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Rd.8 Grand Prix of Canada Keizo Takahashi report
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金・土曜日 日曜日
高橋敬三リポート:金・土曜日
2005年06月11日(土)
高橋敬三ヨーロッパGPレポート金・土曜日

みなさん、こんにちは高橋敬三です。いつも公式サイトへアクセスありがとうございます。金曜日、土曜日の報告になります。

モントリオール、インディアナポリスと続く北米2連戦の高速サーキットは、パナソニック・トヨタ・レーシングにとって比較的相性のいいサーキットだと思っています。この2連戦で表彰台にカムバックすべく頑張っていきます。

木曜日の朝、サーキットに着いて、早速エンジニアにコースの話を聞きました。路面の舗装が全面的にやり直しになっていたからです。ミシュランの情報によると、以前と同じように目の細かいスムーズな路面なので、これまでのデータが役に立たなくなることはないということでしたが、再舗装後初めて走ることになりますので、昨年までのデータで選んだタイヤがこのコースに合うのかどうか、これが最大の懸案事項になると思います。

●カナダGP専用の空力パッケージを投入
空力パッケージは完全にカナダ専用のミディアムダウンフォース仕様です。フロントウィングも変わりましたし、リアウィングも変わりました。ドラッグを減らし、空力効率が良くなる方向にするため、今まで付いていたパーツを取り外したりと、フロントとリア以外にもいろんなボディパーツを修正しています。

エンジンは前回から新スペックを投入しました。前回のレースで使用したヤルノが2レース目、そしてラルフは今回から同じ新スペックになります。モントリオールのコースの特徴は、シーズン19戦中で最もブレーキにきついコースであること。ですので、ブレーキに関しては用意しうる最大限のスペックで臨んでいます。2番目にブレーキにきついバーレーンで準備したものをベースに万全の準備をしました。

いずれにしても、攻略のポイントは路面でしょう。路面にラバーが乗ったときにどうなるのか。特に最近のタイヤは最後までしっかり持つようにセットアップしないといけないのですが、ここは路面状況が3日間で大きく変化しそうなので注意が必要です。さらに、連日サンダーストームの天気予報が出ていますので、雨が降ればラバーグリップがいったんなくなる可能性もある。路面変化を読みながらしっかりしたタイヤ選択をしなければなりません。

●ゾンタが2番手タイムを記録。収穫に満ちた金曜日
金曜日の最大のポイントは、新しい路面に対して実際はどうなのかということでしたが、実際走ってみると昨年と大きくは状況が変わっていないことがわかりましたので、ほっとしました。路面のグリップはもっと低いだろうと予想していたのですが、実際はそんなことはなく、通常のカナダの初日レベルでした。

リカルドは2種類のタイヤをしっかり評価したうえ、ロングランをこなしました。ヤルノとラルフのレギュラードライバーは基本的なセットアップと一部タイヤの確認をしました。リカルドは走行距離を稼げたこともあって、セットアップも問題なく、ずっといい調子で走り、十分なデータを収集することができました。ラルフもバランスとしては問題ないという話でしたが、ヤルノはメカニカルグリップが少し足りないと訴えていました。ただし、これは土曜日までに十分調整できる範囲でした。

モントリオールはコーナーの立ち上がりでいかにトラクションを稼ぐかが大事なサーキットですので、金曜日に収集した路面とタイヤのデータをしっかり分析することが重要になります。リカルドのデータをベースに判断すれば、今週末はかなり競争力のある状態にあると言えます。あとはレースカーをもう少しドライバーの好みに合わせれば、かなりいいレベルまで行ける、という感触がつかめました。

ピットウォールのブースから、自チームの動きを確認する高橋敬三。  

●トラブルを乗り越え、順調にセットアップを進める
金曜日の走行で、ドライバーからグリップがない、トラクションがないというコメントがありましたが、土曜日のプラクティスではそれを良くする方向で進めました。プラクティス3ではまだ路面が悪かったのであまり走らなかったのですが、いいバランスに仕上がっていることを確認することができました。

ヤルノはプラクティス3の最後で、6速ギヤからニュートラルに抜けてしまうというトラブルに見舞われました。セッション終了後にギヤボックスと電気系を交換し、プラクティス4に送りだそうとしたのですが、今度はセンサー系に不具合が見つかったので、その修復に時間を費やしてしまい、プラクティス4でもあまり走り込むことができませんでした。その代わり、ラルフがダウンフォースのレベルなどを順調に試すことができましたので、その結果をヤルノのクルマにも反映し、プラクティスの最後にバランスの最終確認を行いました。

●レースが進行するにつれポジションアップする読み
ヤルノが9番手、ラルフが10番手という結果になりましたが、悪くもなければ良くもない。まあまあの結果だと受け止めています。レースが始まってみないと分かりませんが、我々の前には少なくとも4台、我々よりも燃料の軽いクルマがいるようです。雨の降る可能性が残っていますので、レースの展開がどうなるのか、非常に不透明な要素が多いですね。我々としては、それらすべてを想定したうえで予選に臨み、得た結果ですので、レースでも十分に戦っていけると思っています。

ラルフは3番目のタイムアタックということで、路面の状態は悪かったのですが、得意としているコースだけあって、いいタイムを刻んでくれたと思っています。一方、ヤルノはアタックの順番が13番目だったのでもう少し期待していたのですが、タイヤが十分温まり切らず、グリップが足りなくて思ったほどタイムが伸びなかったようです。アウトラップの際にタイヤを温める問題は今シーズンずっと課題としてきたので、今回もタイヤウォーマーの温度を上げ、空気圧を上げ、アウトラップでプッシュをしてと、やれることは全部やったのですが、それでも発熱が十分ではなかったということです。ヤルノの走り方に問題があったわけではありません。

もう少し上のポジションでスタートできれば良かったのですが、決勝レースでは1回目のピットストップが終わった時点でまずまずのポジションに上がっていると思います。期待してください。では、決勝後にもこの公式サイト「高橋敬三リポート」でご報告いたします。応援、よろしくお願いします。

高橋敬三プロフィール
ドラッグを減らし、空力効率を高める方向にふったという仕様。サイドポッド横の
フェアリングにあったミニウィングや、インダクションボックスの脇にあったウィン
グなどが今回は装着されていない。