9月23‐24日 フィンランドラリー選手権最終戦(第6戦)Pirelli Ralli参戦
今回の課題
勝田・新井にとって、今シーズン最後の欧州での参戦となる。チャレンジングなステージで経験を積むこと、パフォーマンスレベルの向上、安定したタイムを刻みトップドライバーとの差を縮めることを目標とした。
今回のスケジュール
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- 9/15-16、19
- ペースノートトレーニング
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- 9/20-21
- 走行テスト (Mansikkamaentie 3.0km、Onkimajarventie 3.4km)、(Karhumaentie 3.2km)
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- 9/23
- Pirelli ralli - Tampere (レッキ、SS1-2)
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- 9/24
- Pirelli ralli - Tampere (SS3-SS9)
9/15 thu-16 fri、19 monペースノートトレーニング
今回のペースノートトレーニングでは、より素早く、正確に、ノートを作ることを目的とした。勝田はペースノート作成への理解をより深め、週末に備えた。新井はノートに使用する言葉のバリエーションを増やしたことで、正確性と走行時のスピードの向上につながった。
9/20 tue -21 wed走行テスト
週末のラリーを想定してトレーニングを実施した。1日目は、ラリー初日の夕暮れ~夜にかけて行われるステージに合わせ、走行を午後から開始。 2日目も、タンペレのステージに近い、チャレンジングなステージで走行を実施し、ペースノートの確認などを行いながら、両ドライバーとも本番に向けて自信をつけた。
9/23 fri-24 satPirelli Ralli Tampere
フィンランド・タンペレ市を中心に行われるPirelli Ralliは、2日間で総SS距離120.59km、過去にはWRCのフィンランド戦でも使用された伝統的なステージなども含む9つのステージで競われ、非常に難しいとされるラリーである。昨年は勝田、新井共にリタイアを喫したが、その後一年間積み重ねたトレーニングの成果を発揮すべく、今年は自信を持って臨んだ。
Day1はSS1とSS2の2本を走り、新井がクラス6位、勝田はクラス13位で終えた。Day2は本ラリーお馴染みのSSであり、かつて何台もの車両をリタイアさせた難ステージであるSS3 – Savoからスタート。新井はこのステージを知り尽くした地元ドライバー達を抑えてトップタイムを出し、現地のラリー関係者や観衆を沸かせた。「コ・ドライバーのグレンと一緒にこれまで色々工夫してきたペースノートが完璧に働いた結果です」と振り返った。また、新井は今回から新設されたステージであるSS8とSS9でもトップタイムを記録し、総合3位でラリーを終えた。総合1位のJuha Saloとは9.6秒差、2位のAri Vihavainenとは僅か1.6秒差であった。一方、勝田も得意とするターマックステージ(SS5)でトップタイムを出したほか、全ステージをうまくコントロールして走りきった。結果、新井大輝/グレン・マクニール組は総合3位、クラス3位に入賞、勝田貴元/ダニエル・バリット組は総合11位、クラス8位で完走し、今シーズンの実戦トレーニングを締めくくった。
全9ステージのうち4つのステージで日本人ドライバーの2人がトップタイムを出したことについて、チーフインストラクターのヨウニ・アンプヤは、「2人がそれぞれトップタイムを出したことは驚きではなく、やるべきことを着実にこなした彼らの当然の結果である」と両ドライバーを称えた。「新井が2つのステージでかなりのタイムロスをしてしまったことはとても残念だったが、ペースを取り戻してからの彼の走りは素晴らしかった。勝田の走りは彼のペースノート経験の少なさがまだ影響しているが、今後さらに経験を積んでいけば競技スピードは自然についてくる」と分析し、両ドライバー共に今シーズンの育成目標レベルに到達したと、満足した表情を見せた。
トレーニング日記
![Hiroki Arai](/pages/contents/jp/challengeprogram_rally/report/2016/08/images/report_daily_hiroki.png)
- 今回の目標
- 今年一年かけて取り組んできたペースノートの課題を克服すること
- 参戦して感じたこと
- 今回のタンペレラリーは昔のWRCフィンランド、いわゆる1000湖ラリーと呼ばれる時代からの伝統ステージが数多く存在しておりペースノートの完成度の高さがタイムに直結するようなステージばかりでした。加えて毎年同じ伝統ステージを走行するので地元の道を知り尽くしているドライバーたちに勝つのは容易ではありません。その点においても、ノートの精度が明確に結果につながるので、今年取り組んできたことを試すには最高の機会だったと思います。
- 今回学んだこと、成長できたと思う部分
- 今回から道を表現する新しい単語をいくつか取り入れました。アクセルを開けるタイミングを道の形状に応じて細かく分けてあげるような意味合いの言葉です。これまでグレンと2人で試行錯誤しながら色々やってきたことがうまく機能し、その結果、Savoと呼ばれるアップダウンの激しいクレスト、ジャンプの絡んだ複雑なステージでベストタイムを出すことができ、他のステージでも2つベストが取れました。
今後の課題は、レッキの段階で確実にカットできるラインと出来ないラインをもっと細かく選定できるようになること。またコーナのどのタイミングでイン側のタイヤを引っ掛けて車速を乗せてあげるのかをもっと考えながらドライビングができるようになりたいです。
![Takamoto Katsuta](/pages/contents/jp/challengeprogram_rally/report/2016/08/images/report_daily_takamoto.png)
- 今回の目標
- フィンランド選手権最終戦という事もあり、まずは完走し、1年のまとめの走りをすること。
大きなミスなくスムーズな走りをし、ステージを追うごとに差を詰めていくこと。
- 参戦して感じたこと
- 今回のラリーはハイスピードで、かつ今までのフィンランド選手権の中で1番トリッキーで難しいステージでした。ペースノート作りにとても苦戦しましたが、ダニエルのアドバイスのお陰で、まだまだ足りない中でもシンプルかつ正確なペースノートは作れたと思います。ナイトステージでのペースノート作りや、リスニングは僕自身にとって、とても良いトレーニングになりました。
- 今回学んだこと、成長できたと思う部分
- 無事に完走し、ステージを追うごとに少しづつではありますが、プッシュする事なく差を詰めていけたので、前回のトゥルク同様にとてもいい感触を掴んでフィニッシュすることができました。今回のラリーのトリッキーなステージのお陰で、自分自身に足りない部分、自分の課題が具体的にわかってきました。最後のステージはペースノートがうまく作れていないセクターがあり、要所要所抑えながらも自分自身のできるドライビングをしました。途中で石を踏んでしまいパンクさせてしまいましたが、それまでのスプリットタイムはかなり良かったので、これも自信につながりました。一年を通し、ラリーを追うごとにダニエルとのコミュニケーションも取れるようになってきて、ステージ中のリスニングも以前よりもかなり自然に聞き取れるようになれたと思います。
- チーフインストラクター
ヨウニ・アンプヤ
今回のラリーは、前回のTurkuラリーと比べてチャレンジングなステージの連続であり、両ドライバーとも、難しい道でよい競技経験を積んだ。今回は、ドライバーが普段と同じパフォーマンスレベルをいかに保てるかがポイントであった。両ドライバーともに、トップタイムを刻めるステージもあれば、一部のステージでは非常にタイムロスが多いこともあり、安定性を高めることが重要である。全体としては、一年を通じ、今シーズンの育成目標レベルに到達したと考えており、彼らの更なる成長を楽しみにしている。
たくさんの応援ありがとうございました!
2017年も引き続き、応援よろしくお願いします!
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