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Rd.4 Grand Prix of Spain
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スペインGPテクニカルプレビュー パスカル・バセロン Q+A

●前戦はヤルノが7位となり、さらに2ポイントを獲得しました。バーレーンGPを振り返ってみていかがですか?
「ある意味では予想を上回るいいレースができたと思う。バーレーンでの事前テストでわれわれがあまりいい状態ではなかったことを覚えている人もいるはずだ。実のところ、あの不調にはちゃんとした理由があった。ひとつには、細かい部分に信頼性の問題をいくつか抱えていたために十分な走行ができなかったこと。走行距離をあまり稼げない状況になると、必然的に悪循環に陥ってしまうものだ。クルマを開発できず、そのせいでセットアップも進められず、そしてそれが繰り返されてしまうわけだからね。その結果、われわれは低ダウンフォースにした状態でクルマを走らせることができなかった。その点、実際のレースでは大きく変わっていたわけで、2台のうち1台のパフォーマンスはマレーシアGPよりもさらにトップへと近づいていた。ラルフに関してはわれわれが望んでいたほどの速さがなかったが、これについてはセットアップの指針のいくつかの要素を見直す必要があるのは明らかだ。たとえばバーレーンのような場所では、直近のテストで得た指針がまったく当てはまらないことも多々あるからね」

●木曜日の夜に大変な嵐がありましたが、あれは何か大きな影響を及ぼしたのでしょうか?
「あれはひどい暴風雨だったね! あれには驚かされたが、実はコースのグリップレベルに関して言えば、あれは非常にポジティブな影響を残してくれたんだ。その前の2日間は砂嵐がかなり頻繁に起こり、そのせいでコースの路面はとにかくひどい状態だった。ほこりがあまりに多くて、コースを歩くと自分の足跡が残るほどだった。でもあの雷雨の後はかなりきれいになって、お陰でレースの週末をそれなりのグリップレベルで開始することができた。ただし、週末を通してグリップレベルは事前のテストのときよりも明らかに低下していたと言わざるをえない。土曜日の予選時も、グリップレベルは金曜日の1回目のフリー走行時と比較してまったくよくなっていなかったと思う。キミ・ライコネンは金曜日の走行が始まるとすぐに1分33秒1を出していたが、予選での彼のタイムはそれをわずかに上回る程度だった。つまり、グリップレベルは週末を通じてずっと低いままだったわけだ。テスト時のベストラップタイムが1分29秒9だったこともそれを証明している。だからバーレーンでは天候がグリップレベルに大きく影響する、ということなんだよ」

●グリッド上位のクルマのパフォーマンスがばらついていた要因のひとつは冷却にあったわけです。あなたも何か不安を感じていたのでしょうか?
「今シーズンのわれわれは冷却系統に関して何ひとつ悩まされていないし、マレーシアではボディワークをある程度閉じた状態で走ることもでた。これは空力の効率を考えると望ましいことだった。バーレーンではまったく問題なく余裕があったよ。ただし、各車のパフォーマンスの違いの主な要因がこの点にあると考えるのは、私としては無理があると思う。というのも、たとえ他車よりもすこしばかり冷却のためにボディーワークの穴を広げたとしても、空気効率の点ではコンマ1か2くらいの違いしかないからだ。ただし、マレーシアではパドックのほとんどの人間がフェラーリの勝利を予想していたという点については私も同意する。ほとんどの人にとって、なぜああいった結果になったのかは未だに謎のままだ」

●スペインから始まるヨーロッパラウンドについては楽観視していますか?
「最初のレースの後に時間があったため、かなり大幅な空力パッケージのアップグレードを用意することができた。バルセロナには新しいエンジンカバーとフロアを持ち込むし、リアのクラッシュエリアも刷新されている。これはかなりの量の仕事だったし、リアのクラッシュ構造に関しては再度ホモロゲーションを受けている。だから……、そうだね、われわれにとってバルセロナは、大幅にアップグレードした空力パッケージを持ち込むタイミングと重なることになる」

●バルセロナのコース改修についてはどのように思っていますか?
「バルセロナのコースは、すこしばかりその個性を失ってしまったと思う。かつてはとにかくすべてが高速コーナーだったし、空力パッケージとサスペンションパッケージをテストするのにとてもいいコースだった。なぜなら、各高速コーナーにはバンプがあり、そういった状況では当然空力効率と空力の安定性が重要になるし、また、グリップレベルを保つためにサスペンションの性能も非常に重要となるからだ。したがって、高速コーナーでの安定性という意味でバルセロナはとても面白いコースだった。だが新しくシケインが設置された今は、最後のいくつかの高速コーナーが簡単に全開で走れるようになり、それほど難度が高くなくなってしまった。とはいえ、今でも面白いコースだけどね」

●バルセロナは、今でもクルマの効率とパフォーマンスを測るいいバロメーターなのですか?
「そうだね。バルセロナで速ければ、ほとんどのサーキットでいい走りができるはずだ」

●今シーズンの展開をどのように見ていますか? トップがフェラーリとマクラーレン、次がBMW、その後にギャップがあり、そして接戦を繰り広げる中団グループが続く、という感じに見えます。
「われわれは上り調子だよ。ここまでの3戦を通じて予選の速さにどんどん磨きがかかっているし、バーレーンでのヤルノのタイムを見れば、われわれが4番目に速いチームなのは明らかだった。予選第2セッションでは全車が燃料を軽くした最適な状態で走るが、ここでヤルノは7位となり、ウィリアムズとの間には0.4秒もの余裕があった。次の目標はBMWに追いつくことだ。フェラーリとマクラーレンはもう一段上のステップになるが、とはいえ、われわれは挑戦が好きだからね!」