FIA-F4 2015年 レース車両解説
世界基準の新型車両
低コストでドライビングの基礎を学ぶ
『FIA-F4』ではシャシー(車体)、エンジンは各シリーズでFIAの許諾を受けた1ブランドのみが使用される。日本のシリーズ(F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP)においては、トヨタ自動車の開発支援によって、JMIA(日本自動車レース工業会)の共同開発で生産された童夢社製モノコック『F110』と、トムスの開発による2ℓ自然吸気の直列4気筒『TZR42』エンジンの組み合わせからなる国産フォーミュラカーでレースが行われる。
海外シリーズでは、タトゥースやミゲールなどいくつかのコンストラクターがシャシーの製作を行っており、エンジンも同様に世界的にはフィアット、アバルト、フォードなどいくつかのブランドや1.4ℓ、1.6ℓ、1.8ℓ、2.0ℓなどの排気量が存在している。エンジンはFIAが140hp~160psという出力を求めているが、『TZR42』は最大クラスとなる160psの出力を誇る。パワーとしての絶対性能は抑えられているが、FIAの規定により年間10,000kmをオーバーホールなしで走ることが出来る仕様となっており、発展途上のドライバーが多くの距離を走行出来るよう配慮されている。
また、パーツのほとんどは指定パーツの使用が義務付けとなっており、よりイコールコンディションに近い形が保たれる状況を作り出している。このことはハードの必要以上の競争を抑え、レースに掛かるコストが高騰することを抑えることにも繋がっている。シャシー、エンジンにはそれぞれコストキャップ(予算の上限)が設けられており、シャシー販売価格の上限が€38,000、エンジンの1年間の費用の上限が€7,500と、このクラスのレーシングカーとしては安価なことが大きな特徴となっている。
タイヤはダンロップのレーシングタイヤのワンメイクとなる。そして、日本国内のミドルフォーミュラでは初となるパドルシフトが装備されており、それに合わせて戸田レーシング製の6速シーケンシャルトランスミッションが搭載される。ほとんどのパーツがワンメイクとなっている中、ブレーキパッドは7社の製品の中から選択することが出来、自らのドライビングスタイルに合った物を使うことが出来るようになっている。
シャシー | |
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名称・型式 | 童夢F110 |
モノコック | 童夢 FIA公認UOVA ハイブリッドカーボンモノコック 前後インパクトストラクチャー |
ボディ・フロア | グラスファイバー |
サスペンション | ダブルウイッシュボーン+プッシュロッド+ツインダンパー アンチロールバー |
ブレーキ | ADVICS ツーポットキャリパー+ベンチレーテッドディスク |
空カデバイス | 前シングルエレメン卜ウイング、後ツインエレメントウイング |
ギヤボックス | 戸田レーシング 6速シーケンシャルパドルシフト |
安全装備 | タカタ FIA規定6点式セーフティハーネス 童夢 FIA規定セーフティヘッドレスト FIA FT3-1999 規定安全燃料セル |
全長 | 4340 mm |
全幅 | 1738 mm |
全高 | 950 mm(基準面より) |
ホイルベース | 2750 mm |
トラック | 前1500 mm/後1460 mm |
車重 | 570kg (ドライバー込) |
タイヤ(暫定) | 前195/550R13/後240/570R13 |
ホイル | TWS アルミニウム鍛造 前8J-13/後10J-13 |
エンジン | |
タイプ・型式 | トムスTZR42 DOHC 16バルブ 可変バルブタイミング 電子スロットル |
排気量 | 1987 cc |
ボア・ストローク | 80.5 mm x 97.6 mm |
最大出力 | 160ps/5800rpm |
クラッチ | AP 7.25 インチ シングルプレート |
電装品 | ECU R&Sport ディスプレイ/データロガーAIM |