- Round7
- ラリーチャレンジ 2017年 第7戦 渋川
レポート
86ゆかりの地で繰り広げられる真夏のラリーバトル!
高速テクニカルコースで80台超が圧巻のドライビングを披露!
8月6日、第7戦 TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ in 渋川が開催された。多くの有名ラリーストを生み出し、ラリー競技が盛んなことから「ラリーの聖地」とも言われる群馬県。さらにTOYOTA 86にとっても、縁が深いお土地柄である。86は群馬県の工場で製造され、ふるさととも言える場所。折りしも当日は8月6日(86)。地産地消ならぬ、地産地走の2017渋川ラウンドは28台もの86が参戦した。その群馬県渋川市を舞台として行われる本戦には83台がエントリー。また、メイン会場で観戦ステージも設定される渋川市総合公園では多くのイベントも開催。朝から多くの観客が訪れる大盛り上がりのラリーとなった。
本戦のコースは、舗装された林道SS(SS:スペシャルステージ・タイムアタック区間)2本と渋川市総合公園内のSS1本を使用し、計5本のタイムで競われる。2回走行する6.2kmの上野原SSは上り基調ながらストレート区間を多く含むハイスピードコース。二本木SSは長い下り区間を含む3.3kmのテクニカルコース。いずれも難易度の高いコースとなる。今回一般観戦可能なコースとして設定されたのは、メイン会場の渋川市総合公園SS。460mと短い距離だが、ストレートの上りの後、観客が見守る中、ロータリー部分を一周する箇所では多数の走行ラインが存在する。そこをどう処理するかが勝負の鍵を握る重要なポイントとなる。
当日朝の渋川の天候は曇り。早朝に行われる事前試走の段階では前方の視界が遮られるほどの霧が立ち込めたが、ラリーがスタートした後は徐々に天候が回復。過酷な真夏のバトルへと変化していった。
E-2クラス(Expert/TOYOTA 86)は13台がエントリー。シリーズを争うドライバーが顔を揃えることとなった本戦は熾烈なハイスピードバトルが展開することとなる。東シリーズで出場しているラウンドはすべて優勝を飾っている伊豆野 康平/東山 徹大がSS1、SS2とトップタイムを刻み徐々にリードを広げるが、続くSS3の公園ステージでライバル達の猛追を受けることとなる。しかし一発の速さがある伊豆野/東山組は、二度目の走行となる上野原SS4においてSS1から16秒も短縮する脅威のアタックを見せ、クラス優勝を飾る。
トヨタ車限定(1501cc以上)のExpert E-4クラスは、今年の台風の目となるAki HATANO/渡辺 千尋組と三枝 光博/美馬 純一組の86同士のハイレベルバトルが展開するが、全SSでAki HATANO/渡辺組が先行する形となり、クラス総合で優勝を飾った。カルディナを駆る中村 英一/鈴木 敬一組も奮闘するが、SS1での出遅れが響き3位に沈んだ。
トヨタ車限定(1500cc以下)のExpert E-3クラスは、同じチームから同モデルのヴィッツで参戦する細谷 裕一/蔭山 恵組と鈴木 歩/御纒 喜美子組の同門対決となる。抜きつ抜かれつのレベルの高いバトルを繰り広げるが、4秒差で細谷/蔭山組が優勝。両選手ともラリーチャレンジの前身であるヴィッツチャレンジからの常連選手だけあり、ヴィッツを手足のように扱い、他のハイパワーマシン達の中、総合13位・15位という素晴らしい結果をおさめた。
最多の15台がエントリーしたE-1クラス(Expert/ヴィッツ1500cc)は今回最も白熱した争いを見せるクラスとなった。ヴィッツチャレンジ時代から参戦しチャンピオンの獲得経験がある選手も多く出場したこのクラスは、さながらヴィッツ遣いの頂上決戦の様相を呈する。順位を入れ替えながら数秒差の争いが続いたが、昨年の渋川ラウンドにて数年ぶりに復活参戦し優勝を決めた毛受 広子/柿澤 廣幸組が見事優勝を飾った。
12台の闘いとなったC-2クラス(Challenge/ヴィッツ1500cc)は、ポイントランキング2位の安江 広和/伊藤 克己組が奮闘。ポイントリーダーの森岡/田所組が不在のタイミングでポイントを稼ぎたい安江/伊藤組は、終始安定した走りでクラストップタイムを連発し優勝。貴重なポイントを重ね、ポイントリーダーの座を再び奪い返した。
C-3クラス(Challenge/TOYOTA 86)には10台がエントリー。本戦は優勝を狙いたいと語った與座 健/大矢 啓太組がSS1から順調な走りを見せ、終わってみれば30秒差と大きなリードを広げたままの勝利。悲願の初優勝となった。
C-1クラス(Challenge/AQUA)は13台ものエントリーを集める大盛況。マイナーチェンジしたばかりの新型アクアも登場し、大いに盛り上がりを見せた。俳優の哀川翔選手も木曽ラウンドに続き今年2回目の参戦となった。谷口 いづみ/坂巻 りさ組が、開始早々SS1から他を5秒近く突き放す見事な走りを魅せる。そのリードを守りきり、見事クラス優勝を果たした。
暑さの中にも関わらず朝から多くのラリーファンが訪れ、10,000人以上の来場を集めた渋川市総合公園では盛りだくさんのイベントが開催された。メインステージでは地元団体によるフラダンスやタヒチアンダンス、渋川雷太鼓などが披露され、SS走行以外の時間も大いに楽しめるものとなった。また、会場内では地元企業や飲食ブースも充実。ヤリスWRCのレプリカ車両も展示され、多くのラリーファンが足を止めていた。
また、かつて世界を舞台に活躍し現在も全日本ラリー選手権でトップラリードライバーとして活躍する地元群馬出身の新井敏弘選手のスペシャルデモランも公園内コースで実施。コースを縦横無尽に駆け抜ける「世界の新井」の走りが注目を集めた。
また、8月5-6日の2日間にわたり開催された「世界の新井とラリーの聖地巡礼体感 in 渋川」では、初日の座学によるラリー講習会にはじまり、新井選手のデモランと同乗走行でラリーの理解と、その楽しさと興奮を存分に体感した。
いよいよの、2日目は渋川ラウンドを観戦。間近の真剣勝負のバトルに圧倒され、チャンスがあれば自らも参戦を検討したいとの声も聞かれた。まさに、体感ツアー参加者にとってはラリーを心ゆくまで堪能した熱い2日間となった。
なお、体感ツアーの詳細レポートは後日公開予定。
PICK UPラリーの聖地群馬で地元チームが奮闘!
地元群馬のチームの活躍が目立った渋川ラウンド。ラリーチャレンジの上位常連である小倉クラッチチームは群馬県桐生市に本社を置く地元企業。E-2クラスに参戦する小倉 康宏/高田 高志組は今年はリタイヤやマシントラブルなど悪い流れが続いていたが、第6戦 弘前ラウンドで2位に入る好走で見事復活を果たした。本戦ではサスペンションのセッティングを変更するなど攻めの姿勢でアタック。伊豆野/東山組に破れはしたが、見事2位表彰台を獲得した。チーム員でE-4クラス優勝のHATANO/渡辺組とともにマシンの熟成を進めていた。
アクアクラスで熱戦を繰り広げた谷口/坂巻組とクロエリ/槻島組もまた地元チーム。ネッツ群馬ジースパイスアクアで1年ぶり3回目のラリー参戦となる谷口・坂巻組と、舗装路での速さに定評がある高崎くす子AQUAラリーのクロエリ/槻島組のバトルは、まさに地元の意地のぶつかり合い。残念ながらクロエリ/槻島組はペナルティによりタイム加算となってしまったが、両者の走りは地元観客の目に鮮やかに残っただろう。
Entrant interview気兼ねない関係でラリーを楽しむ姉弟チーム。
血の繋がったチームワークはピカイチ!
チーム名:Family’s VITZ
ドライバー:大塚 聡太
コ・ドライバー:大塚 文香
大塚 聡太(26)さんと、大塚 文香(30)さんの姉弟で参戦している、その名も「Family’s VITZ」チーム。姉弟での参戦となった経緯や、そんな二人ならではのラリーの戦い方を聞いた。
Q:モータースポーツ歴を教えてください。
A(聡太さん):学生時代にラリーチャレンジに参戦したのが始まりです。
A(文香さん):もともと車は好きだったんですが、モータースポーツに参戦したのは弟に誘われて出た去年のラリーチャンレンジが初めてです。
Q:ラリーチャレンジに参戦するきっかけは?
A(聡太さん):参戦費用や車両造りなど、他に比べて参加しやすかったので、
Q:お二人で組むことになったきっかけは?
A(聡太さん):学生時代は違うコ・ドライバーと組んでたんですが、就職してまた参戦したくなり…ちょうど身近に車好きの姉が居たので、試しに誘ってみたら「いいよ」と。
Q:ご姉弟での参戦の良いところはありますか?
A(文香さん):何も遠慮しなくていいところでしょうかね。
A(聡太さん):ほんと気兼ねなく言い合えるので、喧嘩しつつも自然体で楽しめます。ご夫婦で出られてるチームも多いですが、もっと踏み込んだやりとりを出来るのが姉弟なんじゃないでしょうか。
Q:参戦費用はどうしてますか?
A(聡太さん):僕が誘って出てる感じなので、ちょっと出してもらったりしてますが基本的に僕が負担するようにしています。でも整備士の仕事をしてるので、マシンの整備も自分でできますし、その費用は抑えられてると思います。
Q:今後の目標は?
A(聡太さん・文香さん):今回は、もっと速く走れたかな…という反省もあるんですが、今後もマイペースで参戦できればと思います。
Q:ラリーチャレンジへの要望
A(聡太さん):ラリー後のリザルトの掲示や表彰式など、もうちょっとスムーズに進むと嬉しいですね。1DAYラリーなので仕方ないですが、帰る時間が遅くなっちゃうと次の日の仕事が辛いので。
12台がひしめきあう激戦のC-2クラスの中で必死に走っていたらいつのまにか3位になっていたと語る大塚組。今後、さらなる姉弟パワーに期待したい。
クラス:C-2
車種:ヴィッツ
型式:NCP131
Rally DataTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ in 渋川
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主催
チームアルパイン群馬(T・A・G)
チームプロクルーズ(T-PROCREWS) -
開催日
2017年8月6日(日)
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セレモニアルスタート会場
渋川市総合公園
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サービスパーク
渋川市総合公園
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ゴール会場
渋川市総合公園
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セクション数/SS本数
2/5本
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SSトータル距離/総走行距離
18km/80km
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参加台数
83台
C-1 13台/C-2 12台/C-3 10台
E-1 15台/E-2 13台/E-3 7台/E-4 11台/OPEN 2台 -
出走台数/完走台数
82台/80台
クラス別順位
E-2
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 伊豆野 康平/東山 徹大/トヨタ 86 |
2 | 小倉 康宏/高田 高志/トヨタ 86 |
3 | 長﨑 雅志/秋田 典昭/トヨタ 86 |
E-4
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | Aki HATANO/渡辺 千尋/トヨタ 86 |
2 | 三枝 光博/美馬 純一/トヨタ 86 |
3 | 中村 英一/鈴木 敬一/トヨタ カルディナ |
E-3
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 細谷 裕一/蔭山 恵/トヨタ ヴィッツ |
2 | 鈴木 歩/御纒 喜美子/トヨタ ヴィッツ |
3 | 齊藤 孝太/吉澤 慎司/トヨタ ヴィッツ |
E-1
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 毛受 広子/柿澤 廣幸/トヨタ ヴィッツ |
2 | 富本 諒/山岸 佑也/トヨタ ヴィッツ |
3 | 高桑 真人/高桑 真/トヨタ ヴィッツ |
C-3
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 與座 健/大矢 啓太/トヨタ 86 |
2 | 永井 秀治/伊藤 香織/トヨタ 86 |
3 | 池内 明/小川 邦利/トヨタ 86 |
C-2
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 安江 広和/伊藤 克己/トヨタ ヴィッツ |
2 | 厚地 保幸/村田 啓一/トヨタ ヴィッツ |
3 | 大塚 聡太/大塚 文香/トヨタ ヴィッツ |
C-1
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 谷口 いづみ/坂巻 りさ/トヨタ アクア |
2 | 洪 銘蔚/浦 雅史/トヨタ アクア |
3 | 和田 利明/落合 弘志/トヨタ アクア |
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