TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム 2期生小暮と山本がWRCラリー・イタリア サルディニアに出場
山本はRally2クラス11位で難関ラリーを走り切る

2025.06.09(月)- 18:00配信

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀が、6月5日(木)から8日(日)にかけて、イタリアのサルディニア島北東部で開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦「ラリー・イタリア サルディニア」にGR Yaris Rally2で出場。ヨーロッパでの今シーズン2戦目となるグラベル(未舗装路)ラリーで、山本はRC2クラス11位と健闘。小暮はリタイアに終わるも、難関イベントで貴重な経験を積みました。

山本雄紀/ジェームズ・フルトン
山本雄紀/ジェームズ・フルトン

小暮と山本にとって今回のラリー・イタリア サルディニアは、前戦WRCラリー・ポルトガルに続く今シーズン2回目のグラベル(未舗装路)イベントでした。彼らは昨年初めてラリー・イタリア サルディニアにGR Yaris Rally2で出場し、この島特有の難易度の高いステージと、厳しい路面で多くの学びを得ました。今年のサルディニアは、ラリーの中心となるサービスパークが島北西部のアルゲーロから、北東部のオルビアへと移動。それに伴いステージ構成も変わり、今回新たに設けられたステージも何本かありました。

サルディニアのステージは全体的に道幅が狭く、ハイスピードなセクションとツイスティな中低速セクションの両方が含まれます。山岳地帯に展開する道のすぐ近くには樹木や大きな岩が迫り、小さなミスが大きなアクシデントに繋がることも多い、難易度の高いラリーとして知られています。また、路面は目の細かな砂状のグラベルに覆われていますが、その下には硬質な岩盤が隠れており、同じステージを1回目に走行する時と、2回目に走行する時では路面コンディションとタイヤのグリップレベルが大きく変化します。さらに、今年は晴天が続いたことで気温および路面温度がかなり上昇。タイヤマネージメントも非常に重要な要素になりました。

今回、ふたりはサポート選手権であるWRC2にはノミネートせず、Rally2車両によるRC2クラスに出場。大勢の強豪選手が覇を競う激戦クラスで経験を積むことを目標に定め、ラリーをスタートしました。競技は金曜日の朝からスタートし、島の北部で3本のステージを各2回走行。山本とコ・ドライバーのジェームズ・フルトンは堅実なペースで走り始め、SS3ではダメージを受けたタイヤ交換作業のために大きくタイムを失いましたが、その後徐々にペースアップ。一日の終わりにはクラス12番手のタイムを記録しました。一方、小暮とコ・ドライバーのトピ・ルフティネンはSS2で橋にクルマを当ててダメージを負い、残念ながらデイリタイアとなりました。

デイ2の土曜日もまた島の北部で3本のステージを各2回走行し、山本はSS10でクラス12番手タイムを記録するも、SS11では再びタイヤ交換を余儀なくされタイムロス。RC2クラス14位で一日を終えました。小暮はデイ2で再出走を果たし、オープニングのSS7ではクルマにダメージを負って遅れをとりましたが、その後SS11ではクラス13番手タイムを記録。6本のステージを全て走破しました。

最終日のデイ3はサービスパークの北側と南側で2本のステージを各2回走行し、山本はSS13で11番手タイムを、SS15では今大会のベストとなる8番手タイムを記録。最終ステージを12番手タイムで走り切り、RC2クラス11位でフィニッシュしました。小暮はSS14で14番手タイムを記録しましたが、SS15の左コーナーに深く入りすぎ、側溝でスタックしたことでリタイアに終わりました。

ユホ・ハンニネン(チーフインストラクター):
サルディニアは常にタフなラリーですが、山本はとても堅実に週末を戦いました。残念ながら2回パンクを喫し、そのうち1回はコーナリングラインがワイドに脹らんでしまったことが原因です。それによって彼は良いリザルトを得るチャンスを失ってしまいました。それでも、いくつかのステージタイムは励みになるものでした。これまででベストな戦いだったと思いますし、ポルトガルからの進化は、我々が望んでいたものでした。一方、小暮にとってはより困難な週末になってしまいました。金曜日に早々にリタイアしたことによって、土曜日に自信を築くのに時間がかかり、日曜日もやや早めに終了することになりました。その一方で、クルマとの一体感を深めたことは、次回のギリシャに向けてプラスに働くと思うので、楽しみです。

小暮ひかる:
金曜日に起きたことは残念でしたし、愚かなミスでした。コーナーの出口に幅の狭い橋があり、内側に停っていたクルマがあったため、おそらく集中力を失ってしまい、クルマの右リヤを橋に当ててしまいました。それ以上走り続けることができず多くの走行距離を失いましたが、土曜日はより良い一日になりました。日曜日は自分が望んでいたような終わりかたにはなりませんでしたが、ステージを重ねるごとに徐々にクルマとの一体感を覚えるようになっていきました。もちろん結果は良くありませんでしたが、自分のフィーリングには満足しているので、ギリシャに向けて準備を整えることに力を注ぎます。

山本雄紀:
初めてこのラリーを完走できたことを本当に嬉く思います。とてもラフで、タフで、暑い週末でした。全てにおいて非常に厳しいラリーでしたが、自分としてはうまく対処できたと思います。2回のパンクでタイムを失ったことを除けば、全体的には本当にポジティブな週末だったと思います。良いペースと進歩を示しながら、多くのことを学びました。とくに、ステージの2回目の走行では、1回目の走行でペースノートが正しく機能していることを確認できたため、自信を持ってプッシュすることができました。ですので、この週末の結果には満足していますし、次のギリシャ向けて準備は整っていると感じています。

小暮ひかる/トピ・ルフティネン
小暮ひかる/トピ・ルフティネン
山本雄紀
山本雄紀

ラリー・イタリア サルディニアの結果(RC2クラス)

  1. 1 Oliver Solberg/Elliott Edmondson (Toyota GR Yaris Rally2)

    3h42m57.4s

  2. 2 Nikolay Gryazin/Konstantin Aleksandrov (Škoda Fabia RS Rally2)

    +2m25.8s

  3. 3 Roberto Daprà/Luca Guglielmetti (Škoda Fabia RS Rally2)

    +3m42.4s

  4. 4 Kajetan Kajetanowicz/Maciej Szczepaniak (Toyota GR Yaris Rally2)

    +3m48.2s

  5. 5 Martin Prokop/Michal Ernst (Škoda Fabia RS Rally2)

    +3m53.3s

  6. 6 Jan Solans/Rodrigo Sanjuan (Toyota GR Yaris Rally2)

    +4m27.7s

  7. 11 山本 雄紀/ジェームズ・フルトン (Toyota GR Yaris Rally2)

    +11m10.9s

  8. R 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2)

■次回のイベント情報

2期生小暮と山本の次戦は、6月26日から29日にかけてギリシャで開催される、WRC第7戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」です。中央ギリシャのラミアを中心に開催されるこのラリーは、サルディニアと同様グラベル(未舗装路)路面が舞台です。しかし、ステージは全体的にサルディニア以上に荒れていることが多いため、クルマとタイヤにかかる負担は非常に大きく、スピードと安定性をいかにバランスさせるかが鍵となります。