予選を通じて降り続いた雨は、時折強さを増したり逆に弱まったりもしたが、特に第1セッションではライバルのタイヤメーカーのインターミディエイト・タイヤに有利な状況を生み出してしまった。その結果、ラルフ(1分48秒894)とヤルノ(1分49秒098)は17位と18位にとどまった。ただしフェラーリのフェリペ・マッサがエンジン交換のペナルティとして10グリッド降格となるため、それぞれスタート順位は1つずつ繰り上がることになる。
「コースの路面はとても危なっかしい状況で、ほんのわずかなグリップしかなかった」と話すラルフ。「予選開始直後から状況が何度も変わったし、明日どうなるのかもわからない。果たしてドライタイヤでレースするのかどうかすら判断が難しいね」
ヤルノが続ける。「今日は非常に難しいコース状況だった。グリップのレベルが低く、そのためコースアウトするリスクを冒さずにプッシュするのは非常に困難だった。あとすこしで第2セッションに進めるはずだったが、タイミング悪く赤旗が出てしまった。とはいえ、タイムを見ればわかる通り、あれより上にいけなかった要因はタイヤだ。今夜は戦略をよく考えて、そしてもし天候が許すのなら、願わくば前を狙える位置でレースをしたいと思っている」
ルノーのフェルナンド・アロンソはタイトル防衛に向けて一歩前進したと言える。1分44秒360を記録した彼は、ルノーにコンストラクターとして50回目のポールポジションをもたらした。チームメートのジャンカルロ・フィジケラが1分44秒992でフロントローに並び、以下、3位は555ホンダのルーベンス・バリチェロ、4位が同じくホンダのジェンソン・バトンとなった。このふたりのタイムは実に1000分の1秒までまったく同一の1分45秒503だった。これで2列目はホンダが独占することとなった。
続いて5位はチーム・マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネン(1分45秒754)。そこから0.02秒後ろに、タイトル奪還を狙うフェラーリのミハエル・シューマッハー(1分45秒775)が続いた。ブリジストン勢でトップ10入りを果たしたのは唯一彼だけだった。7位はマクラーレンのペドロ・デ・ラ・ロサ(1分45秒877)、8位と9位にはBMWザウバーのニック・ハイドフェルド(1分46秒053)とロバート・クビサ(1分46秒632)が続き、10位はクリスチャン・クリエンに代わってレッドブル・レーシングに乗るオランダ人、ロバート・ドーンボス(1分48秒021)となった。
パナソニック・トヨタ・レーシングのシャシー部門シニアゼネラル・マネージャー、パスカル・バセロンは次のように述べている。「今日のようにラルフとヤルノがファステストラップを記録している最中に赤旗が出たのは不運だったが、われわれには明らかにタイヤのグリップが不足していた。最初のうちはスタンダード・ウェットで走ることができていたが、セッション終了間際に最後のアタックのためにコースに出て行ったときには雨が激しくなっており、完全なウェットタイヤが必要だった。そのため、コース上が渋滞したこともあって、あれ以上自分たちのタイムを縮めることができなかった。レースではさらなる雨が降る可能性が高く、こういった状況では確固たる予測をすることが困難だ。レース結果は、ひとつには雨が降るかどうか、もうひとつは、降った場合、ではどのくらいの時間、どのくらい強く降るのか、といったことに左右されるだろう。明日の朝はみんなが気象予報をじっくりと精査することになると思う!」
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