5/31~6/11 現地トレーニング & Enset Oy SM-Ralli参戦!
今回の課題
今回はこれまでのR4車両(スバル・インプレッサ)からR5車両(フォード・フィエスタ)へ切り替えての初の実戦。事前の走行トレーニングでは、R4とR5のパフォーマンスの違いを感じ取りながら、まずは基礎固めをし、R5車両に合わせたペースノート作りに重点を置いて準備をし、本戦に挑んだ。
今回のスケジュール
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- 5/31
- 走行トレーニング(Joutsa ラリークロストラック+スプリントステージ)
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- 6/1
- 走行トレーニング(Yijalantie/Ahvenuksentie test road)
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- 6/2
- 走行トレーニング(Pykalamaentie/Lapinojantie)
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- 6/3
- 走行トレーニング(Hauhanpohjantie/Vaarajarventie)
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- 6/7
- ペースノートトレーニング(Lankamaa/Palsankyla)
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- 6/8
- ペースノートトレーニング(Myhinpaa/Urria)
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- 6/10
- Sastamala Rally(レッキ)
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- 6/11
- Sastamala Rally(SS1 - SS9)
5/31 tue- 6/8 wed現地トレーニング
勝田・新井、両ドライバーにとって初めてのR5での走行トレーニングは、これまでも当プログラムで使用した馴染みのあるトラック・ステージから開始した。クルーによる車両のデモンストレーションから始まり、走行の合間にはデータ分析を基に、講師よりフィードバックを受けながら進行。翌日からはより本格的なステージに移動し、4日間でそれぞれ約400キロを走行した。R5車両はR4とは異なるドライビングスタイルが要求される。両ドライバーとも、最初はエンジン回転数が低すぎ、ブレーキが不確かであったが、一日目で既にコツを掴み、新しい車両での走行を楽しんでいた。ペースノートトレーニングでは、より速いクルマに適応するための、よりシンプルでロジカルなノート作りに取り組んだ。
6/10 fri- 11 sat Enset Oy SM-Ralli
6月11日に開催されたフィンランドラリー選手権第4戦、Enset Oy SM-Ralliに参戦。これまでのR4車両(スバル・インプレッサ)からR5車両(フォード・フィエスタ)へ切り替えての初の実戦である。Enset Oy SM-Ralliはフィンランド西部の町、サスタマラを中心に開催され、9つのスペシャルステージ(SS)、総SS距離119.6kmが1日で競われた。
14.26kmのSS1でトップタイムを出し地元ファンを大いに沸かせた新井は、その後も好調なタイムを出し続け、SS6終了時点でクラス3位につけていたが、SS6後にマシントラブルに見舞われSS7を前にリタイアを余儀なくされた。一方、勝田は走行距離を伸ばすことを最優先し、終始堅実な走りを見せた。得意のターマックを含む最終のSS9(8.34km)ではトップタイムをマークし、R5車両にステップアップしての初ラリーを締めくくった。
チーフインストラクターのヨウニ・アンプヤ氏は「新井のマシントラブルは不運であったが、今回の両選手のパフォーマンスには非常に満足している。彼らは競技での走行距離を重ねるごとに運転だけでなくペースノート作成のコツをつかんでいる」と二人の継続的な成長を評価した。
勝田は「すべてのステージでマージンをしっかり取りながら走ることができました。初めてのR5車両かつ久々のグラベルだったので、最初はペースノートの チェックも含め、色々試しながら走り、(トップタイムを出した)最後のステージでは1日のまとめの走りができました」とコメント。 新井は「マシントラブルはとても残念でしたが、それまでのステージでは先週からのテストを経て、一丸となったチームのおかげでよい結果が出せました。ペー スノートで不十分なところと、苦手とする中低速コーナーを克服できたら、もっとコンスタントにトップタイムが出せると思います」と自信を見せ、更なる成長 への課題を明確にした。
Enset Oy SM-Ralli 総合結果
1位 59:06.04 オーレ・クリスチャン・ヴェイビ(ノルウェー) 車両:シュコダ Fabia R5
2位 1:00:00.5 ユハ・サロ(フィンランド) 車両:プジョー208 R5
3位 1:00:12.3 テーム・アスンマー(フィンランド) 車両:スバルWRX STI R4
…
10位 1:01:40.3 勝田貴元(日本) 車両:フォード フィエスタ
トレーニング日記
- 今回の目標
- 完走とペースノートの改善を重点的に行うこと。
- 参戦して感じたこと
- まだまだペースノートの作りこみが甘く、本番ではタイムに直接影響してしまいました。もう少し細かくクレストやジャンプを正確に表現することで次回のラリーに繋げられると思います。セッティングに関してもまだまだ路面に適したセッティングを見つけられることが出来なかったので、これも次回に向けての大きな課題です。
- 今回学んだこと、成長できたと思う部分
- R5にスイッチして初戦となったフィンランド国内選手権。ステージ上のすべてにおいて車体の限界性能が飛躍的に向上しているのでスピードの違いに驚きましたが、慣れてくると恐怖心もなくなり、安心して乗れる車だと感じました。コドライバーのグレンからも常に厳しい言葉をかけてもらっていて、現状に満足することなく更に上を目指す励みになっています。残念ながら電気系統のトラブルに見舞われリタイアを余儀なくされましたが、それまで3番手につけていたので次回に繋がるラリーができたと思いました。
- 講師コメント
- とても不運なリタイアであったが、新井自身は素晴らしいパフォーマンスをしてくれた。 経験の浅さ故、まだ簡単なミスをしてしまう事はあるが、新しい車両での競技経験を重ねることによって、細かいミスは避けられるようになり、それによってコンスタントに早いタイムが出せるようになるはずだ。今後はさらに体力をつけ、長いレッキにも高い集中力が保てる選手に成長してくれることを期待している。
- 今回の目標
- 今年最初グラベルラリー、R5車両でのラリーと言う事で、以前同様まずは経験を積むために完走することと、ペースノートの内容をより正確にしていくこと。
- 参戦して感じたこと
- 今回のラリーはワイドステージが多く、ほとんどが全開コーナーのかなりハイスピードのステージでした。ライン取りもかなり大事でしたが、その点はレースでの経験が活きて、スムーズに進められたと思います。また、最後のステージではターマックも3キロほどあったので、とても気持ちよく走ることができました。
- 今回学んだこと、成長できたと思う部分
- 結果としては完走し、内容の方もしっかり目標を達成することができました。ドライビングはもちろん、特にペースノートの距離やコーナーアングルをより正確に作成できました。この3ヶ月間のイメージトレーニングが良い方向に実を結んだと実感しました。ですが、R5車両になり、コーナーアングルに関しても今までとは次元の違うコーナリングスピードになったので、次戦に向けてコーナーアングル等は見直す必要があると感じました。ペースノート自体がかなりセーフティマージンを築いて制作しているので、そこも経験をしっかり積みながら少しずつ攻めたペースノートにスイッチしたいと思います。
- 講師コメント
- 新しい車両、かつペースノートが非常に重要になるチャレンジングなステージに挑むことに、最初はプレッシャーを感じていたようにも見えたが、ステージをこなすにつれ、クルマとペースノートにも次第に慣れ、タイムはトップドライバーに近づいてくるようになった。彼のまだ少ない経験値の中で、SS9でトップタイムを出したことは高評価に値する。最終ステージ(SS9)のパフォーマンスによって、素晴らしい潜在能力を秘めていることを示してくれた。
両ドライバーの新しいクルマへの順応力は予想以上であった。発生した課題についても、素早く解決し、R5へのステップアップが正しい選択だったと確信することができた。 一方で、彼らのR5の経験は未熟で、まだたくさんの課題があると言える。トレーニングでは常に細かいポイントを意識して伝えるようにしている。彼らがそれらをしっかり理解し、今後の走行につなげてくれることを期待している。
次回は7月15~17日、欧州ラリー選手権(ERC)第6戦「auto24 Rally Estonia」に参戦します!!
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