TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge Program

Training Report Vol.1 - Arctic Lapland Rally / Rally Sweden

2017年シーズンスタート

16年シーズン終了後の一時帰国から、約3か月ぶりにフィンランドに戻ってきた勝田貴元と新井大輝。2017年の初戦となるArctic Lapland Rally(フィンランドラリー選手権第1戦)に向け、事前の雪上・氷上走行テストからトレーニングを開始した。 今年の参戦スケジュールは昨年の8戦から14戦に増え、ドライバー二人の課題は、競技を通してラリーの経験値を高めること。一戦一戦、課題を持って挑み、シーズン後半には、同クラスのトップドライバーたちと互角に戦えるようになっていることを目指し、トレーニングを継続する。

TRAINING

勝田貴元選手
勝田貴元選手

勝田のコ・ドライバーは今季より、フィンランド出身のマルコ・サルミネンが務めることになった。勝田の最初の課題は、新しいペアでのペースノート・走行に慣れること。勝田とサルミネンは、1月上旬からユバスキュラ近郊で共同生活を開始し、連日ペースノートの練習やフィジカルトレーニングを共に行いながら、徐々にフィーリングを合わせていった。

勝田貴元選手
勝田貴元選手
新井大輝選手
新井大輝選手

新井のコ・ドライバーは昨シーズンに引き続き、オーストラリア出身のグレン・マクニールが務め、すでに息はばっちりで安定の二人。
事前の走行テストでは元WRCドライバーのマルコ・マルティン氏が立ち会ってくれた場面もあり、両ドライバーは、ドライビングやセッティングについて貴重なアドバイスをもらい、ラリー本番に備えた。

新井大輝選手
新井大輝選手

RALLY REPORT

Arctic Lapland Rally(フィンランドラリー選手権第1戦)
2017年1月26-28日(SS数10本、総SS距離251.61km)
結果
新井大輝/グレン・マクニール 総合10位 (Ford Fiesta R5) 2:14:07.7
勝田貴元/マルコ・サルミネン 総合20位 (Ford Fiesta R5) 2:34:52.4

Arctic Lapland Rallyは、フィンランド北部のロヴァニエミを拠点に開催される伝統あるラリー。走行路の大部分が北極圏内で、過去にマイナス35度の中で戦われたことでも知られるが、今年は氷点下1~3度程度の条件となり、ラップランドの特徴的な路面で走行を学ぶ機会として、両ドライバーにとっては最高のコンディションとなった。
勝田・サルミネン組はSS1で好タイムをマークし順調なスタートを切るも、SS2で雪壁にスタック。観客の力を借りてなんとか道に戻ることができたが18分のタイムロスを喫し、続くSS3、SS4ではマシントラブルに見舞われた。翌日は41番目という不利な走行順となったが、最後まで走り総合20位でラリーを終えた。新井・マクニール組は終始安定した走りを見せ、最後まで上位争いを続けたが、入賞も視野に入った最終のSS10で雪壁にスタック。5分のタイムロスとなり、結果的に総合10位でラリーを終えた。

  • 勝田/サルミネン組
    勝田/サルミネン組
  • 新井/マクニール組
    新井/マクニール組
Rally Sweden(FIA世界ラリー選手権第2戦) - WRC2クラス参戦
2017年2月9-12日(SS数18本、総SS距離331.74㎞)
結果
新井大輝/グレン・マクニール WRC2クラス7位 (Ford Fiesta R5) 2:52:01.6
勝田貴元/マルコ・サルミネン WRC2クラス9位 (Ford Fiesta R5) 2:58:42.1

雪と氷の路面で競われるハイスピードのラリー・スウェーデン。両ドライバーにとっては運転技術とペースノートのトレーニングに加え、世界レベルのドライバーに求められる集中力と体力面での訓練にもなった。 今回は、前戦のフィンランドラリー選手権で使用したスノータイヤよりも幅の広いタイヤを使用し、これにより、二人は新しいグリップレベルに慣れることが必要となった。またチャレンジングなスウェーデンのステージで、パンクを避け、スタッドをなるべく残すように走行することも求められた。
勝田はデイ2ではパンクや雪壁へのスタック、スピンなど、様々なアクシデントに見舞われたが、デイ3以降は安定した走りを見せ、ジャンプで有名なコリンズ・クレストではWRCクラスを含めても2番目に長い42mのビッグジャンプで観客を沸かせた。一方、新井はデイ2で2度のスローパンクチャー、デイ3でのスピンやロアアーム損傷など、度重なるトラブルを経験したが、いくつかのステージでは同クラスのトップレベルの選手に引けを取らないタイムを出し、成長を印象づけた。

  • 勝田/サルミネン組
    勝田/サルミネン組
  • 新井/マクニール組
    新井/マクニール組
Takamoto Katsuta
Arctic Lapland Rallyの2日目は走行順位が41番目になってしまったため、わだちが深くなっていたり、雪がなくなってグラベルになっていたり、非常に悪条件での走行でしたが、そういう中でどのように走ればよいかという、とてもよい勉強になりました。マルコとの初めてのラリーで、まずは完走できてよかったです。
ラリー・スウェーデンでは、所々ペースノートのミスがあり、ノートの重要性を改めて感じました。今回のラリーはハイスピードかつ、トリッキーなジャンクションも多く、簡単にタイムロスしてしまう要素がたくさんありました。そんな中でセーフティマージンを維持し、高速スノーラリーを走りきることができました。ビックジャンプなども個人的にとても楽しめました。昨年のWRC初参戦時に比べ、メンタル面でも少し余裕ができていて、より広い視野でラリーを進めることができたと思います。
Hiroki Arai
久々のR5車両での初戦は、初日はとにかくブレーキングを丁寧に、タイムは気にせず感覚を取り戻すように心がけて走行しました。サービスのたびにエンジニアと話しながらセットアップの変更にトライし、ステージを追うごとによくなりました。2日目、最終ステージのスタックが悔やまれますが、総合3番手タイムを出せるまで感覚を戻せたのはよかったです。ラリー・スウェーデンでは様々なドライビングスタイルを試しながら走行し、うまくいった点や駄目だった点を具体的にタイムや感覚から理解することができました。なかなか思い通りにいかない難しいラリーでしたが、いくつかのステージでは同クラスの上位の選手たちと近いタイムを出せ、自信になりました。ミスもしましたが、ミスをしたからこそ、次は具体的に何に焦点を絞って改善していくべきか、今後に繋がるポイントを見つけることができました。
チーフインストラクター
ヨウニ・アンプヤ
Arctic Lapland Rallyでは、順位には表れなかったものの、両ドライバーとも素晴らしいパフォーマンスをし、多くの経験と自信を得ることができました。ラリー・スウェーデンでは、小さいミスはたくさんありましたが、まだまだ経験が少ない彼らにとっては、それらのミスは成長のために必要な過程です。長く過酷なラリーを完走したことで、二人は多くを学び、精神面でも成長しました。今後の更なる成長に向け、勝田の一番の課題はペースノート、新井の課題は安定した走行です。我々講師陣はそれぞれの課題解決に向け、彼らを最大限にサポートしていきます。

Dear, reader…(読者の皆さんへ)

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