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Rd.2 Grand Prix of Malaysia Keizo Takahashi report
grand prix
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高橋リポート:金・土曜日
2005年03月19日(土)

皆さんいつも応援ありがとうございます。高橋敬三です。そして、公式サイトへのアクセス、ありがとうございます。

●新型フロントウィングが間に合った!
私は、今マレーシアのクアラルンプールサーキットに来ています。F1第2戦のマレーシアGPは日本からも近い、このマレーシアで行われますが、ヨーロッパからは非常に遠く(本拠地はドイツ・ケルン)、時差もあるため我々にとっては非常に厳しいスケジュールでした。オーストラリアの後、24時間近くかけてケルンに帰って、1週間後には、またマレーシアに向けて10数時間も飛行機に乗らなくてはいけない。時差もあり、温度差も30度以上、体は疲れていますが、そんなことも言っていられません。戦いはコース上だけではありません。

そんなハードスケジュールでしたが、マシンの空力をさらにアップデートしてきました。変わったのはフロントウイングと、その回りです。ダウンフォースをより増やすことを狙ったウイングです。テストにも使っておらず、ぶっつけ本番ですが、絶対の自信を持っています。その他には、マレーシアの暑さ対策として、クーリングを多少変更してきた程度です。新しいフロントウイングは出来たてで3個しかないため、トゥルーリとラルフのレースカーの他、残りの1個はスペア用。ゾンタのTカーには古いタイプのウイングを使いました。

今回投入された新型フロントウィング。前戦のものに比べると中央のくぼみ部分が大きくなっている。  

今回はエンジンが2レース目、オーストラリアGPではヤルノが670kmと一番走っていますが、それでもオーストラリアの土曜日が雨だったため、我々としてはもっと走らせるつもりでした。1レース700kmは想定しています。今回、初めて各車のマイレッジが1000kmを越えるので、どうなるか注目したいですね。信頼性では自信がありますから。

 

●開幕戦のタイヤ・トラブルの原因は?
前回のオーストラリアGPでは天候の影響もあって、予選2番手を得ることができましたが、決勝では原因不明のトラブルに悩まされ、ポイントすら獲得することができませんでした。その原因については、タイヤに問題があったと思っていたのですが、レース後にタイヤの内部まで調べてみましたが、何も問題はありませんでした。データを見ると確かに横方向のGは減っていた、考えられるのはオイルを踏んだか、タイヤカスを拾ったか。最後の方では回復していたので、そういったことではないかと推測しています。ヤルノもバイブレーションが出たと言っているので、何かあったことは事実です。前半はトップのフィジケラを追いかけていただけに非常に残念でした。それとセッティングの部分ではダウンフォースをちょっと付けすぎたかなという反省点はあります。データで見ても最高速が遅かった。日曜日の路面が良かったから、そのセッティングが生きなかったですね。

マレーシアはオーストラリア以上に暑い場所だけに、クルマにとっても、ドライバーにとっても過酷なレースとなります。今回のレースでは「1にタイヤ、2にエンジン」がキーポイントになるでしょう。路面温度は55度近くにもなるだけに、タイヤのブリスターが出やすい。オーストラリアではソフトタイヤを選んだチームが多く、日曜日の路面が良くなったこともあり持ちましたが、果たしてここではどうか。因みに我々はオーストラリアではブリスターの出る可能性を嫌い、ハードを選びました。エンジンも初めて2レース使うのが、マレーシアとあって信頼性の部分でも厳しいでしょう。しかし、他のチームのクルマを見ても、オーストラリアからさらに開発が進んでいます。我々ものんびりとはしていられないと改めて感じました。

●狙うはポールポジション! 決勝は雨?
金曜日は、午前中、路面もスリッピーだったので、レギュラーの二人はあまり走らず、ゾンタが2種類のタイヤの評価のために走りました。最後の10分くらいに路面も良くなってきたので、ニュータイヤでアタックしてみたら、1分34秒台が出ました。まずは幸先がいいですね。クルマの状態も悪くない。

午後はレギュラーの2台も走らせました。ゾンタはロングランでのタイヤの評価を行いました。予定のテストもすべてこなし、良いデータが取れましたね。タイヤを決めるのも、それほど悩むことはなさそうです。路面温度も52~53度と高かったですが、オプション、プライムともブリスターは出ませんでした。タレ具合には多少差がありましたけど。冷却系も問題なかったし。コンピュータの温度が多少高くなっていましたが、午後には対策されました。

土曜日、午前中は多少曇っていたこともあって、路面温度も低く、非常に条件が良かった。最初のセッションは走行を控えて、他車の最高速なんかをチェックしていました。それで、もう少しダウンフォースを減らした方がいいなということになりました。このセッティングが良かったようで、クルマのバランスも良かったですね。

午後の予選の時は路面温度が10度以上も上がっていたので、先に走ったクルマの状況を良く見ていました。その感じでは、それほどクルマのバランスが変わっていないようだったので、先に走るラルフは午前中のセッティングのまま行かせました。アタックラップの1コーナーでいきなりアンダーステアを出してしまって、タイムロスしてしまった。その後のT2、T3セクターが速かっただけにかわいそうなことをしました。

ヤルノのクルマはフロントウィングを若干立てていったのが、ピタリと決まりました。結果はヤルノが2番手、ラルフ5番手。どのクルマも予選仕様でアタックする予選1回目でこの結果を出せたことは非常に嬉しいですね。ヤルノとトップのフィジケラとの差は0.1秒以内。十分にポールポジションを狙える差です。明日の予選は、決勝のセッティングも考えていかなければなりませんが、ポールポジションを狙いたいと思っています。

ロングランでのタイヤの磨耗も悪くないし、レースでも十分戦えると思います。唯一の不安は天候。天気予報では午後3時以降は毎日雲が来て、雨が降ってもおかしくない状況です。決勝は午後3時からだけに、レース中に雨が降る可能性もありますから。オーストラリアでは天候に翻弄されたようなところがありましたからね。できれば、3日間ともドライのなかでレースをして、我々の力がどのくらいのところにあるのかを知りたいですね。では、明日の決勝後にも、ご報告をいたします。この、公式サイトでお会いしましょう。

高橋敬三プロフィール
路面温度が優に50度を超えるセパン・サーキットにて。(右はTMG会長兼チーム代表の富田務)