●マイク、トヨタはイモラでもトップ争いを続けられると思いますか?
「いつもながらシーズンの最初の3戦が終わると、ライバルたちとの比較をして自分たちがどの位置にいるのかを再検討することになる。ここまでの3戦ではいずれも予選でトップ3を確保したし、表彰台にも2回立った。メルボルンでのレースではちょっとした理由で苦しんだが、マレーシアGPとバーレーンGPではわれわれの本当の速さを発揮できたわけだ。私としては、率直に言って我々のこの速さがサンマリノGPのイモラサーキットはもちろん、それ以降のレースでも継続できない理由は見あたらないね。ミシュランタイヤを履いたとき、我々のクルマがどんな挙動をするのかもすでに理解している。だからあとはレース毎に最適のタイヤを選ぶよう、気を付けておくだけだ。おそらくメルボルンではそれができなかったのだろう。もしこれがちゃんとできれば、シーズンを通してここまでのパフォーマンスを継続して発揮できるはずだ。イモラについても、私は特に恐怖や不安は感じていないね」
●イモラのコースに関して、技術的な意味でチャレンジになるのはどんな所でしょうか?
「イモラでは、これまでのレースよりもすこしダウンフォースを増やしてあげる必要がある。またバーレーンと同じくブレーキにも厳しいコースだ――ブレーキに関して、バーレーンでは何も問題なかったけどね。気温も今までよりは低くなるはずだから、その分、クルマにかかる負荷も少なくなる。低速シケインがいくつかあり、カーブをいかに攻略するかが問題になるだろう。ただし、クルマの機械的な部分も空力もすでにかなり改善できていると私は思っている。去年まではイモラのような特徴的なカーブを持つサーキットでトヨタは不調だったが、今回は問題ないと思うね。イモラの場合、レースでペースについていけなくなると、ドライバーは遅れを取り戻すためにカーブをさらに攻めていこうとする。そうするとクルマのバランスがかなり狂ってしまうんだ。だが基本的にクルマに速さがあれば、そうした問題は生じないだろう」
●TF105はイモラでどのくらいのパフォーマンスを見せてくれると思いますか?
「オーストラリアとマレーシアとバーレーンを終えたということは、シーズン中に体験するほぼすべてのタイプのコーナーを走り終えたということになる。しかもわれわれのクルマはそのほとんどでいい走りができてる。TF105に何か大きな問題があるとも思わないしね。もちろん、これからさらに速さを追求する必要はあるが、ブレーキング時の挙動は安定しているし、トラクションもいい。この2つは、イモラを走るクルマにとってとても重要な要素になる」
●イモラに向けてTF105はさらに進化してくるのでしょうか?
「イモラでは新しいパーツを投入する。とはいえ、どこのチームも同じだろうけどね。たいていはどこのチームも“クルマの弱点を発見したからサンマリノGPに間に合うようにそこを改善した”と言うものだが、私としてはほとんどのチームはこれまでの3戦でのポジションと同じだと思う。ただし、ブリジストン・タイヤは改善sれているはずだ。したがってフェラーリは強くなるだろう。フェラーリがシーズンを通して今の位置に低迷するなんてことはあり得ない。彼らはクルマを進化させてくるだろうし、それはブリジストンも同じだろう。だから、また以前のようにトップチームのひとつになっているはずだ」
●イモラ用のTF105では特にどのパーツが新しくなるのでしょう?
「新しいディフューザーとサイドポッド周辺のパーツ、それから新型のウィッシュボーン(サスペンションの一部)とフロントウィングも投入する。どれも狙いは基本的に空力の改善だ。全体としては順当な進化といったところだね。そのうちのいくつかはバーレーンGPの後のバルセロナ・テストとポールリカールでのテストで試したものだ――たとえばディフューザーとサイドポッド周辺のパーツがそれに該当する。新しいフロントウィングがお目見えするのはイモラ入りしてからだが、われわれは風洞での成果に自信を持っているからね。だから新しいパーツをレースに投入しても、何も問題ないはずだよ」
●ラルフと比較してヤルノの方が一歩リードしている、という指摘は妥当だと思いますか?
「3戦を終えた時点でどちらかの結果がいいからといって、片方のドライバーがもうひとりよりも秀でている、と言うのは適切ではない。ラルフはこれまでの予選でいくつかミスをしてしまい、そのせいでレースが難しくなってしまったわけだ。だが、彼がレースに臨む姿勢に迷いはないし、バーレーンGPで4位になった彼の走りは2位になったヤルノよりもいい出来だった――あの展開ではラルフの方がいろいろと大変だったわけだからね。われわれは彼ら2人に適切な環境を用意している。2人ともクルマとチームに関しては何も問題を抱えていないし、それにレースの週末を楽しんでいる様子だしね。ヤルノが2回表彰台に立ったからといって、ラルフが機嫌を損ねているわけでもない――彼にはチームのポテンシャルも、自分がチームの一員であることもよくわかっているからね。ここまでの成果は、特定のドライバーひとりの結果というわけではなく、チーム全体の手柄なんだ。ラルフも不安には思っていないだろう――自分の番がいずれ巡ってくることを彼もわかっているからね」 |