応援ありがとうございました。カナダGPの決勝についてご報告いたします。
● 予選終了後、ラルフ、ヤルノともにパーツを交換
予選終了後にラルフの左のリアタイヤを交換しました。予選のフライングラップの後半で、空気圧が徐々に減っていたので調べてもらったところ、何かの破片を踏んでいたことがわかりました。そこで最後のフリープラクティスで4周走ったタイヤに交換しました。レース中、この交換による問題はありませんでした。
一方、ヤルノはリアホイールのスピードセンサーとプッシュロッドセンサーを交換しました。もともとはセンサーだけを交換する予定だったのですが、交換していたらドライブシャフトにガタがあることが分かったのです。分解して整備するよりもアッセンブリーで交換する方が、効率がいいので、デフ/ドライブシャフトをアッセンブリーで交換して送り出しました。
● ヤルノのリタイヤはテレメトリーの不具合が遠因
ヤルノは非常にいいスタートを切って2台をパス。序盤はずっと7番手で走行していました。彼よりも早めにピットインするクルマが何台かあったので、さらに順位を上げることができました。ここまでは本当に読みどおりで、予定どおり23周目に1回目のピットストップを終えました。
このピットストップを終えた頃から、テレメトリーが働かなくなってしまいました。つまり、クルマがどういう状態で走っているのか、ピット側で把握できなくなったのです。セーフティカーが出たタイミングで2回目のピットに入れ、3番手に上がったところまでは良かったのですが、結果的に右フロントのブレーキディスク(カーボン製)が壊れてしまいました。ディスクの温度が上がりすぎて極度に摩耗が進行し、最後は割れてしまったんだと思います。
このサーキットはブレーキへの負担が相当なものだと分かっていましたので、管理はしっかりしていました。通常は温度センサーだけを付けるのですが、今回はブレーキディスクの摩耗を測るセンサーをつけて、しっかり管理しようとやっていたのです。ですが、データが受け取れないことには管理のしようがありません。きちんとデータを受け取っていれば、例えばフロントブレーキがきつかったらブレーキ配分を後ろに移すとか、エンジンブレーキを利かせるとか、前と後ろの差を見ながらペースを落とさせるとか、ドライバーにちょっとブレーキをセーブしろと指示するとか、いろいろ対策がとれました。それができれば走り切れたと思うのですが、データを受信できない状態だったので、突然ブレーキが壊れることになってしまいました。詳細は調査中ですが、テレメトリーの発信器が壊れた可能性もあります。ディスクが摩耗すると、通常ペダルが奥に深くなるのですが、今回のヤルノの場合はそれがなく、本当に突然の出来事だったようです。
● ラルフはセーフティカーに行く手を阻まれる
一方、ラルフはスタートで2台くらいに抜かれましたけど、そのあとはずっといいペースで走っていました。ヤルノと違って彼は2回と3回、両方のピットストップを考えた戦略で臨んでいたのですが、最初のピットインを行う時点での状況から2回の方が、結果が良くなるだろうと判断し、2回ストップで行く決断をしました。
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ラルフ不運。セーフティカーが彼の前に入ってしまったことで上位陣との差が広がってしまう結果に。 |
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そのため、15周目に行ったピットストップでは燃料を多く積みました。その後も結構いいペースで走り、2回目のピットストップを予定どおり終え、順調にポジションを上げることができました。ところが、不幸にも彼の前にセーフティカーが入ってしまったのです。あれで先頭のクルマがラルフの後ろにつくことになってしまい、再スタート後に周回遅れになってしまいました。6位に入賞して3ポイントを獲得することができましたが、ラルフのレースはあそこで終わってしまったようなものです。
● 1週間後のインディアナポリスで挽回を期す
レースはフィニッシュしなければ意味がありませんから、悔しさでいっぱいです。細かいトラブルは絶対に出してはいけない。それが出たからこのような結果になったわけで、言い訳をしても仕方ない。小さなミスでも絶対に出してはいけないということです。
早速明日にはインディアナポリスに移動し、クルマをリビルトします。カナダではこのような結果になりましたが、高速レイアウトのインディアナポリスでも、我々のクルマの特性は合っていると思います。前回今回と細かいトラブルで結果を大きく失ったところがありますから、ぜひともそれを取り戻したいと思います。
公式サイトへのアクセスありがとうございました。アメリカGPでもこの公式サイトでお会いいたしましょう。引き続き、パナソニック・トヨタ・レーシングへの応援よろしくお願いいたします。
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