残り15分の悲劇 悔しさ溢れる2位表彰台

2015.08.03 スーパー耐久2015

歯車が噛み合わなかった前半戦から 巻き返しを図る大事な1戦

2015シーズンのスーパー耐久レースは早くも後半戦に突入。大分県にあるオートポリスは阿蘇外輪山の北方、標高900mに位置するため、平地に比べると涼しい“はず”なのだが、夏真っ盛りとなる8月の開催ということで、目まぐるしく天候が変わった第3戦から一転、快晴の中での戦いとなった。
今年のマシンは昨年より大きく進化しているものの、これまでの結果は第1戦(もてぎ):2位、第2戦(SUGO):リタイヤ、第3戦(富士):3位。勝てるマシン、勝てるドライバー、勝てる体制にも関わらず、細かいトラブルや歯車が噛みあわずに優勝を逃しているのが現状だ。現在のシリーズランキングは6位、強敵のホンダS2000勢や他の86チームが上位を占めている。あくまでも目標は優勝とシリーズタイトル獲得であるTOYOTA Team TOM’S SPIRITにとっては、今回は何としてでも勝ちたい一戦だ。そこで今回も第3戦に続き86号車/87号車の2台体制での参戦となった。マシンは富士での反省をフィードバックさせ、サスペンション周りを中心にバージョンアップ。また、86号車より重量的に不利だった87号車は更なる軽量化(約40kg)も実施された。

予選はタイムが伸びず苦戦 しかし、決勝はノーミスならチャンスも

マシンは木/金曜日の練習走行で富士のセットをベースにセッティングを実施。AドライバーとBドライバーの合算タイムで順位が決定する予選は、86号車はCドライバー登録の影山正彦選手を除く、蒲生尚弥(A)/井口卓人選手(B)、87号車は松井孝允(A)/石浦宏明選手(B)がアタック。しかし、タイムは思ったよりも伸びず、86号車は5位、87号車は8位という結果だった。トップ2台はホンダ勢や、86の52号車(埼玉トヨペットGreen Brave)、55号車(Sun Oasis AUTOFACTORY86)にも前に行かれてしまった。
予選後に86号車に乗る蒲生選手に話を聞くと「練習走行の時からライバルとのタイム差があったので、予選はこれくらいだと思っていました。正直を言えば、一発の速さは現状でも重箱の隅まで突いているので、手詰まりなのも事実ですね。ただ、うちのチームはドライバーが揃っているのが強みなので、決勝はノーミスで行ければ結果は付いてくるでしょう」と、いつもは楽観的な蒲生選手だが、今回はコメントにも悔しさが滲み出ていた。
一方、87号車の松井選手は「86号車から0.5秒落ちですが、重量差分を差し引けば、こんな感じだと思います。セットアップは86号車とは別々に行っていますが、タイヤにやさしいクルマに仕上がっているので、決勝はトラブルがなければ上位に食い込めると思います」と語ってくれた。

予選の不調が嘘のような快走だったが 最後の最後で歯車がかみ合わず

日曜日の8/2は早朝から気温は30度を超え、決勝が始まる13時20分には35度近くまで上昇。そんな暑さの中で3時間の戦いがスタートした。スタートドライバーは86号車が井口卓人選手、87号車は松井孝允選手が担当。ちなみに、九州・福岡出身の井口卓人選手にとっては、オートポリスは“凱旋レース”でもある。
86号車はオープニングラップで3位にジャンプアップ、87号車も序盤で5位に浮上するなど、2台共に予選の不振が嘘のように快走を続ける。スタートから約1時間、86号車はクラストップに浮上。同時に87号車はピットインし松井選手から石浦選手にチェンジ。石浦選手はベストラップを更新しながら走行を続ける。
87号車のピットインから約30分後に86号車がピットイン。井口選手から影山選手に交代するが、影山選手は何と1周で蒲生選手にチェンジ。ここでタイヤをフロントのみ交換を行った。1時間毎のピットインを選んだ87号車とは異なる戦略で、規定ピットイン回数をクリアしながら、2人のドライバーを目いっぱい走らせよう…という作戦である。スタートから2時間を過ぎる頃には、87号車はクラストップ、86号車は3位に浮上。その後86号車が2位へ浮上し、一時は1-2体制で走行を重ねた。
スタートから2時間10分で87号車がピットイン。石浦選手から松井選手チェンジし3位でコースに復帰。このピットインのタイミングで86号車はクラストップへ浮上。残り50分、ピットでも「このまま優勝か!?」と期待も高まるが、同じ86勢の52号車が急接近し、テールtoノーズのバトルが繰り広げられた。ゴールまで残り15分、無交換作戦を取ったリアタイヤが音を上げてしまい、ペースアップができない蒲生選手は52号車に抜かれ2位にダウン。一方、87号車も13号車(エンドレスアドバン86)に抜かれて4位にダウン。3時間レースのゴールを迎えた。
予選の不調が嘘のような決勝だったが、最後の最後で勝利の女神はチームに微笑むことはなかった。ゴール後に蒲生選手に話を聞いたが、いつもは感情をあまり出さない彼も今回は険しい表情で「リアタイヤが厳しく、あれが限界でした」と悔しさを滲ませていた。 今回は「勝てる」レースであった。またチームもベストを尽くした。しかし、マシンの製作やパーツセレクト、セットアップ、そしてレース戦略、その全ての歯車がかみ合わなければ勝たせてはくれない、そんな事を感じた第4戦であった。

第5戦は9/5-6に岡山県「岡山国際サーキット」で開催される。まだシリーズタイトルのチャンスも残されているので、この悔しさをバネに勝利をつかみ取りたい。

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