みなさん、こんにちは高橋敬三です。いつも公式サイトへアクセスありがとうございます。ドイツGPの金曜日、土曜日の報告です。
前戦イギリスGPの予選では速さを見せることができましたが、決勝では満足できる結果とは言いがたかったのが正直なところです。2台完走はしましたが、ポイントを取れたのは1台のみ。目標のダブル入賞はなりませんでした。ここドイツGPが行われるホッケンハイムはTMGのあるケルンから車で約2時間半の地元だけに、久々の表彰台を狙いたいと思っております。
●イギリスGP不調の原因はタイヤの使い方
イギリスGP後、ファクトリーでデータを確認したところ、決勝の第1スティントでペースが上がらなかった理由について、完全ではありませんがある程度の原因は掴めました。詳しくは言えませんが、ひと言でいうと、タイヤの使い方の問題だったようです。今回のドイツGPに向けてはその対策を考えてきたのですが、ホッケンハイムに来てみれば例年よりも涼しい天気。しかも、金曜日と日曜日は予報によれば雨の可能性が高い。ちょっと予想していた条件とは違ったドイツGPになりそうな感じです。
今回、クルマは空力のアップデートはなく、見た目にはあまり変わりませんが、エンジンが大きく進化しました。実は、このドイツで投入する予定のスペックのエンジンよりも、さらに上のスペックを前倒しして投入したのです。イギリスGP明けのヘレステストには、ドイツGP用のエンジンと、イタリアGPで投入予定のエンジンを持ち込みました。イタリアGP用のエンジンは、回転、馬力ともにかなり上がっていて、ドライバーが体感できるほどの差がありました。ただ、耐久性についてちょっと不安があったのですが、その後のベンチテストで2レース分の耐久性が証明できたので、急遽、投入を決定しました。
改修されたとはいえ、長いストレートの残るホッケンハイムではエンジンパワーは大きな武器となります。このサーキットでは、タイムを稼ごうと思ったら、ダウンフォースを付けてセクター3のインフィールド部分を重視したセッティングが有効ですが、そうすると最高速が落ちるためレースでは不利になってしまいます。最近のサーキットには珍しく、このコースはオーバーテイクポイントがあります。長いストレートエンドのヘアピンが、レースでは抜けるポイントになります。そのため、レースを考えれば最高速を伸ばす方向でセッティングしてやった方が有利となります。ダウンフォースを抑えて、最高速を伸ばしながら、セクター3でうまくタイムを稼げるセッティングが理想です。
●予選ポジションには不満だが、内容には満足
金曜日の午後は予報で雨の確率が高かったので、午前中にプログラムを消化するようなスケジュールでセッティングを開始しました。普通なら、路面ができていない金曜日の午前中はあまり走らないのですが。予想どおり、路面が悪く滑るため、グレーニングが出て大変でした。それでも午前中に新品タイヤを2セット使うチームが多かったようです。
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フロントウイングの形状の違いに注目。最終的には同じものを使用するが、セッティングの途中ではさまざまなパーツをトライ。 |
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午後も早目にプログラムを消化するため、セッションが始まるとすぐにコースインして3台を走らせました。結局、セッション中は雨が降りませんでしたが、トラブルもなく、タイヤのデータが取れたので、まずまずの金曜日だったと思います。タイヤ的には、プライムは温まりが悪く、オプションはグレーニングが出ていて、共に選択を憂慮する面がある状況でした。クルマのバランスは、ラルフが少々のアンダーステアに悩んでいましたが、ヤルノとテストマシンのリカルドは満足していました。ラルフのアンダーステアも、路面がグリップしてくれば良くなると思うので、それほど心配はしておりません。金曜日のセッションではメカニカルなグリップを上げることを中心にセッティングしていました。
タイヤ選択はちょっと悩ましい状況ですね。一番問題なのが日曜日の天候でしょう。雨が降るのか、ドライのままいけるのか。それによってタイヤ選択も変わります。日曜日の気温にも左右されますしね。それにしても、今日は気温21度、路面温度も30度以下と、例年のホッケンハイムのレースからは考えられない涼しさです。昨年と比べると、気温で10度、路面温度では20度も低い状態です。気温がもしこのままなら、ブリスターの心配がなく、ガソリンを重くしてもタイヤの磨耗に問題がないため、レース戦略も2回ストップということが考えられます。
土曜日のプラクティス3は気温も低く、あまり走っても意味がなかったので、走行は控えて、プラクティス4でセッティングを進めました。今回はレースでのセッティングを重視して、ダウンフォースを削って、最高速を伸ばす方向でセットアップを進めました。クルマのバランスは悪くはなかったのですが、タイヤの温まりが少し悪かったので、午後の予選に向けてはその辺を改善することを心掛けました。
予選は、狙ったタイムは出ましたが、順位は少し期待はずれでした。とはいえ今回はレースでの戦略を優先したので、しょうがないというところはありますね。上の何台かは、ガソリンを少なく積んでいると思われます。ピットストップでのポジションアップにも賭けます。予選でもクルマのバランスは悪くはありませんでした。ヤルノがアタック前半、ちょっとブレーキの効きが良くなかったと言っていた程度で、ドライバーも満足していました。最高速も出ていましたし、レースでは戦略も含めて、良い所まで上がっていけると思います。それにしても、相変わらずマクラーレンとルノーは速いですね。フリー走行の感じだと、0.5秒くらい我々よりも速い感じがしますね。それがレースでどれだけ縮められるか。戦略的にもマクラーレンと我々では違うようなので、どちらが良いか、楽しみですね。
日曜日は朝のうちに雨が降り、レースまでには路面も乾いてドライでレースが始まるはずです。そして、最後の雨が降るか……、雲が来るのが遅れればレースが終わった後に降るかもしれません。朝の雨がどれくらい降るかも問題ですね。路面が変わってきますから。できれば、晴れたままレースができるのが一番ですが。
決勝では見応えのあるレースができるはずです。期待していてください。決勝後にもこの公式サイト「高橋敬三リポート」でご報告いたします。応援よろしくお願いいたします。
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