WRCでもっとも平均速度が高く、タイム差がつきにくいラリー・フィンランドは、非常にチャレンジングなグラベル（未舗装路）ラリーです。フィンランド在住6年となる勝田にとっては第2のホームラリーですが、攻略は非常に難しく、これまではなかなか納得できる結果を残すことができていませんでした。

木曜日のデイ1でオープニングとして行われたSS1は、勝田が住むユバスキュラの市街地を走行する「ハルユ1」。このショートステージで勝田は3番手タイムを記録し、上々のスタートを切りました。森林地帯での本格的な戦いは金曜日のデイ2から始まり、勝田は安定して6番手前後のタイムを刻み、昼間にユバスキュラ市街地で行なわれた「ハルユ2」では、昨年大会のこのステージ以来となるベストタイムを記録。総合５位のクレイグ・ブリーンと3秒差の、総合6位でデイ2を走り終えました。

土曜日のデイ3は朝から雨が降り、グラベルステージは濡れて非常に滑りやすいコンディションに。経験豊かなドライバーでさえもミスで戦列を去るなど、かなりトリッキーな路面での戦いになりました。そのような状況で勝田は自分の走りに自信を持ち切れず、スピンも喫してしまいました。それでも総合5位の座をベテランのティエリー・ヌービルと激しく争い、差を少しでも縮めようとアタックを続けました。しかし、一日の最後で再びスピン。大きくタイムを失い、差は42秒に広がってしまいました。

最終日の日曜日は、セットアップの変更が奏功し、5番手タイムを2回、6番手タイムを2回記録。トップドライバーたちと遜色のないタイムを並べ、総合6位でフィニッシュしました。勝田は第2戦以降7戦連続で総合6位以内に入っており、出場した全ラリーでポイントを獲得しています。また、ドライバー選手権では5位を守り、所属するTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationには、8戦連続でマニュファクチャラーズポイントをもたらしました。

勝田貴元：自分としてはいい内容と思えるラリーでしたし、第2のホームラリーを走り切ることができて嬉しいです。金曜日はいい戦いを楽しむことができましたが、土曜日は問題に直面し、ステージのコンディションと、自分自身が自信を持ちきれないことにかなり悩みました。グリップレベルが安定せず、スピンもしたことで、ティエリーと戦うチャンスを失ってしまいました。それでも、最終日にクルマのセッティングを変更したところフィーリングは良くなり、金曜日の時点で持っていた自信を取り戻すことができました。クルマは良かったですし、挙動も予測しやすいものでした。コンディションが変化する状況ではさらに改善する必要がありますが、前戦エストニアの時よりは今回のほうが良かったので、ポジティブに考えることができます。

ユホ・ハンニネン（インストラクター）：エストニアの時と同じように、初めてトップレベルで戦い続けてこのラリーを完走したのは、素晴らしいことです。土曜日の午後はあまり自信が持てず、終盤にはスピンをしてしまいましたが、それが最終結果に大きく影響したとは思いません。ラリー中にかなり頻繁にセットアップを変更しましたが、日曜日に向けて施した変更は彼にとってポジティブなものとなり、とても満足していました。チームとしては、クルマについて多くを学ぶことができましたし、貴元が最高のパフォーマンスを発揮するためには何が必要なのかも理解することができました。今年まだ2戦あるグラベルラリーに向けて、それは非常に有益なことだと思います。