フォーミュラの原点に帰った"SF14"
新時代のレーシングエンジン"RI4A"を供給
5年に渡り使用したSF13(当初はFN09)に代わり、2014年は新型車のSF14を導入された。SF14の基本コンセプトは"クイック&ライト"。フォーミュラカーの原点とも言える、軽くて素早い動きの追求だ。空力面では、前走車の作る乱流に入っても荷重変動が少ないなど、ドライバーのハンドリングに忠実な動きの実現している。また、ブレーキも鉄製からカーボン製ディスクとなった。これにより、バトルしやすい、抜きやすい車両になっている。
シャシーの開発・製造はイタリアのダラーラ社で、開発の過程では中嶋一貴選手らスーパーフォーミュラのトップドライバーがシミュレーターに乗り、開発の助言をするなど最新の設計システムも導入されている。
SF14の導入に併せエンジンも一新され、トヨタはレース専用の2000cc、直列4気筒直噴ターボの"RI4A"を開発。パワー制限はトヨタをはじめ国内3メーカーが協力して作り上げた世界初の燃料流量リストリクターを使用する。この仕様は、パワーと燃費を兼ねそなえた次世代レースエンジンのコンセプトとして導入された。しかも、エンジン開発で得られたデータは、市販車のダウンサイジング&エコ性能の向上にも活用でき、"走る実験室"という側面も復活させている。また、SF13に搭載されたV8エンジンに較べ35kgも軽量化されている。これはレースでの燃料使用量の軽減にもつながり、SF14のクイック&ライトにも反映されるという、正に新時代のレースエンジンとなった。
2014年の開幕戦鈴鹿で、SF14を駆ったドライバーのほとんどが「ドライビングが楽しい」「F1に匹敵するコーナリング性能がある」「従来のパワー規制のような苦痛がない」と高評価を下した。予選では、RI4Aを搭載したSF14がコースレコードを樹立。決勝レースでも表彰台を独占。レースの随所で好バトルが展開し、そのコンセプト通りの性能を見せていた。
エンジン |
エンジン型式 | RI4A |
排気量 | 2,000cc |
気筒数 | 直列4気筒直噴 |
過給器 | ターボチャージャー(ギャレット製) |
重量 | 85kg |
出力 | 550馬力(405kw)以上 |
出力制限方法 | 燃料リストリクターによる燃料流量制限 |
シャシー |
車両名称 | ダラーラSF14 |
全 長 | 5,268mm |
ホイールベース | 3,165mm |
全幅 | 1,910mm |
全高 | 960mm |
最低重量 | 660kg(ドライバー搭乗時) |
ギアボックス | リカルド前進6速/パドルシステム |
ブレーキ | ブレンボキャリパー&ブレンボカーボン製ディスク |
ステアリングシステム | KYB電動パワーステアリングシステム |
フロントサスペンション | プッシュロッドトーションバースプリング |
リアサスペンション | プッシュロッド |
タイヤ |
メーカー | ブリヂストン |
フロントサイズ | 235/55R13 |
リアサイズ | 340/620×13 |