応援ありがとうございました。ヨーロッパGPの決勝についてご報告いたします。
● スタート直前に予想外のトラブル発生
今日のレースに関しては、ドライバーとファンのみなさんに「ごめんなさい」としか言いようがありません。トラブルでレースを台無しにしてしまいました。ヤルノも悔しがっていましたが、それ以上にエンジニアやメカニック、TMGのみんなも悔しがっていると思います。原因をしっかり調べて、二度と同じことが起きないようにしないといけません。
フォーメーションラップがスタートする1分前を知らせるシグナルを合図に、メカニックはエンジンを始動させる作業に入ります。その際、外部のスターターを差し込んで始動させるのですが、この作業をフォーメーションラップ開始の15秒前までに終わらせ、すべてのチーム関係者はグリッドを離れなければならないと決められています。
ところが、ヤルノのエンジンを始動させるスターターが壊れたようで、エンジンの始動に手間取り、規定の時間までにグリッドを離れることができませんでした。グリッド上でトラブルがないよう、スターターはガレージを離れる前に使ったものをグリッドまで引っ張っていって使うようにしています。クルマがグリッドに着いたら、念のためもう一度エンジンの始動を行います。そのうえでフォーメーションのスタート時に使うのですが、正常に作動しませんでした。万全を期していますので、考えられない出来事なんです。
スターターは回るには回ったのですが、エンジンを始動させるに十分な回転に至らなかったようです。もうだめだと判断してスペアのスターターに切り替え、エンジンを始動させたのですが、時間がかかりすぎ、決められた時間をオーバーしてしまったということです。
ヤルノはそのせいでドライブスルー・ペナルティを科されてしまいました。誰かのミスというものではありません。原因の調査はこれからですが、二度とこのようなトラブルが起きないようにしないといけません。ヤルノはもっとペースを上げられる状態ではあったのですが、中団グループに埋もれて本来のペースで走ることができませんでした。本当に、ドライバーには謝っても謝りきれないという気持ちです。
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スターティンググリッドにつくトゥルーリ。 |
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●ラルフはスタート直後にノーズを壊す
ラルフがノーズを壊したのはレーシングアクシデントですね。ふたりのピット戦略はほとんど変わりなかったのですが、ラルフがノーズを交換するためにピットに入った際、燃料を少し足しました。ヤルノとラルフで1回目の給油のタイミングがずれたのはそのせいです。クルマのバランス的には問題なく、以後のラルフはいい走りをしてくれたと思います。後半、よく追い上げてくれましたが、勢い余って飛び出してしまいました。仕方ないと思いますね。
1ポイントを取れたことよりも悔しさのほうが上です。最終ラップでライコネンのトラブルがなくても、ヤルノは十分表彰台を狙えるポテンシャルはあったと思います。他車にはタイヤにトラブルが発生しましたが、我々は、レース中のタイヤ空気圧などを見ても、タイヤが正常であることを示していました。何度も言うようですが、ドライバーの頑張りを無駄にしてしまったのが悔しいですね。
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スタート前、ラルフのクルマをチェックする高橋敬三 |
●競争力がある状態に変わりはない。次戦に期待
決勝レースの何周目にピットインをしたかで、おおよその搭載燃料が分かりますので、それをもとに他車の予選のパフォーマンスを推測することができます。レース中のラップタイムを眺めても、他チームとトヨタとの相対差にそれほど大きな変化はないと思います。つまり、マクラーレンが速く、ルノーがいて、トヨタが続く。だから、これからまだまだ頑張らないといけないと思っています。
次の連戦、カナダ、アメリカはミディアムクラスの空力パッケージになりますが、それに向けた準備はすでに完了しています。今回ヤルノに投入した新スペックのエンジンは、最後までうまく機能したことを確認していますが、これをカナダからはラルフのクルマにも積むことになります。準備は整っています。あとは、幸運を引き寄せるだけですね。
公式サイトへのアクセスありがとうございました。引き続き、パナソニック・トヨタ・レーシングへの応援よろしくお願いいたします。
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