F3 2015年 レース車両解説
世界に先駆けて一昨年から新規定のエンジンを導入
シャシーは実質的にはダラーラ社製のワンメイクに
F3レースで使用されるシャシーは、世界中のモータースポーツを統括するFIAのテクニカルレギュレーション(車両規則)に則って開発/製作されている。いくつかのコンストラクター(シャシー製造会社)がF3用のシャシーを製造してきたが、近年では世界的に見ても、イタリアのダラーラ社製のシャシーが主流で、実質的なワンメイクとなっている。具体的に見て行くとカーボンコンポジット(炭素繊維による複合素材)のモノコックを使用し、性能面に加え安全面でもレベルの高いものとなっている。空力面では突き詰めたものではなく、足回りも含め基本的なセッティングのレベルになっている。
エンジンは排気量が2000cc以下の直列4気筒で、従来は年間2500台以上生産された、市販車に搭載されたエンジンの主要コンポーネントを使用することが義務付けられていたが、2013年からは市販のベースエンジンを持たない、いわゆる純レーシングエンジンも認められるようになった。この規定変更に関しては、ヨーロッパの自動車メーカーは対応が遅れて2013年は旧規定で戦われていたが、日本国内では世界に先駆けて新規定に移行していた。TOYOTA GAZOO Racingで使用しているエンジンはトムス製のTAZ31。ノアやボクシーに搭載されている1AZ-FSEを大幅に改造して製作されたもので、デビューシーズンとなった2013年にはドライバー/チーム/エンジンチューナーの3冠に輝き、昨年もチーム/エンジンチューナーの2タイトルを連覇している。
全日本F3選手権では現行のF3車両に加えて、一世代前、二世代前のシャシーとトムスが供給する3S-GEエンジンを搭載した車両の参戦も認められている。この車両はNクラスとされ、現行F3車両と混走するが、独自のチャンピオンシップにもなっている。Nクラスは参戦費用が抑えられているため、新規参戦者やトップアマチュアが中心となり、激しいレースが行われている。
| Dallara F312シャシー | |
|---|---|
| 車両名称 | Dallara F312 |
| 全長/全幅 | 4351mm/1845mm |
| ホイールベース | 2800mm |
| トレッド | 前:1595mm 後:1540mm |
| トランスミッション | 6速シーケンシャル |
| ブレーキ | ベンチレーテッドディスク |
| 車両重量 | 550kg |
| TOYOTA TOM'S TAZ31エンジン | |
| エンジン型式 | TAZ31 |
| 排気量 | 1,998cc |
| ボア×ストローク | φ86x86 |
| 気筒数 | 直列4気筒直噴 |
| 重量 | 87kg(吸気系含まず) |
| 出力 | 200馬力以上 |
| 吸気リストリクター径 | φ28mm |