応援ありがとうございました。イギリスGPの決勝についてご報告いたします。
予選では、ヤルノ4番手、ラルフ8番手と2台ともトップ10入りし、期待値としては久々の表彰台、ダブル入賞を目指していたのですが。決勝は前半、原因不明のグリップ不足に悩み、ペースが上がらず、順位を下げる結果となってしまいました。ラルフは何とか8位入賞を果たしましたが、表彰台を狙っていたヤルノは9位とポイント圏外まで順位を下げてしまいました。この期待はずれの結果には、正直がっかりしました。今回もマクラーレン、ルノーの速さにはかないませんでしたが、今後じっくりデータを分析して巻き返すつもりです。
●原因不明のグリップ不足に悩まされる
日曜日は我々の予想通り、朝から晴れ、気温も上がってきました。まるでイギリスの天気とは思えないほど良い天気でした。レースのスタートは午後1時。その頃には気温27度、路面温度も45度くらいまで上がっていました。それは、土曜日より20度も上昇した数字です。しかし、それは我々の予想していたとおりでした。
スタートは、ヤルノもラルフもイン側のスタート位置で、路面が非常に汚れているダーティサイドだったので心配していましたが、予想どおり路面の悪さに加速が鈍り、1コーナーまでに2台とも順位を落としてしまいました。1コーナーを回ったところの順位は、ヤルノ6番手、ラルフ9番手でした。特にヤルノの動き出しは良く、スタートで前に出られるかというタイミングでしたが、そこからの加速でタイヤが空転し、逆に2台に抜かれてしまいました。1周目、スタートで佐藤琢磨選手が止まってしまったため、セーフティカーが出ましたが、すぐにクルマはピットに押されて戻ったため、2周目にはセーフティカーが解除され、レースは再開されました。
レースでは若干、2台の戦略を変えてありました。ヤルノはソフトタイヤ、ラルフはハードタイヤを選んでいたからです。どちらも一長一短だったので、ドライバーが選んだ結果、こうなりました。そのため、ヤルノは前半でペースを上げて、前に行く作戦だったのですが、最初のスティントでなかなかペースが上がりませんでした。トップグループが1分22秒台から21秒台だったのに対し、ヤルノは1分25秒台から24秒台と3秒近く遅かったのです。前との差はみるみる開いていきました。ヤルノの後ろにはミハエル・シューマッハーとライコネン、それにラルフが続いていました。ドライバーのコメントでは、クルマのバランスは悪くないけど、グリップがないと言っていました。
ピットはどちらも2回。ヤルノの方が先に入ってきて、ラルフは2、3周遅れて入ってくる作戦でした。最初のピットインはヤルノが20周目、ラルフが21周目でした。ここで空気圧をチェックしましたが、ヤルノの方は問題なく、ラルフの方は若干下げましたが、それでも問題は解決しませんでした。
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ラルフはピットインの際にタイヤの空気圧を調整するも、グリップ不足は解消されず。結局スタート順位と同じ8位でレースを終えた。 |
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確かに路面温度が昨日に比べて上がったため、路面のグリップは落ちるのが普通ですが、他のクルマのタイムを見ても、ここまでグリップに悩んでいるようには見えません。さらにフランスの時と違うのは、クルマのバランスは変わっていない点です。フランスのときはタイヤのグリップが落ちてきて、クルマのバランスが変わってしまったのですが、ここではクルマのバランスは問題なく、特に高速コーナーでグリップせずにクルマが滑るということでした。しかし、その症状もなぜか後半になると回復し、タイムも良くなってきました。最後のスティントでは1分21秒台で走れたほどでした。
前半、ペースの上げられなかったヤルノは、2回目のピットストップでラルフに前に行かれてしまい、9位とポイント圏外でのフィニッシュとなってしまいました。ラルフは8位スタート、8位でゴールと、可もなく不可もなくといったところでした。
●ホッケンハイムでは新スペックエンジン投入
今日のところはまだ原因はわかりません。クルマが帰ってきて、タイヤやクルマをチェックして、最後にデータと比較しないと何ともいえません。しかし、前回といい今回といい、決勝日に急に天気が変わったとはいえ、我々としては予想の範囲内だったので、この結果には非常に悔しい思いをしています。
次のホッケンハイムは我々のホームサーキットでもあるので、何としてもこの2戦の悔しい思いを晴らしたいと思っております。ホッケンハイムでは、新スペックのエンジンを用意しています。実はこのシルバーストーンでは、ヤルノのエンジンを変えませんでした。つまりインディアナポリスから3レースを使ったわけです。これで、ラルフと一緒のサイクルでのエンジン交換となったので、次に新スペックを2台とも入れられる訳です。それと、ここで使えば、次のホッケンハイムとハンガリー、そしてトルコとモンツァというサイクルになり、エンジン的に厳しいモンツァとスパを分けられるという目論見もあります。ホッケンハイムでは空力も何か新しいものを持っていくつもりです。次のヘレステストの結果で何を使うか決めます。ここシルバーストーンではアップデートしませんでしたが、後半は開発のスピードを上げていくつもりです。
それと、ヘレスでは来年用のV8エンジンも初テストします。今年後半はもちろん、すでに来年についての開発も始まっています。仕事としては非常に大変ですが、何とか後半戦に良い所を見せるために頑張りますので、楽しみにしていてください。
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