予選の結果は日曜日の午前中に行われる2回目の予選との合算で決まります。また、その予選の後は決勝レースまでセッティングや、燃料補給ができないため、決勝での戦い方も考えた戦略が必要となってきます。特に燃料の搭載量は少なくすれば予選タイムがよくなりますが、決勝で早めにピットインして燃料補給しなければなりません。そうなると中盤か、後半に燃料をいっぱい積んで走らなければならず、タイヤに非常に負担がかかります。

予選を優先するか、決勝を優先するか。特に今回はポールポジションも狙えただけに非常に悩みました。ただ、我々としては決勝で成績を残すことが第一の目標だということで、決勝の戦略を考えてのセッティングとなりました。そのため、惜しくも予選での1位は取れませんでしたが、2位をキープすることができました。ラルフは、2回目の予選も多少アンダーステアに悩まされましたが、5位をキープ。2台とも好ポジションから決勝はスタートできることとなりました。

予選での他車のタイムを見ると、どのチームも燃料を積んできていたようなので、決勝は激しい戦いが予想されました。我々としては、予選の結果からライバルはルノーだけと思っていました。

●レースは白熱の展開に
決勝レース、スタートはまずまずだったと思います。トゥルーリは2位、ラルフは5位をキープできました。前半は手に汗握る展開でした。特に2位のトゥルーリはトップのアロンソを追いかける展開で、トップ争いを演じましたからね。ペース的には我々が思っていたとおり、安定したペースでした。しかし、それ以上にアロンソは速かった。我々としてもまだまだ頑張らなければいけないことを認識しました。

ラルフの方は前半、ウェーバーに抑えられる格好となってしまったのが残念です。もっと速いペースで走れたでしょうからね。31周目最終コーナーのアクシデントで、ラルフのクルマはフロント左タイヤにダメージを負ってバイブレーションが出るようになってしまった。フロントウイングも壊れたため、アンダーステアも強くなって、ペースが落ちてしまいました。しかし、ラルフはよく頑張り、2回目のピットストップまで我慢の走りでポジションをキープ。ここでフロントウイングを交換すると、その後はまた早いペースで追い上げることができました。

最後はトゥルーリもフロントタイヤの磨耗が厳しそうでしたが、それまでに3位との差は大きく開いたので、終盤は若干ペースを落として、ポジションキープの作戦を取りました。

●ファンのみなさんに感謝！　次に目指すのは――“優勝”
今回は3日間を通じてよいレースができたと思います。そして、念願の表彰台を実力でもぎ取れたことは非常に嬉しく思います。3年間厳しい結果だったにもかかわらず、ずっと応援してくださったファンの皆様にはありがとうと言いたいですね。また、レースチームのみんなはもとより、ケルンや、日本で僕らを支えてくれた仲間たちのおかげでここまで来られたことを感謝したいです。

今回、ミシュランのタイヤはここの条件に良く合っていたと思います。我々としては予定通りのことを100％やれた。その結果が表彰台だったということだと思います。セパンはストレートもあるし、低速コーナーも高速コーナーもある。全ての要素が揃ったサーキットです。ここで、結果が出せたということは、どこのサーキットでも通用するということだと思っています。いままでは勝ちたいという気持ちだけでしたが、今日の結果で勝てるということが非常に現実味を帯びてきました。あとコンマ1、2秒速ければ勝てる。優勝という夢ももうすぐそこまで来ていると思います。

次回はバーレーン。砂漠の中のサーキットです。欧州ラウンドの前には過酷なサーキットが待ち構えています。

では、次回のグランプリでも、公式サイトからお送りする「高橋敬三リポート」でお会いしましょう。