ニュル24時間レースQualifying Raceで
今季ニュル初走行のRCとC-HRが完走

ニュル24時間レースQualifying Race

 3月に行なわれた富士スピードウェイでのシェイクダウンを終えた3台のマシンは、テストでの課題を修正・調整を行なった後に海を渡り、ドイツ・ニュルブルクリンクへ到着。4月16-17日に行なわれたニュル24時間のためのQualifying Raceに参戦。今年のニュル24時間に向けて「クルマ」と「人」の実戦テストが行なわれた。

 16日の予選1回目の前のフリー走行は、TOYOTA GAZOO Racingにとってニュルブルクリンク今季初走行と言うことで、3台共にクルマの状況、コースの状況を見ながらのチェック走行となった。RCとC-HRは若干トラブルがあったが予選までに修復は完了。ちなみにC-HRのドライバーラインナップには開発責任者の古場博之の名前も。つまり、開発者自ら過酷なニュルブルクリングでレーシングカーのテストを行っているのである。

  • ニュルブルクリンク今季初走行。クルマの状況、コースの状況を見ながらのチェック走行となった
    ニュルブルクリンク今季初走行。クルマの状況、コースの状況を見ながらのチェック走行となった
  • C-HR開発責任者の古場博之が走行結果をエンジニアに伝達
    C-HR開発責任者の古場博之が走行結果をエンジニアに伝達

 16日の16時50分から行なわれた予選1回目は、直前まで霰が混じる雨が降り、路面は場所によってドライとウエットが混在するニュルらしい状況。RC F、RC共に順調だったが、C-HRはリアの安定感に不安があることを指摘され、予選終了後にセットアップ変更を実施。17日の朝に行なわれた予選2回目は、朝方降った雨の影響でコース上は完全なウエット、4月とは思えない気温5度の中で行なわれた。しかし、予選開始と共に雨はやみ、路面はレコードラインからドライに。3台のマシンはスリックタイヤでコースインし予選1日目のタイムを更新。
予選1/2回目の結果による総合順位は、C-HRが総合64位、RCが総合42位、RC Fが総合25位であった。

  • 予選1回目は、直前まで霰が混じる雨が降り、路面は場所によってドライとウエットが混在するニュルらしい状況
    予選1回目は、直前まで霰が混じる雨が降り、路面は場所によってドライとウエットが混在するニュルらしい状況
  • TOYOTA GAZOO Racing with TOM'Sとして参戦したNo.36 LEXUS RC Fも予選1/2回目での結果は総合25位であった。
    TOYOTA GAZOO Racing with TOM'Sとして参戦したNo.36 LEXUS RC Fも予選1/2回目での結果は総合25位であった。

 12時スタートの決勝はどのマシンもニュルの洗礼を受けることに。C-HRはスタート前に燃料系のトラブルにより、グランプリコース上でストップ。復旧するもピットレーンスタートに。スタート後は天候が時々刻々と変化。今回は雨だけでなく雹も降り、タイヤ選択も難しいニュル特有の厳しい状況だが、3台のマシンは着実に周回を重ねていったが、ニュルはそう簡単には微笑んではくれない。
RC Fはフロントアンダースポイラーを固定するワイヤーが外れるトラブル、RCはアンダーパネルを擦ってしまう問題が発生したが、メカニックは迅速に対応。また、レース開始2時間後には、C-HRが前を走るクルマのエンジンブローで漏れたオイルを踏んでスピンしリアを接触。自力でピットに戻ることができたため、約30分で補修を終えてコースへと復帰。
その後、3台はセットアップや調整を繰り返しながら順調に走行を行なうが、RC Fが残り45分で駆動系のトラブルによりストップ。RCとC-HRは6時間後のゴールまで走り切った。

  • RCはアンダーパネルを擦ってしまう問題が発生したが、メカニックは迅速に対応
    RCはアンダーパネルを擦ってしまう問題が発生したが、メカニックは迅速に対応
  • C-HRがオイルを踏んでスピンしリアを接触。自力でピットに戻り、約30分で補修を終えてコースへと復帰
    C-HRがオイルを踏んでスピンしリアを接触。自力でピットに戻り、約30分で補修を終えてコースへと復帰

 今回ニュル初経験となる新人メカニックたちは、緊張した表情で動きも固さが見られたが、初走行でトラブルが出たことにより、限られた時間の中で速く確実な作業を実戦のなかで体験することができた。先輩メカニックは「言われたことができる…ではダメで、自分が今何すればいいかを考える力も必要」と語るが、富士でのシェイクダウン時と比べると大きな成長も感じられた。ニュル24時間まで時間は少ないなか、反省点や課題はまだまだあるが、今回の経験を元にレベルアップをしてくれるだろう。

 

C-HRドライバーを勤めた開発責任者 古場博之

「市販車もニュルでテストをしてきましたが、過酷なレースの場でも自分が乗ることで、クルマの状況を把握しセットアップの方向性を見つけることができました。いいクルマにするためには、レーシングカーも市販車も走りこんで仕上げていくことが重要です。」

C-HRチーフメカニック 大阪晃弘

「今回は接触というアクシデントもありましたが、開発テストがメインですので色々なセットアップも試すことができ、今後の方向性が見えたのは大きな収穫でした。これまでの経験の積み重ねから、課題への解決方法はチーム全体で早く導き出せるようになったと感じています」

RCチーフメカニック 高木実

「予想外のトラブルも起きましたが、トラブルにより成長することができました。『走り切る!!』と言う想いが完走に繋がったと思います。24時間に向けた課題も色々出ましたが、チーム力は強まったと思います」

RC F担当エンジニア 東條力

「最後にトラブルで止まってしまいましたが、タイム的には15位くらいのタイムが出ています。24時間に向けて細かい調整は必要ですがクルマに大きな課題はありません。ニュルはSUPER GTなどのレースと比べてピット周りの運用に何かと制限があるので、その対応が大きな課題です。」

 今回の経験・反省を踏まえマシンは改善/対策が行なわれ、4月30日に行なわれるニュルブルクリンク耐久選手権(VLN2)に参戦、ニュル24時間前の最後の調整を行なう予定だ。

RESULT

SP 2T CLASS
1位 No.133 Hyundai Motor Deutschland/ Hyundai I30 1,6T 総合47位
2位 No.326 TOYOTA GAZOO Racing/ TOYOTA C-HR Racing 総合56位
SP 3T CLASS
1位 No.188 TOYOTA GAZOO Racing/LEXUS RC 総合41位
SP-PRO CLASS
-位 No.36 TOYOTA GAZOO Racing with TOM'S/LEXUS RC F 総合-位

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