ニュルブルクリンク24時間耐久レース 2026
GRヤリスで77周走破 トラブルを越え、挑み続けた24時間

2026.05.18(月)- 21:45配信

 モリゾウの原点であり、GRの「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を象徴するニュルブルクリンク24時間耐久レースへ、2025年に続きGAZOO RacingとROOKIE Racingが融合した「TGRR」で参戦。若手を主体にベテランが支える布陣で、実戦を通じたスピーディな人材育成とクルマづくりにも挑戦した。

2025年は一度も止まることなく完走したGRヤリスDATだが、チームは「更なる改善余地がある」と一歩踏み込んだ領域を模索。その成果を反映した109号車は久富エンジニアリーダーのもと、パワートレイン、空力、ワイドトレッド化を中心に“攻めた”アップデートを実施。3月のNLS第2戦では、昨年仕様比で約10秒のラップタイム短縮を達成した。

 予選ではドライバー全員が規定周回をクリアし、決勝に向けた準備を整えた。

 決勝日の全体朝礼、モリゾウはメンバーに向けてこのように語った。

「昨年“原点回帰”としてGRヤリスでニュルに戻ってきました。今年もその流れを継続し、この舞台に挑みます。ニュル特有の“高揚感”や“独特な空気”に呑まれる必要はありません。過度に緊張せず、これまでやってきたことをそのまま出すことに集中してください。昨年のレース終了後から今日を迎えるまで、チーム全員で取り組んできたクルマづくり、人づくり、体づくり、心づくりの成果が、15時のスタートから試されます。困っている人がいたら声を掛ける、自分にできることがあれば助けてあげる、助けてもらったら“ありがとう”と言う。このシンプルな徹底こそが真のOne Teamを作ります。今年は天候が不安定なので、健康第一、安全第一、これを絶対条件として24時間を戦い抜きましょう。」

【思い通りにいかない、それがニュル】

 スタート後、強豪マシンが次々とリタイアする大荒れの展開でも、109号車はフロントウィンドウのヒビ以外は順調に周回。石浦が格上を追い回す快走を見せ、モリゾウへ交代。公式カメラを通じて故・成瀬弘氏譲りのスムーズな走りが世界へ配信された。

 続く大輔も安定したラップを刻んだ。大嶋へ交代後、ワイパー不具合、スピードリミッターボタン不良、パンクなどのトラブルが発生したが、チームは早急に対処し夜間を乗り切った。

 しかし夜が明ける6時頃、大嶋から「車両に振動が出て違和感がある」とコメントがありピットイン。原因特定に時間を要する中、関谷GMは「成瀬さんだったらどうするか?」と考えた結果、確実性の高い「エンジン・駆動系の全交換」を決断。モリゾウも「急がず、確実に、安全に」と背中を押しチームは作業を開始した。

 限られた環境の中での作業だったが、約3時間で載せ替えし、トラブル発生から約7時間後にコースへ復帰した。最終スティントはモリゾウが担当。場所によってドライ/ウエットが混在する難しいコンディションの中を佐々木の先導で力走し、8周を周回してチェッカーを受けた。

 最終的に77周を走行したものの競技上の完走条件には届かず、公式結果はDNC*となった。昨年と比べると誰もが決して納得のいく戦いではなく、悔しさが溢れた24時間だったが、ニュル挑戦の根底にある「走り続けること、そして直して挑戦し続けること」の重要性がより色濃く学べた戦いだった。

 来年はGRがニュルに挑戦して20年となる節目の年。今回の悔しさを自信に変えるために、「もっといいクルマづくり」の旅はこれからも続く。

*Did Not Classify。未完走

【レース後のコメント】

●モリゾウ
 TGRRとして参戦2年目。昨年は非常に恵まれた好条件でしたが、今年は「思い通りにいかない、この悔しさこそがニュルである」という戦いだったと思います。過去のニュルの戦いを振り返ると、エンジン破損や10時間以上走行不能になった年もありました。ただ、トラブルを克服して復活することにこそ、ニュルに挑戦する意味があります。そして、この過酷な経験は絶対にいつか役に立つものであり、成瀬さんにも「皆が良い経験をした」と報告したいです。最後のスティントはチームが全力で直してくれたマシンを最後まで確実に走り切ることが自身の使命であると言い聞かせて走行をしました。そして8周を走り切ったことでワンスティントをしっかり計算できる体力がついていることも確認できました。私は70歳を迎えましたが、これで終わりではありません。TGRRのニュルの活動は今後断固として継続していきます。やり抜くことも「ニュルの原点」です。

●関谷GM
 今回のレースは、過去に経験したような極めて過酷な展開でした。車両の性能向上に伴い、従来発生し得なかった新たな課題(事象)が顕在化。しかし、これらのトラブルには事前準備によって回避可能だったものも含まれており、今後の改善の余地は多分に残されています。 レース中に機能パーツの「全交換」と言う決断をしましたが、これは現場で停滞するのを避け「まずは現状打破のために動く」という判断でした。この決断に対し、現場の全メンバーが「何としても車両を走らせる」という強い共通の意志を持ち、迅速かつ前向きに対応してくれ、ありがたかったです。

●久富エンジニアリーダー
 今回は自分の中で「もっとやれたこと」、「事前に気づけたこと」、「さらに詰められた要素があったのではないか」と思う事ばかりで、正直言うと「悔しくて悔しくて、泣きたいくらい」です。そして、本当にみんなに助けられた戦いでした。事前に何度もテストを行ない、データを積み上げてきたつもりでしたが、本番では予想しなかったトラブルが発生し、ここにニュルの本当の“怖さ”がある事を実感しました。ただ、このまま終わらせてしまったら絶対に悔いが残ると思うので、いつか必ずリベンジしてニュルを攻略できるようなクルマをつくりたいです。

<予選結果>
総合順位 クラス順位 チーム 車名 ゼッケン 予選タイム
96 1 TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing GR YARIS 109 9分38秒4
<決勝結果>
総合順位 クラス順位 チーム 車名 ゼッケン 周回数
DNC*1 DNC*1 TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing GR YARIS 109 77
<参戦体制>
チーム ゼッケン クラス 車名 ドライバー GM チーフメカニック エンジニアリーダー
TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing 109 SP2T GR YARIS モリゾウ
豊田大輔
石浦宏明
大嶋和也
関谷利之 南剛史 久富圭

※1) Did Not Classify:未完走