TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、10月16日(木)から19日(日)にかけて、ドイツ、チェコ、オーストリアのヨーロッパ三カ国を舞台に開催される、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦「セントラル・ヨーロピアン・ラリー」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)を加えた、合計5台のGR YARIS Rally1で参戦。WRC初開催3年目のターマック(舗装路)ラリーで、今シーズン11勝目とマニュファクチャラーズタイトルの獲得を目指します。

5月の第5戦ラリー・ポルトガルから、9月の第11戦ラリー・チリにかけて、2025年のWRCはグラベル(未舗装路)ラリーが7戦続きました。しかしシーズン終盤はセントラル・ヨーロピアン・ラリー、11月のラリージャパンと2戦連続でターマックラリーが開催され、タイトル争いにおいて非常に重要な局面を迎えます。TGR-WRTは現在マニュファクチャラー選手権でトップに立っており、2番手のライバルチームに対して125ポイントのリードを築いています。そして、今回のセントラル・ヨーロピアン・ラリーを終えた時点で120ポイント以上のリードを維持することができた場合、2戦を残して5年連続となるマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得することが可能となります。
また、ドライバーズ・タイトル争いも激しさを増しており、TGR-WRTは選手権ランキングのトップ3にオジエ、エバンス、ロバンペラという3人のドライバーがつけています。南米大陸を舞台に行なわれた前2戦、ラリー・デル・パラグアイとラリー・チリを制し今シーズン5勝目を獲得した首位オジエと、選手権2位エバンスとの差は僅か2ポイント。エバンスは南米2連戦をいずれも総合2位で終えるなど好調を保っており、昨年のセントラル・ヨーロピアン・ラリーでは総合2位を獲得しています。また、エバンスのコ・ドライバーであるマーティンは、セントラル・ヨーロピアン・ラリーでWRC出場200戦目を迎える見通しです。選手権3位のロバンペラは、首位のオジエと21ポイント差とやや厳しい状況にあります。しかし、4月に開催されたターマックラリーの第4戦「ラリー・イスラス・カナリアス」では圧勝しており、今大会ではその再現を目指します。
以上の3名のドライバーがマニュファクチャラーズポイントの獲得権利を持って出場するのに対し、勝田はやや異なる立場で今大会に臨みます。母国ラリーである第13戦ラリージャパンに向けて、セントラル・ヨーロピアン・ラリーはパフォーマンスをベストな状態に高めるための重要な一戦となります。そして、引き続きTGR-WRT2からのエントリーとなるパヤリは、ここ数戦グラベルラリーで見せてきたスピードと確実性の高さを、久々のターマックラリーでも発揮することがターゲットとなります。
セントラル・ヨーロピアン・ラリーは2023年に初めてWRCとして開催され、ドイツ、チェコ、オーストリアの三ヶ国を舞台とするダイナミックなコンセプトのラリーとして注目を集めてきました。サービスパークは、2年ぶりにドイツ南東部バイエルン州の都市「パッサウ」に戻り、三カ国を駆け巡る戦いの中心地となります。ステージの特徴は国や地域によって大きく異なり、この時期は天気が大きく変わりやすいことから、雨、泥、落ち葉によって路面が非常に滑りやすくなる事が予想されます。
ラリーは16日(木)にパッサウのバート・グリースバッハ周辺でシェイクダインが行なわれ、午後からデイ1として同エリアで競技がスタート。「ゴルフ&テルメ」という12.83kmのステージをSS1、2として2回走行し、パッサウのサービスで一日を終えます。競技2日目の17日(金)はパッサウのサービスパークを起点に、三カ国のステージをミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行。日中にはチェコの「カプリツェ」に設定されたタイヤフィッテイングゾーンで、簡易な整備作業が実施されます。競技3日目となる18日(土)のデイ3はドイツで1本、チェコで2本の計3ステージを、クラトヴィ(チェコ)でのタイヤフィッテイングゾーンを挟んで各2回走行しパッサウのサービスで一日が終了。6本のステージの合計距離は103.64kmと、4日間で最長の距離を走行します。ラリー最終日となる19日(日)のデイ4は、ドイツとオーストリアが舞台に。SS15とその再走ステージSS17「ビヨンド・ボーダーズ」は、その名が示すように今年も国境を越えるステージです。また、SS16の再走となるオーストリア国内でのSS18「ミュールタール2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されています。ラリーは4日間で18本のステージを走行し、その合計距離は306.08km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は、1457.55kmが予定されています。
なお、今年のセントラル・ヨーロピアン・ラリーには合計5台のGR Yaris Rally2が出場。そのうち、ラリー・チリでWRC2今季5勝目を飾り、初のWRC2タイトルを獲得したオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)は、WRC2ポイント獲得枠外でのエントリーとなります。WRC2クラスに関してはアレハンドロ・カチョン(スペイン/トヨタ・スペイン テオ・マルティン・モータースポーツ)、昨年のセントラル・ヨーロピアン・ラリーでもGR Yaris Rally2をドライブしWRC2クラス2位、総合8位を獲得したフィリプ・マレス(チェコ/トヨタ・ドレク)、地元のファビオ・シュワルツ(ドイツ/アルミン・シュワルツ・ドライビングエクスペリエンス)らがエントリー。さらに、WRC2枠外で地元のフィリップ・ガイペル(ドイツ/スピードライフ・モータースポーツ)がGR Yaris Rally2のステアリングを握ります。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
南米での好成績により、我々は非常に有利な立場でセントラル・ヨーロピアン・ラリーに臨むことができます。マニュファクチャラーズタイトルを決めることができる、この最初の機会を活かすためには好結果が必要ですが、同時にドライバーたちはそのプレッシャーを感じることなく、接戦となっているドライバーズタイトル争いに集中することができます。過去のこの大会で見てきたように、特に秋の天候下では非常に難しいラリーになり得ます。また、三カ国を跨ぐため、それぞれの国で道の特徴も異なります。グリップレベルは頻繁に変化し、コーナーのインカットにより泥濘化しやすい場所も多くあります。そして、特に朝方は冷え込むので、こうしたコンディション下ではミスが起きやすくなります。セブ、エルフィン、カッレはいずれもタイトルに近い位置にいますが、シーズン終盤でのリタイアは絶対に許されません。貴元は、彼にとって一年で最も重要なラリージャパンを前に、ターマックでの良い感覚を掴む好機です。一方、サミは最近自信とパフォーマンスを着実に高めており、ターマックでも良い走りを期待できるので、彼も良いリザルトを収める可能性は十分あると確信しています。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
長く続いたグラベル連戦の最後に、南米での2戦で再び表彰台に立つことができて良かったです。次のイベントではターマックに戻り、また違ったチャレンジをすることが楽しみです。前回のターマックイベント、カナリアスとはコンディションが大きく異なるため、未知の要素もあります。セントラル・ヨーロピアン・ラリーはかなり広い地域をカバーするため、路面やキャラクターにいくつかのバリエーションがあり、グリップレベルもまちまちです。開けた場所にあるセクションもあれば、木々の下を走行する狭いセクションもあります。また、特にラリーが始まる前に雨が降った場合は、泥に覆われた場所もあるかもしれません。それでも、今年のステージがどのような状態になるかを待って見つつ、ベストを尽くすのみです。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
南米でのラリーは思うように行きませんでしたが、シーズンはまだ3戦残っており、自分たちはまだ戦いの場にいるので、諦めるつもりはありません。ターマックのラリーに戻るのは興味深いことです。セントラル・ヨーロピアン・ラリーはカナリアスのようなクリーンで良い舗装路ではなく、インカットや泥が多いので間違いなくトリッキーなラリーです。それでも良いイベントですので、好結果を目指して戦います。2023年に出場した際はペースが良かったですし、その年のタイトルを獲得した良い思い出もあります。プレイベントテストは順調でしたし、クルマのフィーリングもかなり良いので、今年のラリーがどうなるのか様子を見たいと思います。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
現在、この位置で選手権を戦えているのはとても良いことですが、依然として接戦状態が続いているので、最後の数戦は厳しい戦いになるでしょう。全員が全力で臨むと思いますし、ライバルたちがターマックで手強いことも知っているので、まさに勝負の時です。それでも、私自身は激しい戦いを楽しみにしています。現在住んでいる場所から近く、多くのファンの応援が得られるこの中央ヨーロッパで、ラリーが開催されることを嬉しく思います。きっと過酷なラリーになると思いますが、私自身は昨年かなり速さを発揮することができていました。プレイベントテストは順調に進みましたし、クルマのフィーリングも良好なので、最高の結果を獲得するために、もちろん全力で挑むつもりです。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
次の2戦がターマックに戻ることを非常に嬉しく思います。両ラリーとも、コンディションやグリップの変化に関して難しいラリーです。特にセントラル・ヨーロピアンは三カ国にまたがる非常にユニークなステージ構成で、インカットや泥に覆われた場所も多くあります。今年は特に、新しいタイヤを初めてこのようなラリーで使用するだけに、入念な準備が必要です。テストではとても良いフィーリングを得られたので、全てが順調に進むことを願っています。昨年は自分にとって良いラリーとなり、日曜日には最大ポイントを獲得することができました。今年もそのスピードを再現して良い結果を得、ラリージャパンへの布石にしたいと思っています。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
ここ数戦は、速さを十分に発揮することができた、非常にポジティブなラリーもありましたし、ハードに攻めて順位を競うことを楽しんでいます。今回は全く異なる挑戦になりますが、だからと言って良い戦いができないとは思いません。ターマックを走るのは楽しいですし、ここまでのところ、自分の舗装路でのパフォーマンスはかなり良いと思っています。昨年このイベントをRally1で走った時も、いくつかのステージでは非常に良い走りができました。また、残念ながら最終的に結果を残すことはできませんでしたが、カナリアスでも速さは十分ありました。このラリーは場所によって非常にトリッキーで、天候の予想が難しい場合もありますが、自分としては楽しみにしています。

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