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モータースポーツとの関わり方は、人の数だけあっていい。はじめの一歩を是非! #01 レーシングドライバー 佐藤 久実

モータースポーツとの
関わり方は、
人の数だけあっていい。

#01

レーシングドライバー
佐藤 久実

クルマにも、モータースポーツにも、そんなに興味なかったんです。

そう笑う彼女は、日本を代表する現役トップレーシングドライバー。過酷な耐久レースを数多く経験し、ニュルブルクリンク24時間耐久レースで、クラス優勝を果たすなど、世界が認める実力者だ。その肩書きからは想像できないほど、彼女は気さくだ。モータースポーツとの出会いは、大学の部活勧誘。「断りにくいな…くらいの感覚」で自動車部に入部し、誘われて参加したレースで、一気にのめりこんだ。「サーキットって、歩行者もいないし、自転車もいないし、対向車もない。めいっぱいアクセルを踏み込む感じも、コーナーで感じる重力も、1/1000秒の日常にない時間軸も。すべてが新鮮で、クルマの奥深さにただただ、感動してしまったんです」

好きだから、やめられない。

男女が同じ条件のなかで競うモータースポーツの世界。その「厳しさ」は、むしろ「負けず嫌い」な彼女を夢中にさせた。「薬科大に通っていたけれど、薬剤師としての自分が想像できていなかった」という彼女は、自らの意思でレースを始める。それは彼女にとって特別なことだった。「レースは、誰かのレールにのるのではなく、自分の意思で始めた、と自信をもって言える唯一のものです」どうしても勝てなくて、辛いときもある。勝てる要素があるのに、上手くかみあわなくて、もどかしいときもある。どんなときでも「好きで始めたレースだから」という自負が彼女を支えている。そして、こんな想いも聞かせてくれた。「分野やフィールドは違っても。がんばっている女性の姿に励まされてきました。だから、私もそんな存在でありたいっていう気持ちがあります」

モータースポーツで自分の可能性をひろげてほしい。

「モータースポーツの世界は、入り口を見つけるのが難しい」と語る彼女。「私もそうだったから分かるんです。モータースポーツって、金網の中の世界という感じがして。金網の越え方が分からない。でもほんとうは、たくさんの関わり方があるし、いろんな関わり方があっていいと思うんです。いつもの道をスポーツカーで走ってもいいし、観戦して応援したいクルマを見つけるのもいい」モータースポーツをもっと女性に知ってもらいたい、という強い思い。その理由を、彼女に聞いてみた。「女性には、モータースポーツを楽しむポテンシャルがあると思うんです。私は、自分の走りや活動を通して、その可能性を引き出すお手伝いがしたい。モータースポーツを通して、想像もしていなかった、あたらしい世界を見てほしいんです。きっと楽しいから!」

佐藤 久実 [レーシングドライバー]

大学在学中の1986年にツーリングカーレースでレースデビュー。1991年からはグループAによる全日本ツーリングカーレースと、スーパー耐久シリーズにも参戦を始める。国内だけでなく海外の耐久レースにも数多く参戦。現在は、カー・オブ・ザ・イヤー選考委員として活動する傍らでレースにも引き続き参戦。ニュルブルクリンク24時間耐久レースでは2014年にTOYOTA 86で影山正彦選手らとクラス優勝も果たしている。

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