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Rd.11 Grand Prix of Great Britain Keizo Takahashi report
grand prix
金・土曜日 日曜日
高橋敬三リポート:金・土曜日
2005年07月9日(土)
みなさん、こんにちは高橋敬三です。いつも公式サイトへアクセスありがとうございます。金曜日と土曜日の報告になります。

前戦のフランスGPでは2台完走という成績は残しましたが、速さという点では多少課題が残ったレースでした。予選2番手のヤルノでしたが、トップグループのスピードについていけずに表彰台を逃してしまったことは悔やまれます。イギリスでは絶対に表彰台を獲得したいと思っております。

●フランスからのアップデートはなし
今回、TF-105はフランスと同じで、空力もエンジンも新しい仕様変更はありません。時間的なものでアップデートできなかったのが一番の理由ですが、我々のクルマのポテンシャルなら十分に戦えるという自信もあっての判断です。

このシルバーストーンは高速コースとして有名ですが、意外にダウンフォースは前戦のマニクールよりも必要とします。高速コーナーが多く、速く走るためにはダウンフォースを付けた方が有利だからです。また、後半部分のインフィールド区間は低速コーナーも多く、非常にクルマのバランスが難しいコースです。高速コーナー、低速コーナーともに4つずつあり、この相反するコーナーをうまくバランスさせることがポイントです。空力だけではなく、低速ではメカニカルグリップをうまく付けてバランスを取らなければなりません。

路面は粗く、タイヤの磨耗が厳しいコースでもあります。そのため、タイヤのコンパウンドは硬めのものが使われます。ストレートが長く、風の影響を受けやすいのも特徴です。風向きによって、最高速はもちろん、クルマのバランスにも微妙に影響してきます。燃料エフェクトも全19戦の中で最大で、ピットストップのロスも大きいため、戦略としては2ストップがメインとなるでしょう。ストレートが長いため、エンジンパワーは生かせるコースですから、我々には有利なコースでもあります。我々のクルマとの相性は比較的良いと思われます。もともとメカニカルグリップは悪くないと思うので、今年はさらに空力も良くなって、高いレベルでのバランスが取れるようになってきています。

●順調な金曜日。タイヤ選択に若干迷う
金曜日はいつものように順調な1日でした。トラブルもなく、予定どおりのプログラムを消化できましたし、さらにタイム的にもいいところに来たと思います。午前中はラバーグリップがまだ付いておらず、滑りやすい路面だったので、レギュラーの2人はあまり走りませんでした。リカルドがロングランをやって、データを収集しました。

前戦は悩んでチームメートと同じタイヤを選んだラルフ。今回はヤルノがソフト、ラルフはハードと、違うタイヤを選んだ。  

午後は当初の天気予報では雨かもとの予報が出されておりましたが、午前中の天気の感じでは持ちそうだったので、無理して走らせることはしませんでした。その予想どおり、午後もドライでじっくりテストすることができました。最初、ヤルノがいきなりスピンする一幕もありましたが、大事には至らず、セットアップすることができました。リカルドはセットをいじらず、タイヤのデータ取り。他の2人はドライバーの好みでセットアップを進めていきました。その結果、2台ともまずまずのバランスのところまで煮詰めていけたと思います。タイム的にも悪くありませんでしたしね。

タイヤはいつものとおり、ソフトは一発のタイムに優れ、ハードはロングランが安定していましたが、どちらも一長一短で選択に悩みそうな感じでした。土日の気候などの条件も考えて決めなければならないのですから。この日の午前中と午後でも若干違っていました。グレーニングも予想に反して、ほとんど出なかったです。6月のテストで使ったうち、グレーニングの出なさそうなものを持ってきたというのもあります。ここ数戦で、金曜日としては一番良い形になっていると思います。

●ヤルノ4番手、ラルフ8番手グリッド
予選の結果は我々のレース戦略を考えれば、満足できる結果だと思います。十分表彰台も狙える位置だし、2台とも入賞圏内にはいるわけです。

午前中の最初のセッションは路面温度も低く、走ってもセッティングが混乱するだけだと思い、あまり走りませんでした。案の定、プラクティス4は、気温も上がって条件も良くなり、そこで最終的なセッティングを詰めていきました。昨日までの課題をうまくクリアでき、クルマのバランスは申し分ないところまできたと思います。

午後の予選では路面温度が7度も上がったため、タイヤの空気圧を合わせるのに気を使いました。結局、ラルフの方はその補正がうまくいかず、タイヤのグリップ不足が出てしまう結果となったことは悔やまれます。ヤルノのほうは、本人のコメントでは多少アンダーステアが残ってしまったようですが、いつもどおりの完璧なアタックができたと思います。

そのため、多少タイム差が出てしまいましたが、これはタイヤ選択の差もあると思われます。実は、今回は2人で違うタイヤを選んだのです。というのも、オプションもプライムもどちらも一長一短あり、それぞれにメリットがあったので、あえてエンジニアサイドではリコメントせず、ドライバーの好みに任せました。ヤルノはソフト、ラルフはハードを選びました。ハードを選んだのは、ミシュランによると3台のみとのことで、どのクルマかはわかりませんが、レースでは安定したペースで走れるので、ラルフの追い上げに期待しております。タイヤは2人で違いますが、戦略は大きくは違っていません。


明日の決勝は天気も良くなり、気温も25度くらいまで上がるようで、路面温度は40度を超えるかもしれません。その中で、どうクルマを合わせこむかが勝負だと思います。マクラーレン、ルノーが相変わらず速いですが、付け入る隙はあると思っております。

決勝後にもこの公式サイト「高橋敬三リポート」でご報告いたします。応援よろしくお願いいたします。

高橋敬三プロフィール
チームのトランスポーターの前でインタビューに答える高橋敬三。