TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム 勝田貴元、初出場のメキシコでデイリタイアを喫するも多くの学びを得る

2023.03.20(月)- 18:00配信

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、3月16日(木)から19日(日)にかけて、メキシコのレオンを中心に開催された2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦「ラリー・メキシコ」に、コ・ドライバーのアーロン・ジョンストンと共にGR YARIS Rally1 HYBRIDで初出場。デイ2でデイリタイアを喫するも、その後チームによって修理されたクルマでデイ3に再出走し、今後に繋がる貴重な経験を積みました。

勝田・ジョンストン組
勝田・ジョンストン組

2020年大会以来、3年ぶりにWRCのカレンダーに復帰したラリー・メキシコは、今シーズン最初のグラベル(未舗装路)イベントであり、GR YARIS Rally1 HYBRIDが初めて挑むラリーです。メキシコ中央高原のレオンを中心に行われるステージは、標高2700mを越えるエリアも走行し、気温は摂氏30度前後に達する「高地高温」のラリーとして知られています。高地では空気が薄くなるためクルマのエンジンパワーが20%程度低下し、路面の一部は非常に荒れているため、クルマとタイヤをケアしながら走る必要があります。勝田は、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのドライバーの中でただひとりラリー・メキシコ出場経験がなく、この特別なラリーを多くのことを学ぶ機会としてとらえていました。

木曜日の夜に古都グアナファトの街で華やかな2本のオープニングステージが行われた後、金曜日の朝からグラベルステージでの本格的な戦いがスタート。序盤からタフなステージが続き、早々にトラブルに見舞われたクルマもありました。勝田は朝一番のSS3で7番手タイムを、SS4で6番手タイムを記録するなど徐々にペースを上げていきました。しかし、午前中最後のSS5のグリップが低いセクションでスピン。コースオフを喫して走行を続けることができなくなり、デイリタイアとなりました。

幸いにもクルマのダメージは比較的小さかったため、その晩チームはクルマを修理し、翌日土曜日のデイ3で勝田は再出走。出走順が3番手とグラベルラリーでは不利な早い出走順により、路面のグリップは低く、ペースを上げることは容易ではありませんでした。しかし、それでも勝田は未知のステージをひとつひとつ確実に走り、多くの貴重な経験を積んで完走を果たしました。

勝田貴元:自分にとっては全てが初めて走るステージで、何が起こるかわからない難しいラリーでした。金曜日は、少しペースが速過ぎたかもしれず、ひとつのミスで大きな代償を払うことになりました。もう少しクレバーであるべきだったと思います。非常にハイスピードなセクションでブレーキングポイントの判断がやや楽観的になり、コーナーにターンインするのが少し遅れてラインから外れてしまいました。クルマを直してくれたチームには感謝しています。自信といいフィーリングを取り戻すのは簡単ではなかったですが、再出走後は最後までラリーを走りきり、多くの異なるステージで経験を積むことができたので良かったです。レッキを終えた時点で自分が予想していた以上にグリップレベルの変化が大きく、グリップを100%信頼して走るのは簡単ではありませんでした。クルマはとても素晴らしかったのですが、その性能をフルに発揮することができませんでした。次回はクルマからもっとパフォーマンスを引き出し、良い結果を出せるように頑張りたいと思います。

ヤリ-マティ・ラトバラ(TOYOTA GAZOO Racing WRTチーム代表):貴元は初出場のラリー・メキシコで多くのことを学んだと思います。本当はもっといい走りをしたかったでしょうが、メキシコは初出場でトップの選手たちのペースに近づくことが難しいラリーのひとつです。なぜならグラベル路面はとても滑りやすく、路面のコンディションも頻繁に変化する特殊なイベントだからです。このラリーで成功するためには、この道について学ぶ必要があるのです。貴元は金曜日にそのことを痛感したと思いますが、何よりも重要なのは、チームがクルマを修理したことにより、再出走して学ぶことができ、将来のために経験を積むことができたことです。

ラリー・メキシコの結果:

  1. 1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    3h16m09.4s

  2. 2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID)

    +27.5s

  3. 3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    +27.9s

  4. 4 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    +1m55.3s

  5. 5 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID)

    +2m58.8s

  6. 6 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン(シュコダ Fabia RS Rally2)

    +12m31.5s

  7. 23 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    +1h04m34.5s

■次回のイベント情報

勝田の次戦は、4月20日から23日にかけて、クロアチアの首都ザグレブを中心に開催されるWRC第4戦「クロアチア・ラリー」です。今年でWRC開催3年目を迎えるこのターマック(舗装路)ラリーは、高速区間とテクニカルな区間の両方があり、舗装の状態が頻繁に変化するためグリップレベルも刻々と変化し、攻略が非常に難しいターマックラリーとして知られています。