王者の貫禄を見せて新井/田中組が今季5勝目!
最終戦を前にJN5、JN2クラスでシリーズチャンピオンが確定
全日本ラリー選手権第8戦 第43回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2015 レポート
清々しい秋晴れのなかで行われた伝統の一戦
「第43回M.C.S.Cラリーハイランドマスターズ2015」が、岐阜県高山市で開催された。43回の開催は全日本ラリー選手権で最も長い歴史を誇り、かつては過酷なグラベル(未舗装路)ラリーとして開催され「カーブレイクラリー」の異名をとったが、2008年以降はターマック(舗装路)ラリーとして開催されている。初日、2日目とも6本のスペシャルステージ(タイムアタック区間。以下SS)が設定され、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は301.40㎞。山を一気に駆け上がるヒルクライムや一気に下るダウンヒル、ゆるやかなアップダウンのワインディングと変化に富んだテクニカルコースで、標高が高いためエンジンへの負荷も大きい。ギャラリーステージがスキーリゾート「ひだ舟山スノーリゾート アルコピア」に設置され、今年は初日のSS3とSS6の走行前に選手紹介や写真撮影を行うラリーショーを開催するなど、ギャラリーサービスにも力を入れていた。
[ JN6クラス ] 新井/田中組スバルWRX STIが貫禄の今季5勝目
清々しい秋晴れのなかで行われた初日、JN6クラスは優勝候補の1台と目されていた福永修/鈴木裕組(三菱ランサーエボリューションⅩ)がSS1でコースアウトする波乱の幕開けとなった。前戦の第7戦「RALLY HOKKAIDO」でシリーズチャンピオンを確定させた新井敏弘/田中直哉組(スバルWRX STI)が、王者の貫禄を見せてSS1からSS5までベストタイムを連発、SS6では奴田原文雄/佐藤忠宜組(三菱ランサーエボリューションⅩ)にベストタイムを奪われたものの、2位の勝田範彦/石田裕一組(スバルWRX STI)に対し11.4秒の差を付け首位で初日を終えた。
2日目、勝田/石田組がオープニングのSS7、SS8、リピートのSS10、SS11で渾身のベストタイムをたたき出して追い詰めたが、最終的には3.8秒差で新井/田中組が逃げ切り今季5勝目をマーク。3位には奴田原/佐藤組が入った。
[ JN5クラス ] 山口/山本組トヨタ86が今季初優勝
JN5クラスでは、第7戦「RALLY HOKKAIDO」で2位に入賞しシリーズチャンピオンに王手をかけた天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)と、グラベルラウンドで3勝を挙げ逆転チャンピオンを狙う関根正人/竹下紀子組(三菱ミラージュ)、さらに残り2戦で連勝しフルポイントを獲得すると逆転の可能性がある眞貝知志/漆戸あゆみ組(アバルト500ラリーR3T)による三つ巴の戦いが予想された。しかし初日トップを奪ったのは上原利宏/佐瀬拓野組(ホンダ・シビック)だった。天野/井上組はブレーキとパワーステアリングのフィーリングに不具合を訴えて初日を4位で終える。一方、関根/竹下組は電動ファンにトラブルが生じてオーバーヒート状態となり5位、眞貝/漆戸組はSS1からブレーキトラブルを抱え、SS2をフィニッシュした直後にデイリタイアという波乱の展開となった。そして2日目、SS7でクラストップを走っていた上原/佐瀬組がコースアウト。さらに同じコーナーで2位の寺島信也/関根慎二組(ホンダ・インテグラ)がサスペンションを破損し、上位が揃ってリタイア。代わってトップに立った山口清司/山本磨美組(トヨタ86)がそのまま首位を守り切って今季初優勝。天野/井上組は最終的に2位に浮上し、有効ポイントを加算してJN5クラスチャンピオンを手中にした。
[ JN4クラス ] 横尾/渡邉組が三つ巴の激戦を制し今季2勝目
JN4クラスは、横尾芳則/渡邉晴子組(トヨタ86)、シリーズランキング2位の番場彬/加勢直毅組(トヨタ86)、シリーズランキングトップの石川昌平/石川恭啓組(スバルBRZ)による三つ巴の戦いとなった。初日は0.1秒を争う接戦で、3本のSSベストタイムを奪った横尾/渡邉組がトップ、番場/加勢組が1.3秒差の2位、石川/石川組がトップから4.5秒差の3位という僅差となった。2日目は、SS7で番場/加勢組がトップを奪ったが、SS8で横尾/渡邊組は再びトップに立ち、その後は2位以下を一気に突き放し今季2勝目を獲得した。また2位でフィニッシュした番場/加勢組は、タイヤの摩耗が規定値を上まわっていたため失格となり、3位でフィニッシュした小濱勇希/馬場雄一組(スバルBRZ)と4位でフィニッシュした佐藤隆行/味村寛組(スバルBRZ)がそれぞれ繰り上がり2位、3位に入賞した。初日3位の石川/石川組は、2日目の最終SSで岩にホイールをヒットし、タイヤ交換を余儀なくされて5位までポジションを下げた。
[ JN3クラス ] 新チャンピオン岡田/鶴田組が今季5勝目
[ JN2クラス ] 鈴木/山岸組のスイフトスポーツが全日本初優勝
JN2クラスは、シリーズ4位の鈴木尚/山岸典将組(スズキ・スイフトスポーツ)が快走を見せ、ポイントリーダーの高橋悟志/箕作裕子組(トヨタ・ヴィッツRS)に1分以上の大差を付けて初日トップを奪う。一方、高橋/箕作組はチャンピオン確定に向け2位をキープ。2日目も鈴木/山岸組がトップを譲ることなく、全SSでベストタイムを奪う快挙をみせ今季初優勝を果たした。高橋/箕作組は2位を死守し、シリーズチャンピオンを確定させた。高橋は2007年にJN2(現行のJN5)クラスチャンピオンを獲得以来の、2度目の全日本ラリー選手権のタイトル奪取となった。また3位には第3戦で全日本ラリー選手権初優勝を飾った中井育真/佐土原慶一組(マツダ・デミオ)が入った。
クラス別順位結果(上位3クルー)
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 新井 敏弘/田中 直哉 |
---|---|
スバルWRX STI | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 勝田 範彦/石田 裕一 |
スバルWRX STI | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 奴田原 文雄/佐藤 忠宜 |
三菱ランサーエボリューションX |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 山口 清司/山本 磨美 |
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トヨタ86 | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 天野 智之/井上 裕紀子 |
トヨタ・ヴィッツGRMNターボ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 関根 正人/竹下 紀子 |
三菱ミラージュ |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 横尾 芳則/渡邉 晴子 |
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トヨタ86 | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 小濱 勇希/馬場 雄一 |
スバルBRZ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 佐藤 隆行/味村 寛 |
スバルBRZ |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 岡田 孝一/鶴田 邦彦 |
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マツダ・デミオ | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 島田 章/内藤 雄樹 |
マツダ・デミオ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 藤田 幸弘/藤田 彩子 |
マツダ・デミオ |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 鈴木 尚/山岸 典将 |
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スズキ・スイフトスポーツ | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 高橋 悟志/箕作 裕子 |
トヨタ・ヴィッツ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 中井 育真/佐土原 慶一 |
マツダ・デミオ |
※JN1はクラス不成立。全日本ラリー選手権のクラス区分はこちらを参照ください。