- Round9
- ラリーチャレンジ 2017年 第9戦 福島
レポート
ハイレベルな林道と滑走路コースに注目が集まる中、
5,800人が来場して盛り上がる
9月10日、福島県福島市を舞台として復興福島 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ in 福島が開催された。昨年初開催となり大きな盛り上がりを見せた福島ラウンド。2年目の今年は規模を拡大しての開催となった。セレモニアルスタート・サービス会場は昨年同様あづま総合運動公園を使用し、観戦できるSS(スペシャルステージ・タイムアタック区間)として「ふくしまスカイパーク」が新たに設定された。ふくしまスカイパークでのSSは、滑走路に置かれたパイロンを決められたルートで旋回するジムカーナ(パイロンやコーンなどで設定されたコースを走行するタイムトライアル競技)の要素を含むコースだが、前半は滑走路のストレート区間を全開で加速していくこととなり、最高速から最初のターンへの減速ポイントが重要な鍵。
林道コースとなる天戸川ショートSSと天戸川ロングSSも本年初となるコース設定。高いスピードのまま侵入する緩めのコーナーや、急勾配のヘアピンコーナーなど難易度が高いトリッキーなコースだが、路肩の側溝やグレーチング(側溝用の金属製溝蓋)の段差の処理など、注意する箇所が多いチャレンジングなコースとなった。
さらに東シリーズ最後のラウンドということもあり、激しいポイント争いにも注目が集まった。
E-1クラス(Expert/ヴィッツ1500cc)は前日の懇親会で「明日負けたら引退」と発言したベテラン赤木 攻選手の走りに注目が集まった。パイロンコースが得意な赤木選手は1本目スカイパークSSから好調な滑り出し。しかし、続く2本の雨戸川SSで桒村 浩之/住友 哲郎組が好走。逆転し4秒の差をつけることとなった。負けられない赤木選手は、午後のスカイパークSSで1本目から1秒更新。その勢いでSS5もクラスべストタイムを刻み、桒村選手に0.5秒差まで詰め、迎えた最終SS。なんと桒村選手のタイヤがパンクしてしまうアクシデントが発生。最後までアクセルを緩めなかった赤木 攻/赤木 弥生組が前言撤回のクラス優勝を決めた。
トヨタ車限定(1500cc以下)のExpert E-3クラスは、渋川ラウンドでの優勝の勢いを繋げたい細谷 裕一/蔭山 恵組が好走。同型ヴィッツの齊藤 孝太/原澤 潤平組も肉薄するが、細谷/蔭山組が全てのSSでクラストップタイムを記録。王者の貫禄を見せた。
12台ものエントリーがあったE-2クラス(Expert/TOYOTA 86)は、完走すれば東シリーズ優勝が決まる伊豆野 康平/東山 徹大組に注目が集まった。西シリーズトップの長﨑 雅志/秋田 典昭組との争いとなるが、二組ともスカイパークSSでペナルティでタイムロスしてしまう。しかし、林道SSで見事な走りを見せ、1.8秒差で伊豆野/東山組が優勝。参戦ラウンドすべて優勝でのシリーズチャンピオンに決定した。
最多の18台で争われるC-2クラス(Challenge/ヴィッツ1500cc)は、シリーズポイントトップの安江 広和/伊藤 克己組との差を詰めたい森岡 史雄/田所 英一郎組が力走。全てのSSで安江/伊藤組のタイムを上回り、2位に13.8秒の差をつけての勝利となった。また、2位は大塚 聡太/大塚 文香組。3位の安江/伊藤組とは0.1秒差の僅差の勝利だった。
トヨタ車限定(1501cc以上)のExpert E-4クラスは、今年のラリーチャレンジで総合トップタイムを分け合う戦いを展開してきたAki HATANO/渡辺 千尋組と三枝 光博/美馬 純一組のハイレベルな攻防。コ・ドライバー初心者の渡辺 千尋選手とともにノートを何冊も作り上げる練習をしたというAki HATANO組が見事優勝。総合トップタイムも獲得する完全優勝となった。
C-3クラス(Challenge/TOYOTA 86)は、シリーズポイント1位の中野 勝文/逸見 茉央組と2位の熊谷 俊則/田中 潤組の最終決戦の場となったが、熊谷/田中組がSS5でスローダウン。そこに割って入ったのが、西シリーズに参戦する大森 陽介/島根 剛組。丹後半島ラウンドで僅差でポイントを逃した雪辱を果たす走りで、優勝を勝ち取った。
アクアの「静かな、そして熱い戦い」で盛り上がるC-1クラス(Challenge/AQUA)は、激戦のC-1クラスの中で著しい成長を見せる洪 銘蔚/浦 雅史組が林道SSで見事な走りを見せた。しかし、安定の走りを続ける高篠 孝介/廣嶋 真組がスカイパークSSでスーパーラップを連発。1.7秒差で高篠/廣嶋組の勝利となった。
2つの会場を繋いで行われた福島ラウンドは、TOYOTA GAZOO Racing PARKも開催。メイン会場となるあづま総合運動公園では地元企業の出店や豊富な飲食ブースが立ち並ぶ。大型テントの休憩スペースの中では、SSライブ中継の映像もモニターで放映された。
一般観戦できるSSが設定されたふくしまスカイパークでは、86GRMNの走りをプロドライバーの横で体験できる特別試乗会を滑走路コースで実施。飛び出すAR塗り絵や人気のクラフトカーなどの催しも実施され、沢山の観客が訪れることとなった。
PICK UP126歳コンビでラリーを楽しむ。福島の元気を伝える笑顔。
地元福島の国分 虎郎選手(67)は宮城の柳本 弘信選手(59)とともにE-1クラスに参戦した。「2人合わせて126歳コンビですが、まだまだ若い人には負けられません」とコメントした通り、アグレッシブな走りを見せた二人。走り以外でもサービスパークにおいてもムードメーカーとなり周りを笑顔にしていた。「結果も大事だけど、せっかくラリーに出るんだから楽しまなきゃ勿体無いでしょ。」と語り、沿道の観客やすれ違う他の選手達に手を振り楽しむ姿が印象的だった。
また、ラリー前日には福島駅前のホテルにてウェルカムパーティも開催。地元農家からのフルーツのプレゼントや、モンドセレクション最高金賞を獲得した「ふくしまの水」などが市長よりプレゼントされ、「元気な福島」をアピールした。
Entrant interviewダカールラリーで活躍する三浦 昂選手が
ラリーチャレンジに初参戦!
チーム名:K-one・sammy・86
ドライバー:三浦 昂
コ・ドライバー:松永 大司
「世界一過酷なモータースポーツ」とも言われるダカールラリーに2007年からナビゲーターとして参戦している三浦選手。2016年からドライバーに転向し、今年のダカールでは見事2位を獲得。その三浦 昂選手と同じくダカールチームにてナビゲーター候補としてトレーニングを続ける松永 大司選手。世界を舞台に活躍する。世界のモータースポーツに挑戦するお二人に、ラリーチャレンジに参戦するきっかけやダカールへの意気込みを聞いた。
Q:ラリーチャレンジに参戦するきっかけを教えてください。
A(三浦選手):トヨタ車体としてダカールに挑戦する中で、将来的には社員ドライバー・ナビゲーターのコンビでダカールに挑戦したいというプランがあるんです。それで今回、松永さんが社員ナビゲーター候補として抜擢されたんですが、いきなり海外ラリーへの参戦となるとハードルが高すぎるので、国内入門ラリーにでてみようということになりました。
Q:ラリーチャレンジに参戦してみてどうでした?
A(三浦選手):ペースノート・舗装路での走行など、ダカールとはまったく違う世界の難しさがありましたが、出来ないからこそチャレンジしたいという意欲が湧く、刺激的な経験でした。いつかまた機会があればチャンレンジしたいです。
A(松永選手):毎日の通勤の時などにペースノートの練習をしていたんですが、いざ実戦となるとタイミングやコンビネーションが上手くいかないことがありました。ドライバーが欲しい情報を提示するタイミングというのはダカールにも通じることだと思うので、今後トレーニングをしていく上で大切な気づきでした。
Q:三浦選手は2016年からドライバーに転向されましたが、ご自分ではどっちが向いてると思いますか?
A(三浦選手):向いているかどうか自分で判断するのは難しいところですが、もともとドライバーに憧れてこの世界に入ったということもありますので、やはりドライバーとして活躍したいですね。
Q:ダカールにはレキ(下見)がありませんが、今回経験してみてどうでした?
A(松永選手):レキがあるということは、得られる情報がある反面、見落とした情報でタイムをロスする可能性もある。イコールコンディションで行われる競技ゆえに、ペースノートやコ・ドライバーの責任は重いと感じました。それが競技の楽しさでもあるのかな、と。
Q:ダカールの魅力は?また、ラリーチャレンジを体験してみて感じた魅力は?
A(三浦選手):ダカールは普段では絶対に走らないような道や砂漠を走っていく。まさに冒険という点が最大の魅力です。今回ラリチャレを経験してみて、すごくコンペティションスポーツだなという印象を受けました。ペースノートを作って、ミリ秒でタイムを削っていくというところに、スポーツとして強い魅力を感じました。
A(松永選手):今回参加してみて、いろんな方と知り合うことができたし、いろんな話ができた。そういったコミュニケーションの場としてもすごく得るものがありました。
Q:ダカールへの意気込みを!
A(三浦選手):今年はチームとしては1・2位を獲れましたが、やはり自分が1位を。チームに優勝を任せられるドライバーだと思ってもらえるように頑張りたいと思います!
今回、初めての国内モータースポーツ競技への挑戦ながら、強者揃いのE-4クラスで見事4位を獲得した三浦/松永組。すでに開催へのカウントダウンが始まったダカールラリー2018での活躍を期待したい。
クラス:E-4
車種:トヨタ86
型式:ZN6
Rally Data復興福島 TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ in 福島
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主催
チーム・プロクルーズ (T-PROCREWS)
福島県福島市佐原神事場1(HQ) -
開催日
2017年9月10日(日)
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セレモニアルスタート会場
あづま総合運動公園 大駐車場
-
サービスパーク
あづま総合運動公園 大駐車場
-
ゴール会場
あづま総合運動公園 大駐車場
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セクション数/SS本数
2/6本
-
SSトータル距離/総走行距離
13km/90km
-
参加台数
82台
C-1 15台/C-2 18台/C-3 11台
E-1 7台/E-2 12台/E-3 9台/E-4 7台/OPEN 3台 -
出走台数/完走台数
81台/79台
クラス別順位
E-2
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 伊豆野 康平/東山 徹大/トヨタ 86 |
2 | 長﨑 雅志/秋田 典昭/トヨタ 86 |
3 | モリゾウ/勝又 義信/トヨタ 86 |
E-4
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | Aki HATANO/渡辺 千尋/トヨタ 86 |
2 | 三枝 光博/美馬 純一/トヨタ 86 |
3 | 赤羽 政幸/赤羽 隆子/トヨタ 86 |
E-3
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 細谷 裕一/蔭山 恵/トヨタ ヴィッツ |
2 | 齊藤 孝太/原澤 潤平/トヨタ ヴィッツ |
3 | 吉川 博史/新井 智史/トヨタ スターレット |
E-1
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 赤木 攻/赤木 弥生/トヨタ ヴィッツ |
2 | 桒村 浩之/住友 哲郎/トヨタ ヴィッツ |
3 | 大貫 由季/大貫 寿/トヨタ ヴィッツ |
C-3
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 大森 陽介/島根 剛/トヨタ 86 |
2 | 中野 勝文/逸見 茉央/トヨタ 86 |
3 | 永井 秀治/伊藤 香織/トヨタ 86 |
C-2
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 森岡 史雄/田所 英一郎/トヨタ ヴィッツ |
2 | 大塚 聡太/大塚 文香/トヨタ ヴィッツ |
3 | 安江 広和/伊藤 克己/トヨタ ヴィッツ |
C-1
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 高篠 孝介/廣嶋 真/トヨタ アクア |
2 | 洪 銘蔚/浦 雅史/トヨタ アクア |
3 | 勝間田 恋七/織田 千穂/トヨタ アクア |
OPEN
順位 | ドライバー / コ・ドライバー / 車名 |
---|---|
1 | 今井 和広/五十嵐 義昭/ランサー |
2 | 高塩 徳輝/及川 陽也/インプレッサ |
3 | 大内 孝弥/過足 宏和/ランサー |
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