラベルまで出てしまいました。ピットに戻ってローターとパッドを交換し、周回を続けました。トラブルというより、ブレーキが冷えていたね、という感じですね。

  ここフランスGPは暑い時期での開催となるため、ブレーキをはじめとする車両への熱対策だけでなく、ドライバーも暑さとの戦いとなる1戦である。

いつものとおり、ふたりのドライバーでタイヤの比較をやりましたが、持ち込んだタイヤは「良い」という結果ですね。手元の計測で路面温度は49℃と、思っていたより高かったのですが、2種類持ち込んだどちらのスペックも安定していました。ブリヂストンさんと一緒に摩耗やグレーニングの状態を確認しながら、予選までにスペックを決めることになります。

1日の走行を終え、やはり最後のシケインとターン6~7の縁石の乗り越えが難しいという印象です。他のコーナーはあまり縁石が高くないのですが、この2カ所は高く、車体が飛び跳ね、着地した際にボトミングします。そのボトミングをどのあたりで折り合いをつけるかが課題でしょう。

●好調が持続、2台が予選トップ5を確保
この日の結果は良かったと言っていいでしょう。ヤルノが今シーズンこれまでの予選最高位と同じ4番手、それにラルフが5番手に入ってくれましたから。トヨタはこれまでなかなか2台そろって完走できませんでしたから、レースでは2台そろって完走してほしい、そのうえでポイントを取ってほしい、という気持ちでしたね。

ブリヂストンタイヤとのマッチングが非常によくなり、持ち込まれた2仕様とも感触が良かったため、レースに使用するスペックを選ぶ際に悩むほどだったという。  

予選の結果についてですが、これは金曜日、そして土曜日午前中のプラクティスの結果から、十分に手応えはありました。4番手、5番手は、期待どおりのポジションです。金・土の2日間をトラブルなくすごせましたし、暑いなか、ふたりのドライバーがよく頑張ってくれたと思います。また、タイヤがうまくいったことに対し、ブリヂストンさんにも感謝しなければと思っています。

Q1(予選第1ピリオド)はユーズドタイヤを履いたままでも十分、Q2に進めるタイムは出せたと思いますが、ニュータイヤでの確認もしたかったのでセッション終了間際にもう1回タイムアタックを行いました。Q2はいつもは2アタックするのですが、今回は最初のアタックでいいタイムが出たので、2回目のアタックのための準備をし、待機していました。結局、大丈夫そうだということで、追加のアタックをせずに済んでいます。今回は余裕がありました。

●今後の自信につながる3戦連続ポイント獲得
3戦連続でポイントを獲得できたのは、我々としても自信につながりますし、いい結果だと思います。ただ、今回もずっと2台そろって完走し、結果を出したいと言い続けていましたので、それが実現できなかったのは残念で仕方ありません。

  表彰台圏内でヤルノ、ラルフそろっての走行となったレース序盤だったが、ヤルノは惜しくもリタイア。そのポジションを引き継ぐ形でラルフが4位入賞。悔しさもあるが、連続 して上位フィニッシュできたことで大きな自信につながった。

ヤルノはブレーキの配管系に漏れがあって、リタイヤすることになりました。走行中にブレーキを踏んだ際、ペダルが深くなる異常を感じたということで、ピットインし、タイヤを交換してコースに戻ったのですが、やはりダメだということで次の周にピットに入ってきました。

第1スティントは順調でした。第2スティントに入った直後から「パワーダウンしている」と訴えてきましたが、これについてはTMGに戻ってからきっちり調べるつもりです。レースの後でエンジニアが調べた範囲ではとくに異常はありませんでした。ただ、2レース目のエンジンですので、距離を走っていることは間違いありません。

課題だったスタートについては、2台がそろってポジションを守ることができました。第1スティントはほかのクルマより長く走れるだろうと思っていましたし、2回ストップで走る作戦でいましたので、上位に付いていけば、ほかよりピット回数が1回少ない利点を生かし、いい結果になると予想していました。

レースペースもそこそこ良かったと思います。うまくいけば上位3台のうち1台はかわせるのではないかと思っていたのですが、ラルフにもトラブルが発生してしまいました。1回目のピットストップの際にリアタイヤの交換に手間取り、順位を落とすことになってしまいました。その後もルノーの(ジャンカルロ)フィジケラに引っかかってペースを上げられずにいたのですが、2回目のピットストップの際の動きがうまくいき、元の順位に戻ることができました。レースの進め方という観点で振り返れば、いいレースができたと思います。

ヤルノのトラブルは本当に残念でしたが、クルマの性能は着実に進歩しています。そのことがチームの明るさにつながっています。次のホッケンハイムはTMGに近い地元のレースですので、次こそ2台そろって完走し、いい成績を取りたい。そのために2週間頑張りますので、応援よろしくお願いします。

マニクールでの新居章年。2戦連続の4位入賞にしっかりと進化の手応えを感じられたレースだった。