全日雨に見舞われた伝統のモントレー
全日本ラリー選手権第6戦「モントレー 2015 in 嬬恋」が、8月28日(金)〜30日(日)、群馬県吾妻郡嬬恋村のスキーリゾート「パルコールつま恋リゾートホテル」を拠点に開催された。嬬恋村はリゾート地として有名な軽井沢の北に位置し、高原キャベツの産地としても有名だ。ラリーが盛んな群馬県で行われる「モントレー」は今年で23回目を迎える伝統ある一戦で、嬬恋村での開催は昨年に続いて2回目となる。そして、第4戦、第5戦と続いたグラベル(未舗装路)ラリーから趣を変え、3戦ぶりのターマック(舗装路)ラリーとなる。
昨年の大会ではゲリラ豪雨に見舞われリタイアが続出。それを受け今年はSタイヤの装着を禁止し、全クラスとも市販ラジアルタイヤ、またはラリータイヤの装着という、通常と異なるタイヤレギュレーションが実施された。ラリーは2日間とも雨になり、このレギュレーションと難しいコンディションの中、選手たちは難しいタイヤ選択を迫られるとともに、場所によっては視界を奪われる豪雨もあり、大荒れの展開となった。
[ JN6クラス ] 新井/田中組、タイヤ戦略が功を奏し逆転優勝
早朝から雨が降り続き、悪天候の中で幕を開けたSS1と続くSS2では奴田原文雄/佐藤忠宜組(三菱ランサーエボリューションX)がベストタイムを奪取した。2番手に新井敏弘/田中直哉組(スバルWRX STI)がつけ、ヨコハマタイヤ勢がラリーをリードする。しかし雨が小降りとなったSS3では勝田範彦/石田裕一組(スバルWRX STI)がトップ、福永修/鈴木裕組(三菱ランサーエボリューションⅩ)が2番手につけ、ダンロップタイヤ勢が追い上げる。SS4でベストタイムをマークした福永/鈴木組はその後もSS6から5本連続ベストタイムを奪い、初日トップに立った。2位は勝田/石田組、3位は奴田原/佐藤組、4位に新井/田中組で初日を終える。
前日以上に雨脚が強くなった2日目、オープニングのSS11でトップの福永/鈴木組が痛恨のコースアウトを喫し、波乱のラリーは幕を開けた。一方、逆転優勝を狙う新井/田中組は、スタート直前のサービスでヘビーウエットとなった路面コンディションに合わせてラリータイヤに交換。そのタイヤ戦略が見事に当たり、SS12で一気にトップに立つとそのまま首位を守り切り、今季4勝目を飾った。2位は奴田原/佐藤組、3位には勝田/石田組が入った。
[ JN5クラス ] ヴィッツGRMNターボが全日本初勝利
グラベルラリーをスキップしていた柳澤宏至/中原祥雅組のプジョー208GTiや、眞貝知志/漆戸あゆみ組のアバルト500ラリーR3Tなど、輸入車勢が3戦ぶりに顔を揃え、JN5クラスは再び大混戦となった。SS1で柳澤/中原組がトップを奪いラリーをリードするが、雨が小降りになると眞貝/漆戸組が一気にペースを上げてSS6で柳澤/中原組を逆転した。初日は柳澤/中原組に16.9秒差をつけて眞貝/漆戸組がトップ、天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)が3位で終える。2日目最初のSS11、逆転を狙って勝負に出た柳澤/中原組がスピンして横転、リタイアを喫する。波乱は続き、トップを行く眞貝/漆戸組を、ラリータイヤを選択し追撃する天野/井上組がSS17で逆転し今季初優勝を飾った。
[ JN4クラス ] 諏訪姫PLUMレーシングが初優勝
[ JN3クラス ] 岡田孝一/大久保叡組が今季3勝目をマーク
[ JN2クラス ] 須藤浩志/新井正和組が今季初優勝
多くの観客で賑わったモントレーラリーパーク
TOYOTA GAZOO RacingはPIUSキッズラリーチャレンジを開催!
ラリーの拠点となった「パルコールつま恋リゾート」には、恒例の「モントレーラリーパーク」が設置された。地元嬬恋村から来場者に1日2000個のキャベツがプレゼントされたほか、自動車関連企業のブースや地元の特産ブース、飲食ブースなどが立ち並び、2日間ともあいにくの天気だったにもかかわらず、多くのギャラリーがラリーパーク会場に訪れた。
TOYOTA GAZOO Racingブースでは、組立て式電動キットカー「PIUS」の“組み立て”と“走行”の両方が体験できる「キッズラリーチャレンジ」を開催し、子供たちに人気を集めた。この「PIUS」は、D-N-Rのシフトスイッチ、ウインカー、サイドブレーキ、前照灯などを備え、足まわりは前輪にダブルウイッシュボーン、後輪にリジッドアクスルを採用、ステアリングはラックアンドピニオン式という、本格的な「自動車」だ。雨天の場合は走行できなかったものの、組み立てだけでも楽しめるため、子供たちが目をキラキラさせてチャレンジしていた。
またブースではトヨタの新旧ラリー活動の象徴であるセリカ ST165と、昨年の新城ラリーで00カーを務めたトヨタの燃料電池車(FCV)、MIRAIのラリーカーを展示し、ギャラリーの注目を集めた。その他、来場者に「I Love Cars! バッグ」を配布、各日先着250名にフェイスペイントを実施するなど、ラリーイベントを側面から盛り上げた。
クラス別順位結果(上位3クルー)
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 新井 敏弘/田中 直哉 |
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スバルWRX STI | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 奴田原 文雄/佐藤 忠宜 |
三菱ランサーエボリューションX | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 勝田 範彦/石田 裕一 |
スバルWRX STI |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 天野 智之/井上 裕紀子 |
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トヨタ・ヴィッツGRMNターボ | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 眞貝 知志/漆戸 あゆみ |
アバルト500ラリーR3T | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 石田 雅之/遠山 裕美子 |
ホンダ・インテグラ |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 横尾 芳則/渡邉 晴子 |
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トヨタ86 | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 番場 彬/亀森 隆志 |
トヨタ86 | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 石川 昌平/石川 恭啓 |
スバルBRZ |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 岡田 孝一/大久保 叡 |
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マツダ・デミオ | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 鷹野 健太郎/尼子 祥一 |
マツダ・デミオ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 戸塚 和幸/木村 悟士 |
トヨタ・ヴィッツ |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 須藤 浩志/新井 正和 |
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スズキ・スイフトスポーツ | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 鈴木 尚/山岸 典将 |
スズキ・スイフトスポーツ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 中西 昌人/廣島 真 |
スズキ・スイフトスポーツ |
※JN1はクラス不成立。全日本ラリー選手権のクラス区分はこちらを参照ください。