チームメートのラルフ・シューマッハは1周目にレッドブルのデビッド・クルサードと接触し、ノーズコーンを交換するためピットストップを余儀なくされたものの、その後猛追を見せ、最後は9位でフィニッシュした。
ヤルノの今週末は、金曜日のクルマのトラブルから始まり、土曜日にはエンジントラブルに見舞われたため予選にTF106Bのスペアカーで臨むなど(エンジン交換のために10グリッド降格)不運が続いていたが、その状況から可能な限り最高の結果を引き出したと言えるだろう。
ドイツGP直前にチームとの契約を3年延長したばかりのヤルノは、スタートから3周たらずで11位にまで順位を上げるなど、驚異的なドライビングを見せてくれた。
「今日は自分があきらめないドライバーだということを証明できたと思う」と話すヤルノ。「ここでのクルマのパフォーマンスは前戦のマニクールのときと同じくらい高いレベルにあると自信を持っていただけに、金曜と土曜の2日間はトラブルが続いて落胆していた。タイヤは今回も非常に良かったし、それに私は最後尾からスタートしなければならないときでもレースでは常にポイントを目指している。ルノーの直後でフィニッシュできたという事実は、われわれのパッケージがここ最近改善されてきていることの証明だと思う」
ラルフは、予選の最終セッション(Q3)でマクラーレンのペドロ・デ・ラ・ロサと接触し、結果的に8番グリッドとなったが、本来ならさらに上位で予選を通過できる潜在能力があったはずだと考えていた。
「今週末のヘアピンで私は不公平なくらい何度もトラブルに見舞われてしまった、と言えるんじゃないかな!」と笑みを見せるラルフ。「レースの1周目はいつものように何台ものクルマが順位争いで入り乱れて忙しかったね。私はクルサードと絡んでしまって、ピットインを余儀なくされた。その後、ピットレーンでの速度違反のためドライブ・スルー・ペナルティを課されてしまい、またもや予定外のピットインをしなければならなかった。今日は自分の日じゃなかったということだろう。だが、4回もピットインしながらもポイント圏内からわずか12秒遅れでフィニッシュできたわけで、そこにわれわれのクルマの速さが表れていると思う。われわれは間違いなく上昇してきているね」
レースではスクーデリア・フェラーリ・マールボロのミハエル・シューマッハーが母国のファンの前で3連勝を達成。タイトル争いでは、残り6レースにしてフェルナンド・アロンソとの差を11ポイントにまで縮めた。またコンストラクターズ選手権でも、フェラーリとルノーの差はわずか10ポイントとなっている。フェリペ・マッサはこの3戦で2度目となる1-2フィニッシュをフェラーリにもたらした。いっぽうポールポジションのキミ・ライコネンは、3回ストップ戦略を敢行し表彰台の最後のポジション(3位)を獲得。ラッキーストライク・ホンダのジェンソン・バトンが4位、ルノーのアロンソとジャンカルロ・フィジケラが5位と6位、7位のヤルノの後ろの8位はレッドブル・レーシングのクリスチャン・クリエンとなった。
パナソニック・トヨタ・レーシングのシャシー部門シニアゼネラル・マネージャー、パスカル・バセロンは次のように述べている。「今週末は必要十分なほどのアクシデントに見舞われたと言っていいだろう。だがヤルノは素晴らしいレースをしてくれた。ラルフのほうは非常にいい走りをしてくれたものの、1周目の接触の後、ポイント獲得の可能性はまったくなかった。予選を走る前、当然のことながらヤルノには10グリッド降格のペナルティが課されることがわかっていた。そのため、ヤルノにとってはレースで追い抜きができることが重要だった。そこでわれわれはウィングをすこし寝かせ気味にした。土曜日にスピードトラップで最速を記録したのはそれが理由だ。レースでのわれわれのパフォーマンスを見ていると、非常に励みになる。ラルフとヤルノはレース中の最速ラップで4位と5位となり、ふたりより速かったのは表彰台に上がった3人だけだったんだからね。来週のハンガリーから始まる残りの6レースでは、力強いパフォーマンスを何度か期待できるのではと思っている」
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