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Rd.11 Grand Prix of Hungary
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ハンガリーGP テクニカルインサイト パスカル・バセロン Q+A

●ホッケンハイムではティモがこれまでで最も力強いレースを披露していたと思いますが、彼はポイントを獲得できそうでしたか?
「ティモには間違いなくポイント獲得の大きなチャンスが巡ってきていたし、恐らく彼は6位以内でゴールしていたと言っていいだろう。彼の予選結果は我々が望んでいたものではなかったものの、お陰で最善の戦略を選択することが可能になった。彼は第1スティントで前を走る各車に近い位置につけていて、しかも燃料を多く搭載していたため長めに走ることができた。その結果ピットストップ後に順位を上げることができたんだ。彼は好調だったし、現実的に見て6位を狙える位置にいた。あれはとてもいいパフォーマンスだったし、彼の学習能力とその進捗には非常に満足している」

●ハンガロリンクを前にして一番注意しているのはどんなことでしょう?
「シルバーストーンとホッケンハイムでは、我々が“標準的なクルマ”と呼んでいるダウンフォースが中~高程度のクルマで戦ったが、ブダペストでは空力効率の面でモナコにかなり近いパッケージを用意することになる。コースのレイアウトとコーナーの詰まり具合を踏まえ、全チームがハイダウンフォースで走る。また、あのコースに関しては冷却系の問題がいろいろと出てくる可能性がある。平均速度が通常より遅く、ブレーキを使用する頻度が高いため、ブレーキとエンジンの冷却には常に注意しておかなければならない。この点については常に目を光らせておかなければならないが、ただし、ブダペストで一番の挑戦になるのはタイヤだ。横方向の負荷の厳しさが非常に高いレベルになるが、それに加えて路面のアスファルトのグリップがかなり低い。このためグリップが効くソフトタイヤで走ってはみたものの半周足らずでタイヤをダメにしてしまう、ということが簡単に起こる。あるいはハードタイヤでは全くグリップが得られない状態もあり得る。ハンガロリンクではこういった極端な状況に陥る可能性があるが、通常はみんながソフトタイヤを試して、なんとかレースを走り切ろうとする。今回、我々はそこそこいいレベルのグリップを得るべく軟らかめの2種類のコンパウンドを使用するが、ただしスーパーソフトはグレイニング(めくれ摩耗)に悩まされることが既に分かっている。とにかく今週末に大切なのは如何にグレイニングの状況を上手く管理するかだ」

●へレステストではハンガリー用のタイヤで走ったのですか?
「いや。我々はヘレスでテストをしたが、暑いあのコースにはソフトタイヤが適さなかった。そのためブリヂストンはミディアムとハードコンパウンドのタイヤを持ち込んだ。ただしソフトタイヤに関して我々は多くのデータを持っているし、どんな状況が予想されるのかも分かっているから準備は万全だ」

●ブダペストではコースの路面温度がどれくらい重要な要素になるのでしょう?
「ハンガリーでは路面温度が非常に重要になる。タイヤが適切な性能を発揮できる幅に大きな影響を及ぼすからね。あそこに行くときは常に高温になる前提でいるが、ただし、2006年は寒かった。ほとんどのチームがドライの状況で大きな問題を抱えていたが、レースでは雨に助けられた。あの時はびしょ濡れの状態からドライへと徐々に変化していき、ソフトコンパウンドが最後まで持ってくれた。予想外の低温だっただけに、2006年のレースが完全なドライだったら非常に面白い状況になっていただろう。だが天気に対し事前に注文を出しておくなんて無理な話だ!」

●ハイダウンフォースのコースでTF108はどんなパフォーマンスを発揮してくれると予想していますか?
「モナコ以降、我々はハイダウンフォースのパッケージに関し、更なる開発を進めてきた。その結果にはかなり満足しているし、ブダペストを楽しみにしている。昨年はトップ6入りしており、楽観的に考えている」

●現在の中団グループはこれ以上の接戦があるのかと言うくらい僅差になっていますよね?
「その通りだ。非常に僅差の戦いになっていて数多くのチームが一つの集団になっている。相変わらずマクラーレンとフェラーリはトップにいるが、ただしその後ろにはBMW、トヨタ、レッドブル、ルノー、そしてトロ・ロッソが一つの集団を作っている。ウィリアムズは幾分後退したが、状況は常に僅差のままだし、彼らも調子の良い週末になれば間違いなくこの集団に絡んでくるはずだ。ここからシーズン終わりまではタフな戦いになるだろう。レッドブルとは接戦だし、ルノーもドイツGPの結果を受けてすぐそこに迫っているが、コンストラクターズ選手権4位の座を維持することが我々の目標だからね。その挑戦に向けて、我々の準備はできているよ」