グランプリ > 2005グランプリ > サンマリノGP > リポート
Rd.4 Grand Prix of San Marino report
grand prix
ルカ・マルモリーニ Q+A:
「イモラのカーブを走るときにはエンジンの回転数に気をつけなければならない」
1週間後に迫ったヨーロッパラウンド初戦に向けて、エンジン面での対策をテクニカル・ディレクターのルカ・マルモリーニに聞いた。~TMG広報スタッフ
2005年4月15日(金)

●ルカ、2戦連続で表彰台を獲得した後のファクトリー(工場)の雰囲気はいかがですか?
「マレーシアGPとバーレーンGPで成し遂げた素晴らしい結果はチーム全体に大きなやる気をあたえてくれた。ファクトリーの雰囲気は非常に活気が満ちているし明るいね。その活気と我々の期待感は同じくらい高まっている。3週間の準備期間を経てイモラで行われる次のレースは、もちろんヨーロッパでの最初のレースになるわけだが、トップチームはどこもパッケージを大きく改善してイタリア入りすることだろう(次戦のサンマリノGPはイモラサーキットにて開催・開催国名はサンマリノを冠するが、イモラサーキットはイタリアに所在)。次戦はわれわれがどの位置にいるのかを正確に知るための非常に重要なレースになる。ヨーロッパラウンドの前半戦でチームのパフォーマンスがどの位のレベルにあるのか、イモラではそれを測ることができるだろう」

●目標を単なるポイント獲得から表彰台獲得へと切り替えたわけですか?
「現実的な話をしておくと、われわれはまずしっかりと足を地に着けておく必要がある。たとえ心の中では“今シーズンは何回表彰台に立てるだろうか”と考えていてもね。イモラでのレースがどんな結果になるのか、われわれはそれを待ってみなくてはならない。ただしもしもイモラでもわれわれが強いことがわかれば、今後もマレーシアやバーレーンで見せたパフォーマンスをこれからも何度か見せられるようになるだろうと確信がもてるだろうね。イモラでは2台揃ってポイントが獲れれば最高だと思う」

●残りのシーズンでもトヨタはここまでの素晴らしい結果を維持できると思いますか?
「マレーシアやバーレーンのように、われわれのクルマが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるサーキットは今後もいくつかあるはずだ。これについては私も自信がある。だが、とりあえずの所はイモラに集中している。過去を振り返ってみると、イモラはわれわれにとって厳しいコースだからね。新たなモチベーションと成功を手にした今、あのコースでどんなパフォーマンスを見せられるのか楽しみでもある。エンジンに関しては、2レース1エンジンの前戦バーレーンで、あれだけ暑いコンディションの中レースをしたわけだから、イモラを走りきるのがそんなに簡単なことだとは私は思っていないね。」

●RVX-05にはどんな改良が施されているのでしょう?
「2レース1エンジンという新レギュレーションがあるため、イモラではエンジンに手を加えることはできないが、間違いなくスペインGPにはさらに進化させたエンジンを持ち込むだろうね。おそらく5月末のヨーロッパGPにはさらにその次の改良型が登場するはずだ」

●2レース1エンジンという新レギュレーションはさておき、エンジンにとってイモラのコースはどのくらい過酷なのでしょうか?
「エンジン全開区間の長さという意味では、イモラはそれほどエンジンに厳しいというわけではない。それに特別暑くもならないので冷却系に関しても問題はない。難しいのは例のやっかいなカーブを走るときだ。イモラのカーブを走るときにはエンジンの回転数に気をつけなければならない――エンジンのオーバーレヴを起こしやすいからね。ただし、その部分を補助してくれる高性能な電子システムはわれわれにも備わっている。レースにはいつも不確定要素がつきものだし、また予想外の事も起こる。それがエンジンに余分な負荷になってしまうわけだ。イモラを走るわれわれのエンジンがすでに1レース――それもかなり厳しいコンディションのレースを走りきっていることを考えると、トラブル対策はいっそう重要になってくるわけだ」

●エンジンの使い方をコントロールするという意味では、ドライバーはどのくらい影響してきますか?
「レースの週末を通してラルフとヤルノがエンジンに気を遣った走りをしてくれていることにはとても感謝している。新しいレギュレーションになってからはエンジンの使い方に対するドライバーの力量が占める割合は以前よりも大きくなった。レースになればドライバーは可能な限り攻めた走りをしなければならないが、いっぽうでは、ペースを維持すべき場面ではエンジンを酷使する必要はないわけだからね。この点に関してわれわれのドライバーは実に賢明な走りをしてくれている。ここまでこれだけの結果を手にできているのは、ある部分では彼らのエンジンの使い方のお陰でもあるんだ」

●エンジン開発に対して、オリビエ・パニスとリカルド・ゾンタはどのくらい貢献しているのでしょう?
「オリビエとリカルドはRVX-05の開発に不可欠だった。テスト期間中はとにかくエンジンの信頼性に注力したわけだが、そのためにはあらゆるコンディションを走り、データを収集する必要があった。2人からのフィードバックや提案はラルフとヤルノからのと同じくらい重要なんだよ」

●ジョーダンからはどんなフィードバックが来ていますか?
「これまでの所、ジョーダンとの仕事はとてもスムーズに進んでいる。過去3戦での共同作業は、いわば双方にとってどうやったら一番いい形で仕事ができるかを探る学習期間だった。われわれとしては、現段階で到達した成果をとても嬉しく思っているよ。彼らとはここまでのデータを共有しているしね。つまり、ジョーダンから得られたデータや経験をトヨタが使うエンジンを開発していく際に利用することができるからね。もちろんその逆も同じだ。おそらく今後はジョーダンもクルマを改善してくるだろうから、われわれもエンジンを進化させつつ彼らをサポートしていくのを楽しみにしているよ」

●ルカ、パートナーのエッソは、RVX-05の開発に対してどのようなサポートをしているのでしょう?
「エンジンの信頼性を向上させるためには、ケルンのエンジン開発部門の努力を今のレベルで継続させるだけではなく、燃料と潤滑油を支給してくれるパートナーの献身的な貢献も必要になる。今シーズンここまでの成功を手にできたのも、まさにエッソとの緊密な連携があったからだ。エンジンの信頼性に関してオイルは中心的な役目を果たすからね。純粋にエンジンのパフォーマンスという枠にとどまらず、エッソとはとても緊密に仕事を進めているよ」