第3戦富士 力走及ばず3位表彰台

2015.07.06 スーパー耐久2015

2015シーズン初の2台体制 マシンは富士スペシャルセット

スーパー耐久2015第3戦「スーパーテック」は、シリーズ最長の8時間の耐久レース。今回は86号車に加え87号車を投入。この87号車は2013年のS耐を戦って以降、展示車両として使われていた車両であり、86号車と比べると若干重量が重いが、それ以外の部分は86号車と同じくアップデートされている。

第2戦はエンジントラブルによるリタイヤとなったが、マシンは第3戦に向け全てをリフレッシュ。S耐は量産車にとっても重要な開発の場であるため、量産車開発担当者もチームに同行し開発へのフィードバックを行うほか、サスペンションやブレーキなども量産車と同じサプライヤーが担当しており、事前のテストも念入りに行うなど、万全の体制でレースウィークに臨んだ。

ニュル24時間ドライバーが集結 チャレンジプログラムの小野田選手も

2台体制に伴って、86号車には井口卓人/蒲生尚弥選手、S耐最多優勝記録を持つ耐久スペシャリストの木下隆之選手、そして86/BRZワンメイクレースでGAZOO Racingチャレンジプログラムを獲得した小野田貴俊選手の4名体制。87号車は松井孝允選手、スーパーGTドライバーの大嶋和也/石浦宏明選手、そしてニュルをはじめとする耐久レースの経験が豊富な女性ドライバーの佐藤久実選手の4名。影山正彦監督を含めると、5月のニュル24時間のドライバーが集結。ちなみに木下・佐藤選手は久々のS耐参戦、大嶋/石浦選手はS耐初参戦のため、しっかりとビギナー向けの講習会に参加している。
ニュル24時間ドライバーが勢ぞろいのため、ピットウォークでは観戦者がドライバーとコミュニケーションをより取れるようにと、オリジナルのヒーローカードを作成。ドライバーの手で渡された。
また、チーム側もメンバー増強が行われおり、ニュル24時間を戦ったメカニックが助っ人として加入。つまり、今回はTOYOTA GAZOO Racing挙げての挑戦だ。

「3位表彰台」と「エンジン交換」 それぞれに“得るもの”があった8時間

梅雨真っただ中のレースウィークは、金曜日の練習走行から雨。天候は土曜日も変わらず、ウエット路面での予選となった。
S耐はAドライバーとBドライバーの合算タイムで予選順位が決定するが、86号車は蒲生尚弥(A)/井口卓人選手(B)、87号車は松井孝允(A)/大嶋和也選手(B)がアタックするも、86号車は予選9位、87号車は予選10位と、ストレートスピードの勝るホンダ勢やライバルチームの86と比べるとタイムは一歩及ばず。ただ、決勝は8時間のサバイバル戦、チェッカーを受けるまで何が起きるか解らないのが耐久レースである。
日曜日の10時、雨と霧のためセーフティカースタートとなった8時間の決勝。スタートドライバーは86号車が井口選手、87号車は松井選手が担当。序盤は86/87号車がランデブー走行する姿も。スタート後、次第に雨はやみ路面コンディションがドライとなり、どちらも早めにピットインしタイヤ交換。
86号車はトラブルもなく順調に走行を行う。蒲生選手は予選後に「ドライ路面のほうがチャンスはある」と語ったが、路面が乾くにつれてペースアップ。予選を超えるタイムも刻みながら、一時はクラストップに浮上。しかし、木下選手に交代後に路面コンディションは次々と変化し、ホンダ勢にトップを奪われてしまう。更に濃霧によって導入されたSCカーのタイミングの差で不運にもトップと周回遅れになってしまった。木下選手は路面状況の悪い中にも関わらず耐久マイスターらしい走りを見せるが、さすがに周回遅れを挽回することはできず。続く小野田選手は他のドライバーと変わらないクレバーな走りを見せ、最終ドライバーの蒲生選手に襷を託した。蒲生選手は渾身の走りで猛追するも3位で限界だった。
マシンはノントラブル、ドライバー4名も100%の力で走り、チームの戦略も間違っていなかったのだが、今回は運を味方にすることができなかった。嬉しい表彰台獲得である一方、今回は勝てる可能性も見えていただけに悔やまれる。
一方、87号車にスタートから1時間が過ぎた頃にエンジントラブルが発生。ピットに戻れずマシンは停止。そのままリタイヤと思われたが、チームはエンジン交換を選択。メカニックは、限られたスペース/機材/人数の中で、何と約2時間で作業を完了させコースへと復帰させた。
その後、石浦選手、佐藤選手が走行を行い、最終ドライバーの松井選手にバトンタッチ。ここでは次戦に向けた実戦テストも兼ねてセットアップが変更され、最終スティントの走行を行った。
午前10時にスタートしてから8時間後の午後6時、総合トップのマシンにチェッカーが振られた。86号車はノントラブルで8時間を走り切り、ST-4クラス3位で表彰台を獲得。
レース後、影山監督は「予選からS2000の速さは解っていましたが、そんな中で86勢のトップを取ることができました。ただ、これは我々の最低限のミッションだと思っています。一方、87号車は早めにエンジントラブルが起きてしまいましたが、メカニックが頑張ってエンジンを載せ替えてコースに復帰させてくれました。その後は、今後に向けたセットアップなどを試せたので、決して無駄ではなかったと思っています」と語ってくれた。

第2戦(菅生)での無念は果たせたものの、チームが目指すのは表彰台の真ん中。8月1日・2日に行われる第4戦(オートポリス)での巻き返しに期待したい。

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