Round3
全日本ラリー選手権 第3戦 若狭
レポート
全日本ラリー選手権 第3戦 若狭レポート

難易度の高いステージを走り切りJN5クラス3位、
チーム一丸となり2戦続けての入賞を果たす

チーム一丸となった戦いが、前戦の優勝に続き2戦連続の表彰台という結果につながった。
チーム一丸となった戦いが、前戦の優勝に続き2戦連続の表彰台という結果につながった。
今回のラリー会場には、社員メカニックたちが作業する様子を見守る担当役員の姿も見られた。
今回のラリー会場には、社員メカニックたちが作業する様子を見守る担当役員の姿も見られた。

 5月21~22日、全日本ラリー選手権第3戦「若狭ラリー Supported by Sammy」が開催され、Team TOYOTA GAZOO RacingのTOYOTA Vitz GRMN Turbo(大倉聡/豊田耕司組)がJN5クラス3位を獲得した。
 今シーズン3戦目となるターマック(舗装路)ラリーは、トリッキーなコーナーが連続する箇所や、路面コンディションが変化する箇所などが多い、難易度の高いコースが舞台となった。マシンは初日のSS7で縁石にタイヤをヒットし、その接触の衝撃によりアライメントが狂ってしまう。しかし、メカニックたちは夕方のサービス(45分間)と翌朝のサービス(20分間)の両方の時間をうまく使って、原因の究明とアライメントの調整を冷静に行い、完璧な状態でマシンを2日目の競技に送り出した。
 そして、2日目はクラス4番手の選手との差を見ながらペースをコントロールし、ポジションを守り切りクラス3位でゴール。JN5クラスのシリーズランキングトップの座を守った。
 大倉選手は、「まだまだ課題はありますが、今後さらにマシンの改良を進めていけば、いい勝負ができるという手応えは得られました」と、今後への期待をうながす前向きなコメント。
 チーフメカニックを務める豊岡悟志は次のように語っている。
「今回のラリーも、とにかく完走すること、サービスに帰って来られるようにすることを一番の目標に考えていました。マシンには熱対策など色々と細かい部分を改良してきましたが、大きなトラブルもなくその効果を発揮できたと思っています」

チーム一丸となった戦いが、前戦の優勝に続き2戦連続の表彰台という結果につながった。
チーム一丸となった戦いが、前戦の優勝に続き2戦連続の表彰台という結果につながった。
今回のラリー会場には、社員メカニックたちが作業する様子を見守る担当役員の姿も見られた。
今回のラリー会場には、社員メカニックたちが作業する様子を見守る担当役員の姿も見られた。

めざせ凄腕メカニック~「いいクルマづくり」への道~Vol.03

「WRCにハマっていた時期は、ちょうどトミ・マキネンが王者として君臨していた1990年代後半でした」という大場。
「WRCにハマっていた時期は、ちょうどトミ・マキネンが王者として君臨していた1990年代後半でした」という大場。
サービス作業時には他のメンバーのサポートにまわったり、各種のチェックに目を配る。
サービス作業時には他のメンバーのサポートにまわったり、各種のチェックに目を配る。

 Team TOYOTA GAZOO Racingにおいて、マシンの製作・整備を担当するのは、凄腕技能養成部の社員メカニックたちだ。厳しいラリー環境で技能を磨く彼らから、毎回1名のスタッフを紹介する。第3回目は、今後WRCプロジェクトにも携わる予定の大場隆史だ。
「私はずっと量産車の評価をする部署にいましたが、WRCプロジェクトへの参加が決まり、今年の3月から凄腕技能養成部に配属となりました。今年の夏にはフィンランドに行くのでわずかな期間しかありませんが、今は全日本ラリーのメカニックチームにも参加し、経験を積んでいるところです。クルマが好きでトヨタに入社しましたし、WRCも興味を持って見ていた世界です。その憧れた世界に自分がメカニックとして参加できるチャンスでしたし、普通ではできない経験ができるので、たいへんワクワクしています」と語る大場。今回の若狭ラリーが全日本ラリー初参加となる。
 大場は全日本ラリー初参加の印象について、「全日本ラリーのドライバーは、世界で名前の通じる方もいるのですごい世界なんだろうなとは思っていましたが、やはり戦いのレベルは高いです。一方で、色々なチームがライバルでありながら、ラリーを通じた仲間のような気さくな雰囲気もあり、想像以上に賑やかでした」と語った。今回のサービスでの大場の役割は、車両のジャッキアップとリヤまわりの点検。「手が空けば他のパートを手伝ったり、若手にアドバイスなどをしています」
 TOYOTA GAZOO Racing Vitz GRMN Turboは大きなトラブルもなく、第3戦若狭で3位入賞を果たした。大場は言う。「まずは完走してくれたクルーに感謝したいですね。それに、作ってきたクルマがしっかりと走って、帰ってきたことがうれしい。まずは何事もなく完走することが第一です。3位という結果でしたが、こうした方がいいという課題も見えてきました。まずは確実に走れるクルマと、それを支える体制を少しずつ整えていくことが重要だと思います」

「WRCにハマっていた時期は、ちょうどトミ・マキネンが王者として君臨していた1990年代後半でした」という大場。
「WRCにハマっていた時期は、ちょうどトミ・マキネンが王者として君臨していた1990年代後半でした」という大場。
サービス作業時には他のメンバーのサポートにまわったり、各種のチェックに目を配る。
サービス作業時には他のメンバーのサポートにまわったり、各種のチェックに目を配る。

勝田範彦選手が開幕3連勝を達成!(JN6クラス)

 全日本ラリー選手権の最高峰クラスとなるJN6クラスは、開幕戦、第2戦に続いてスバルWRX STIの勝田範彦/石田裕一組が勝利を獲得した。2015年の最終戦、新城ラリーも含めれば4連勝という強さを誇っている。

勝田範彦/石田裕一組(スバルWRX STI)が、開幕から3連勝を達成。次戦以降、勝田選手の勢いがどこまで続くのか注目だ。
勝田範彦/石田裕一組(スバルWRX STI)が、開幕から3連勝を達成。次戦以降、勝田選手の勢いがどこまで続くのか注目だ。

 勝田選手はSS1から3連続ベストタイムをマークし快調な出足を見せた。初日のSS8を終えて、ライバルの奴田原文雄/佐藤忠宜組(三菱ランサーエボリューションⅩ)に対して20.9秒という大きなリードを築く。2日目には奴田原選手に代わり2番手に浮上した福永修/竹原静香組(三菱ランサーエボリューションⅩ)が猛追を見せたが、勝田選手は堅実な走りでトップの座を守り切り、今シーズン3度目の勝利を飾った。勝田選手は、「ちょっと危ないシーンもありましたが、勝つことができて良かったです。次戦も気を引き締めて走ります」とコメント。福永選手が最終SS手前のTCに1分遅着して10秒のペナルティが科されたため、2位は奴田原選手、福永選手は3位という順位となった。

勝田範彦/石田裕一組(スバルWRX STI)が、開幕から3連勝を達成。次戦以降、勝田選手の勢いがどこまで続くのか注目だ。
勝田範彦/石田裕一組(スバルWRX STI)が、開幕から3連勝を達成。次戦以降、勝田選手の勢いがどこまで続くのか注目だ。

全日本ラリーは初参戦のディーラーチーム、ネッツトヨタ富山(注目のチーム)

 今回は、JN1クラスを6位で無事に完走した全日本ラリー初参戦のディーラーチーム、ネッツトヨタ富山「Netz TOYAMA Racing」を紹介しよう。ネッツトヨタ富山は、会社としてNetz Cup Vitz RaceやTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceに参戦しており、昨年はTRDラリーチャレンジに出場する社員の野村長選手にも支援を行なうなど、モータースポーツに積極的に参戦し、クルマの楽しさを多くの人に伝えている。そのような会社を母体として活動するチームが、全日本ラリー選手権にステップアップを果たした。特筆すべきは、ドライバー、コ・ドライバーをはじめ、監督、メカニックもネッツトヨタ富山の社員で構成されていること。コ・ドライバーを務めるのは、同社初の女性エンジニアである山田実歩選手。なんと今大会がラリー3戦目だという。

  • 野村選手は、「また全日本に参戦する機会があれば頑張りたいと思います」。山田選手は「無事に完走できましたし、応援に来てくださる方がいたのがとてもうれしかったです」とコメント。
    野村選手は、「また全日本に参戦する機会があれば頑張りたいと思います」。山田選手は「無事に完走できてよかったです」と笑顔でコメント。
  • マシンには大きくネッツトヨタ富山の文字が。今回のラリーでは、たまたま富山県から観戦に来たという観客にも声を掛けてもらったという。
    マシンには大きくネッツトヨタ富山の文字が。今回のラリーでは、たまたま富山県から観戦に来たという観客にも声を掛けてもらったという。

「初めての全日本ラリー選手権で6位と、まずまずの結果だと思います。もちろん課題も多々ありますが……コ・ドライバーの山田はラリーに出場するのが3回目ですが、頑張ってよくやってくれたと思います」と野村選手。
 その山田選手は、「野村選手に誘われてコ・ドライバーとして参戦することになりました。初日は緊張してしまいうまくできませんでしたが、最終日はなんとか自分の力を発揮できたかなと思います」と笑顔でラリーを振り返った。
「無事に完走できたことがなにより良かったです。今回の結果を会社に報告して、今後の活動をどうしていくのか話し合いたいと思います」と語るのは、大上達也監督だ。ラリーやレースといったモータースポーツ活動を通じて、クルマの魅力を伝えていくネッツトヨタ富山の活動に、今後も注目していただきたい。

もっとラリーを楽しもう

 若狭湾に面した複合リゾート施設、うみんぴあ大飯に設けられたTOYOTA GAZOO Racingブースでは、ヤリスWRCテストカーとともに、昨年の全日本ラリー選手権に参戦したヴィッツGRMNターボのラリーカーを展示しました。ラリーを身近に感じていただけるよう、お子様やファンの皆さんには実際に運転席に座っていただくなどして、ラリードライバー気分を味わっていただきました。
 また、ラリーパーク内に観戦ステージがあり、お子様や女性でも気軽にラリーを観戦できるようになっています。GAZOO Ladyの黒須さおりさん、高家望愛(こうけ・のあ)さんのふたりもファンの皆さんと一緒に目の前を通りすぎる選手たちにエールを送りました。

  • ブースには昨年の全日本ラリー選手権に参戦したヴィッツを展示。乗車体験にも多くの方にご参加いただきました。
    ブースには昨年の全日本ラリー選手権に参戦したヴィッツを展示。乗車体験にも多くの方にご参加いただきました。
  • ラリーパークで行われたジャンケン大会にはGAZOO Ladyも登場し、オリジナルグッズプレゼントなどステージを大いに盛り上げました。
    ラリーパークで行われたジャンケン大会にはGAZOO Ladyも登場し、オリジナルグッズプレゼントなどステージを大いに盛り上げました。

次戦予告

6月10~6月12日 全日本ラリー選手権 第4戦
「がんばろう! 福島MSCCラリー 2016」

6月10日~12日に開催される第4戦「がんばろう!福島MSCCラリー2016」は、今シーズン初めてのグラベル(未舗装路)ラリーです。SSの距離が短く、路面が荒れたラフな道が多いため、毎年接戦になるとともにリタイヤも多いサバイバル戦が繰り広げられています。TOYOTA GAZOO RacingブースにはヤリスWRCを展示し、GAZOO Lady2名も「顔ハメパネル」と一緒に登場予定です。