チャレンジプログラムによってスーパー耐久のシートを獲得した小野田貴俊選手。そのS耐用マシンでのテストが、富士スピードウェイで行われた。
影山監督やチームスタッフが見守る中、小野田選手は初めてのスーパー耐久のマシンに多少の緊張感はあったものの、それでも豊富なレース経験もあって、安定した走りを見せた。
第3戦で遠藤浩二選手に優勝を許し、シリーズポイントで2位となってしまったが、遠藤選手の辞退によってスーパー耐久シリーズへの挑戦権は小野田選手のものとなった。
「素直に嬉しかったですね。遠藤選手に1ポイントリードされていたので、どうなるかと思っていたんですが、決まった良かったです」。
ワンメイクをメインにレース参戦してきた小野田選手にとって、今年のチャレンジプログラムはシーズン当初からの大きなターゲットだった。
「自分の子供のような若いドライバーと一緒に走るのは、ちょっと恥ずかしいというか…」と小野田選手は照れくさそうにチームの第一印象を語ってくれた。
走行準備が進む中、小野田選手は緊張しているように見えた。
「緊張? 全然してませんよ。やることがないもんで、居場所がないというか…」
いつもは自分が中心となって走行準備をしているが、今回はプロドライバーのように、マシンに乗り込むタイミングを待つだけだ。
走らせたマシンは86号車ではなく、87号車で、2台体制で参戦していた一昨年のマシンだ。細かなスペックが異なり、また新しいセッティングが与えられていた。
まずは井口卓人選手がマシンのチェックを兼ねて、コースイン。続いて小野田選手がドライブした。ラップタイムは井口選手よりも約1.7秒ほど遅れる。「タイムを出そうと思えばまだまだ上げられるんですけど、いろいろ試したいこともあったので」小野田選手は、まるでプロドライバーのように、とても冷静だった。
86/BRZレースとスーパー耐久のマシンの違いをどう感じたのだろうか??
「86レースと違うのはタイヤですね。スリックタイヤなもんで、パワーが食われちゃって、前へ進んでいかないんですよ。86だとタイトコーナーの立ち上がりでスーッと前に出るんですが、スリックタイヤだと抵抗になっていますね」。
スーパー耐久ではエンジンパワーもノーマルに近く、スリックタイヤの強力なグリップ力が逆に抵抗となり、立ち上がりを鈍くしているという。
「レースは楽しみたいと思います。せっかくのチャンスですから、楽しんで走りたいですね」テスト終了後、ひと安心したかのような表情で、小野田選手はレースへの期待を語ってくれた。
小野田選手が出場するのはスーパー耐久シリーズ2015 第3戦富士SUPER TEC。7月4日~5日に開催される、8時間という長丁場だ。そこで蒲生尚弥選手や井口卓人選手らとともに、どんな走りを見せるのか、注目してもらいたい。
影山監督のコメント
安定感のある走りで、さすがは86/BRZ Raceで常に優勝を争っているドライバーだけありますね。井口選手とのタイム差はありますが、初めて乗るマシンですからね。86/BRZ Raceではスポーツタイヤを使うので、もの凄く丁寧に運転することが求められます。それに対してスーパー耐久はスリックタイヤなので、もっと攻めて走ることができます。そのあたりは、次の機会にはアジャストしてくれると思いますよ。
三塚代表のコメント
最初はだいぶ緊張していた様子でしたね。スリックタイヤの経験もそこそこあるようでしたが、このクルマでの経験はなかったのでどうなるかと思っていたけど、問題ないですね。走行後のマシンに対するコメントでも、我々が感じていることやフィーリングに近いので、安心しました。おそらく次の走行の時には、ラップタイムももっと(井口選手に)近づいてくると思いますよ。富士は彼の地元だし、楽しみですね。