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Rd.10 Grand Prix of France Keizo Takahashi report
grand prix
金・土曜日 日曜日
高橋敬三リポート:金・土曜日
2005年07月2日(土)
みなさん、こんにちは高橋敬三です。いつも公式サイトへアクセスありがとうございます。金曜日、土曜日の報告になります。

前回のアメリカGPはご存知のように、せっかくのポールポジションを獲得したにもかかわらず、レースに出ることができないという不運に見舞われました。インディアナポリスは自信のあったサーキットだけに非常に残念でした。そのフラストレーションを是非ともこのフランスで晴らしたいと思っています。

●3つのシケインがタイム攻略の鍵
今回、クルマは空力面での改良を施してきました。エンジンカウル、ブレーキダクトなど7箇所の変更を行いました。他には特に大きな変更点はありません。エンジンは今回ラルフがフレッシュですが、大きな仕様変更はしていません。ただ、ヤルノの方もアメリカで決勝を走ってないので、まだ100㎞くらいしか走ってないものです。

ここ、マニクールは非常に路面がスムーズでバンプが少なく、そういった意味では我々のクルマに合っているサーキットです。そのため、車高を低くできるメリットがあります。空力的にはハイダウンフォース仕様に近いものです。ただ、気象状況によって路面状況が大きく変わるというやっかいな性格を持っています。路面の色が黒いため、陽が出るとすぐに路面温度が上がってしまうのです。

セッティングの鍵となるのは3つのシケインです。ターン6と7、ターン11と12の高速シケインをうまくタイムロスしないでいければ、かなりタイムが稼げます。そして、最後の最終シケインですが、この最終シケインと、2つの高速シケインはセッティングの方向性で相反する部分を持っています。つまり、高速シケインを速く走ろうと思うと、どうしても最終シケインはある程度、犠牲にしなければならないのです。そのような相反する場所では、ドライバーの技量でカバーできることもあります。

●オリビエが地元フランスのファンに久々に元気な走りを披露
前回のアメリカではいろんなことがあったので、まず金曜日を通常進行できてホッとしました。3人とも、予定どおりのプログラムを消化してくれました。午前中は路面もできていなかったので、ヤルノは走らず様子を見ました。そんな状態で走っても意味がないので。金曜日はタイヤのデータが取れたこと、オリビエが走れたこと、すべてが順調に終わったこと、この3つで言うことないですね。まだ、路面も十分にできていないし、セットアップとか、クルマのバランスがどうとかいうには早すぎますね。最終シケインなんかはまだバランスが取れていない状態でした。

少し悩んだのはタイヤ選択ですね。データは思ったとおりに取れたのですが、ドライバーのコメントやフィーリングだけで判断できないので。明日、明後日の予想も考えないといけません。

今回のGPではエキゾーストパイプのカバーがなくなり、エキゾーストパイプがむき出しになっている  

想定される路面コンディションですが、天気予報では、土曜日の午前中には雨が降り、午後の予選はドライ。日曜日は気温が上がり、路面温度も50度を超えるのではというものだからです。つまり、予選の前に雨で路面のゴムが流された状態でタイムアタック。決勝は路面温度が上がった状態でのレースとなるわけで、高温でのブリスターなども考えて選択しなければならないからです。タイヤの傾向としてはいつものミシュランらしく、プライムはロングが安定していて、オプションは一発の速さがある。ただ、今回のタイヤはオプションでもあまりタレがなく、持ちそうな感じでした。ここのコースは、本来はタイヤのタレが大きいコースなんですが、今年のタイヤはタレない傾向になっているみたいですね。

今回からは現場に力強い助っ人が来てくれています。去年までミシュランにいたバセロンです。今までもファクトリーでバックアップをしてくれていたのですが、やっぱりタイヤのことを一番知っている人が、タイヤをしっかり見てくれるのが一番ですね。今日はセッション中、エンジニアのモーターホームの中で、僕の隣にずっといました。クルマがピットに入るたびにガレージに走って行って、タイヤの具合を見ていました。とにかく一番気になるのは明日の天気ですね。

●ヤルノ予選2番手を獲得!
土曜日は我々にとっては非常に良い1日でしたね。午前中は予想どおり雨が降ったので、最初のセッションはレインタイヤの皮むきだけをしました。4回目のフリー走行は路面も乾いてきたので、昨日のセットアップで課題となっていたグリップの足りない部分を改善することを考えてセットアップしていきました。ダウンフォースを増やすのではなく、メカニカルグリップを上げる方向でセットアップしていったのがうまくいきました。走り始めからドライバーのフィーリングがよく、バランスを確認した後、タイヤの空気圧を調整して再度バランスを確認する程度で、あまり悩まずクルマのバランスは決まっていきました。前日、悩んでいたタイヤの選択は、土曜日の朝のミーティングまで持ち越されました。実はラルフが最後まで考えたいと言ってきたのです。ただ、朝のミーティングでは15分で結論が出ましたが。

午後の予選は、ラルフが1番目のアタックだったこともあり、滑りやすい路面で非常に難しかったと思います。特にヘアピンのブレーキングでタイヤをロックさせてしまい、0.5秒くらいタイムロスしてしまいました。アタック順が最初だと路面は滑るから慎重に行かないといけないけど、予選だから攻めないといけないし。誰か走ってタイムでも出れば、それで路面の状況もある程度は予想できるので、次に走る情報になります。ただ、ラルフはクルマのバランスは問題ないと言ってくれたので、我々としてはホッとしましたね。

ヤルノは、前回に続き完璧な予選アタックをしてくれたと思います。前回、ポールポジションを獲得していながらもレースできなかった悔しさを、今回発散させてあげたいですね。日曜日は暑くなると思いますが、その部分を含めて、かなり良いクルマに仕上がったと思います。ヤルノは最低でも表彰台、ラルフもポイント獲得というのが決勝レースでの目標です。

決勝後にもこの公式サイト「高橋敬三リポート」でご報告いたします。応援よろしくお願いいたします。

高橋敬三プロフィール
予選までのいい流れに、ホッと一息の高橋敬三。