全18戦で行われる今シーズンのタイトル争いだが、第13戦目となるこのレースでは、その主役であるフェルナンド・アロンソとミハエル・シューマッハーのふたりが、そろっていつもとは違う予選結果に終わった。予選の各セッションで2秒のペナルティを加算されたふたりは、共に後方グリッドからのスタートとなる。アロンソは金曜日のフリー走行でロバート・ドーンボス(レッドブル)に対し危険な行為をしたほか、黄旗を無視したため、またミハエル・シューマッハーは土曜日午前中のフリー走行中、ジェンソン・バトン(ホンダ)のエンジンブローにより赤旗となった際に他車を追い越したため、共に予選各セッションのタイムに対しペナルティとして2秒加算された。
ハンガロリンクのスターティンググリッドのグリップの低さは有名だが、路面がきれいな奇数グリッドはスタートで有利になることが多々ある。残念ながらトヨタの2台のTF106Bの場合、バトンが10グリッド降格となるため、本来であれば7位と9位(共に奇数グリッド)からのスタートだったのが図らずも6位と8位からのスタートとなってしまった。
例年であればコースの路面温度は50度を超える高温となるのだが、今回は予想よりも低くなったため、どのチームもタイヤに問題を抱えてしまっている。
「全員がそろってタイヤのささくれ(グレイニング)の問題を抱えている」と説明するヤルノ。「そのせいでクルマのセットアップはちょっと勘に頼ることになった。クルマはいいバランスに仕上がっているとは思えなかったし、予選ではグリップが不足していた。フロントウィングを上げてみたものの、特に効果はなかったね」
ラルフが続ける。「タイヤに関してはみんなが同じ問題を抱えていたと思う。だがレースに向けてわれわれはいい戦略を持っている自信があるし、予選順位に関しては喜べる結果だと思う」
ポールポジションは2戦連続でチーム・マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネン(1分19秒599)が獲得。2位はスクーデリア・フェラーリ・マールボロのフェリペ・マッサ(1分19秒886)、3位はラッキーストライク・ホンダ・レーシングのルーベンス・バリチェロ(1分20秒085)だった。バトンの代わりに4番グリッドとなったのは2台目のマクラーレンに乗るペドロ・デ・ラ・ロサ(1分20秒117)、5番グリッドはウィリアムズF1チームのマーク・ウェバー(1分20秒266)、6番グリッドのラルフと8番グリッドのヤルノに挟まれる形の7番グリッドにはルノーのジャンカルロ・フィジケラ(1分20秒924)が入った。また、ジャック・ヴィルヌーヴの代わりにBMWザウバーに乗り今回F1デビューを果たしたロベルト・クビカが予選タイム10位(1分22秒049)で9番グリッドとなった。
パナソニック・トヨタ・レーシングのシャシー部門シニアゼネラル・マネージャー、パスカル・バセロンは次のように述べている。「わずか1週間前にこのレースを睨みながら私は“ハンガリーで予想よりも気温が低くなったら何が起こるのだろう”と思っていたのだが、この状況はちょっと皮肉だね。実際に何が起こったかと言えば、タイヤが予想していた温度の範囲の中で使えなかったため、グリップレベルが下がり、通常よりさらにクルマが滑りやすくなってしまった。そのせいでいろいろと問題が起こり、タイヤにはささくれができてしまった。タイヤの表面からゴムがはがれ落ち、ドライバーはアンダーステアに苦しんだ。ただし、その摩耗がタイヤの表面全体に均一に広がっているときは、問題はすこし改善されている。明日のレースでは、当然のことながら、気温が大幅に上昇しない限り、この問題にいかに対処するかが全チームにとって大きな要素となるだろう」
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