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Rd.12 Grand Prix of Germany Keizo Takahashi report
grand prix
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高橋敬三リポート:日曜日

2005年7月24日(日)

応援ありがとうございました。ドイツGPの決勝についてご報告いたします。

予選ではヤルノ9位、ラルフ12位と、このところでは一番悪い結果となりました。この結果には我々も満足はしていませんが、内容的には特に不満があるわけではありませんでした。というのも、今回は決勝レースを見据えてのセッティング、戦略を採ったからです。ここ数戦のレースでは、予選は良いけど、決勝でペースが上がらず順位を下げてしまうレースが多かった。今回のドイツGPでは、その辺を課題に考えてレースを行いました。

決勝レースでは、ヤルノは歯車がかみ合わず、最後はトラブルにも見舞われてリタイア(14位完走扱い)という結果に終わりましたが、ラルフは決勝レースで順位を徐々に上げ、6位でポイントを取ることができました。2台とも決勝でのペースも悪くなかったし、エンジニアサイドとしては、課題は十分クリアしたと思っています。

●不運が重なったヤルノ、最後はエンジントラブルでストップ
日曜日は降水確率60%でしたが、雲が来るのが遅れていたので、レース中は降らないことはスタート前からわかっていました。ただ、気温20度、路面温度31度と例年のドイツGPと比べれば、格段に涼しいレースとなったのは先週のテストから考えると予想外でした。

レースを振り返ると、今回は不運な出来事がヤルノに集中しました。まず、スタートで1コーナーをアウトから進入したのですが、イン側のクルマに押し出されるような格好でアウトに飛び出してしまった。その遅れを取り戻そうと焦ったのか、ヤルノにしては珍しく、その先のヘアピンでもコースをはみ出してしまいました。それで左フロントタイヤにフラットスポットを作ってしまいました。今回から、レギュレーションが若干変更され、フラットスポットができたタイヤは交換できることになっていたので、1周目にピットインしてタイヤ交換をしました。

その後は良いペースで走れて、一時は大きく遅れていましたが、レース中盤には順位を上げてきていました。レース後半、53周目にブルーフラッグ無視によるピットスルーペナルティーを受けてしまいましたが、あれはしょうがない部分もあったと思いますね。前のクルマと争っていましたから。トップが後ろから迫っているのを、ピットからもすぐに指示を与えたのですが、あの時点では譲るほどの距離ではなかったような気がします。微妙な判定ですね。その頃には、実はエンジンのニューマチック圧が低下してきていたんです。どうにか持ちそうだったのですが、ペナルティーのピットスルーの後で急に圧が抜けてしまいました。急遽、ピットインさせて補給しました。それでもまた抜けてしまい、もう一度ピットインして補給しましたが、最後はエンジンを壊すよりはと、コース上に止めるようにピットから指示しました。初めてのトラブルなので、原因はまだわかりません。エンジン自体は壊れてはいないようなので、交換しなくても良さそうです。レースに、「たら」「れば」は禁物ですが、ヤルノのペースは良かっただけに、普通に走っていればフィジケラの前あたりにはいけていたはずのペースでした。

スタート直前、ヤルノのクルマを最終確認する高橋敬三。  

●ラルフは順調な走りで入賞。タイヤの使い方も上々な出来
対照的にラルフの方は順調でした。最初は遅いクルマに引っかかって、なかなかペースを上げられませんでしたが、徐々に順位を上げていき、最後は実兄のミハエル・シューマッハーとフィジケラとの4位争いまで上がれました。決勝でのペースもヤルノ同様に悪くなかった。ベストタイムが1分16秒073でした。

結果的には良いレースだったと思います。課題のタイヤの使い方もうまくできたと思います。フランスやイギリスでは、土曜日までは涼しくて、日曜日に急に気温が上がりました。そんなふうに条件が変わった時には、いろんなパラメーターを調整しなければならないのですが、前回まではそれがうまくできなかった。結果として、タイヤを使いきれていなかったのです。今回は、気温が日曜日に大きく変わるなどはありませんでしたが、その辺のことを頭に入れてセッティングの調整をしたのですが、この点はうまくいったと思います。ただ、エンジンのトラブルが出てしまい、また次までの課題ができましたが。

マクラーレンは速いですね。ルノーもフィジケラには追いつけるのですが、アロンソが速い。この2チームに追いつかないと勝てない。まずは、中団の数チームの中から抜け出して、このマクラーレンとルノーと互角に戦えるところにいかないといけません。現状では、フェラーリ、BARあたりと戦っている状況ですから。V8エンジンをテストしていることでもわかるとおり、すでに来年の開発も始まっていますが、まだまだ今年の開発も止めたわけではありません。後半、一気に巻き返して、勝てるように頑張ります。

公式サイトへのアクセスありがとうございました。今後もパナソニック・トヨタ・レーシングへの応援よろしくお願いします。

高橋敬三プロフィール
見事な追い上げのレースをしたラルフ。12番手スタートから終盤熾烈な4位争いを繰り広げ、6位入賞を果たした。