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SUPER FORMULA 第2戦 オートポリス 特派員レポート

九州に上陸したスーパーフォーミュラ

約一ヵ月月半のインターバルを置き、入梅の声と共に九州に上陸したスーパーフォーミュラ。前シリーズ、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンから数えて、オートポリスでの開催は、6回目となります。予選日・決勝両日とも、あいにくの雨模様...。トヨタ陣営に帰って来た最強の2号車、ペトロナス チーム トムス、アンドレ・ロッテラーが、全セッショントップで終えたレースウィークを、まるごと振り返って参りましょう。

  • 予選日 06.01(土)
  • 決勝日 06.02(日)

予選日 06.01(土)

宿泊場所の熊本空港近くの菊池郡大津町で迎えた朝は、かろうじて雨が落ちずに曇っていました。いざ出発し、阿蘇のカルデラを一望できるサーキットまでの"ミルクロード"と呼ばれる高原の道路は、霧に包まれ先が見えない状況でした。"霧"というよりも、正確には標高が高いので、"雲"が正解のようです。サーキットに到着すると、とうとう雨が路面を濡らし始めます。
そんな中、レースウィークは、イベント広場のメインステージからスタートすることとなりました。土曜日だけの応援でしたが、あの有名なゆるキャラ"くまモン"が、サーキットへ来場。われらがトヨタくま吉も、メインステージに呼んでいただき出演することとなったのです。ステージ上には、ほかにも地元を盛り上げるキャラクターが集まっていて、みんなで"くまモン体操"を熱演。われらがトヨタくま吉も、この日の為にマスターして参加しました。無事にステージが終わるのを見届け、雨の中パドックへ走りました。

いよいよフリー走行開始の時間。ウェット宣言の中のスタートとなりました。序盤からトップに躍り出たのは、開幕戦を他のレースとの兼ね合いから欠場したペトロナス チーム トムスのアンドレ・ロッテラー選手でした。同じく開幕戦を欠場したキグナス スノコ チーム ルマンのロイック・デュバル選手も上位につけ、他を圧倒。セッション中、雨脚が強くなると共に、スピンするクルマが出始め終盤赤旗が提示されましたが、リスタートとなり、無事に1時間のフリー走行を終えました。

フリー走行終了後、ブリーフィングルームでは、JRP主催のメディア向けの会見がありました。まずドライバー記者会見は、トヨタ側からは、開幕戦に不在だった前述の二人のドライバーが参加し質疑応答。今般のレースよりも、今月その二人が参戦するル・マン24時間耐久レースの質問に終始しました。それだけ世界も注目するレーシングドライバーでもあり、メディアの方々もその動向が気になるところですね。
その後行われたのが、現在開発中の来年度から導入されるスーパーフォーミュラの新型シャーシについての経過報告でした。トヨタ、ホンダからそれぞれのプロジェクトリーダーと担当者が参加し、風洞実験やクラッシュテストなどの画像を公開しながら、プロジェクトの進行具合について説明がありました。来月、新型シャーシのシェイクダウンが行われる予定です。

雨の中のピットウォーク。来場された方には、本当に気の毒な天候でしたが、われらがトヨタくま吉も、この日だけ登場のくまモンと一緒に、ファンサービスに努めました。

いよいよ、公式予選。しかし、セッション序盤から雨脚が強まり赤旗が提示されました。協議の結果、翌朝への順延がアナウンスされました。雨の時は、いつこのような事態になるかわかりません。ですので、早々にアタックし、トップタイムを叩きだしていたロッテラー選手は、予選がキャンセルになったことを当初残念がっていましたが、担当の東條エンジニア共々、すぐ気持ちを切り替えたようです。スケジュール変更がなされている間に、若干小降りになり、併催されていた2輪のレースは行われていました。

夕方のキッズウォークになる頃には、若干気温も下がり始めましたが、我々の心配をよそに、たくさんの方々が残っていてくださいました。大型ルーキー、キグナス スノコ チーム ルマン平川亮選手がファンサービスしていましたので、ちょっとのぞいてみました。たしか、"漢字"でサインをする彼ですが、開幕戦の時は、サインに苗字があったような?小さいことは気にしないで、参りましょう。オートポリスに来ると、毎回思うことがあります。ファンの方がとても控えめだなと。チーム側から、サインも写真ももらってしまいましょうよ!と、アピール。雨の中でしたが、楽しんでいただけましたでしょうか?


決勝日 06.02(日)

やっぱり今朝も雨...。そして、またもやサーキットに向かうミルクロードは、真っ白。そんな朝を迎えながらも、サーキットへ到着すると、決勝日とあってお客さんがいっぱい。ビッグレースの九州開催を楽しみにしてくれているファンの方の為に、天候回復を願う気持ちは、ますます強まるばかりでした。そんな思いの中、ワンデーレースのバタバタな一日がスタートしました。

まずは、公式予選に集中です。相変わらず、雲が立ち込めるサーキットへ、元気にコースインして参りました。最良のリザルトを祈願しつつも、やっぱり安全にレースがコントロールされることを悪天候の際には一番に思いますよね。そして、アンドレ・ロッテラー選手がここでもダントツのタイムを叩きだし、ポールポジションを獲得いたしました。2番手には、レノボ チーム インパルのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手が続きました。


ピットウォークでは、予選日にも行われていた、コース上での2輪のパフォーマンスが大盛況。くま吉も、もちろん大活躍で、子どもたちだけではなく、大人にも大人気でした。オフィシャルの方々が、緊急脱出訓練の様子を披露していました。ピットウォーク終わりに、ドクターさんたちに呼び出されたくま吉。何かレギュレーション違反でもしたのか?と心配になりましたが、記念撮影の為だったようです。九州でも人気で、ほっとしました。冬のような気候の中、出番を待つ2輪のダミーグリッドに立つグリッドガールのみなさんに、頑張って!と、くま吉は手を振って激励しました。


さあ、決勝です!
本当におもしろいレースでした。"駆け引き"が、おもしろさを引き立てましたね。ウェットコンディションではありますが、スリックタイヤの皮むきを行っているチームも当然あります。路面コンディションの変化と、天気予報とのにらめっこで、当然コースが乾くことも想定される中、準備に余念のないウォームアップ走行となりました。

このような難しいコンディションの際には、グリッドにもたくさんのタイヤが用意されるのです。スリックでウォームアップし、ダミーグリッドにつくとレインタイヤを装着するチームがほとんどでした。スタート直前の状況ですと、コースはウェットコンディションですので、レインタイヤが妥当と判断するチームがほとんど。天候の早期回復に賭けるとなると、かなりのギャンブルではありますが、スリックを装着して、下位からポジションの大幅アップを図る作戦もあります。

ポールポジションのロッテラー選手は、リスクを負う位置ではないし、気温が低いので安全策としてレインタイヤを選択すると、語っていました。デュバル選手は、しきりに友人でもあるロッテラー選手と、ペトロナス チーム トムス東條エンジニアのもとを訪れ、様子を伺っていましたが、唯一スリックタイヤを選択して賭けに出ました。


いよいよスタートの時が来ました。スリックタイヤが注目を集めるのは、言うまでもありません。スタートし数周という早いうちに、レインタイヤよりもスリックタイヤにアドバンテージが出て、こぞってタイヤ交換のためピットインするという展開となりました。デュバル選手の戦略が大当たりだったわけです。トップを快走するデュバル選手は、多くのギャップを築いたのちピットイン。タイヤ無交換、給油のみでピットアウトしました。ロッテラー選手から逃れる為には、ピット作業の時間を短くし、温まったタイヤでそのまま走行するのが得策。ロッテラー選手の前で、コース復帰することに成功しました。その後の中盤から終盤にかけての二人のバトルは、とても見応えがありました。獲物を追うロッテラー選手と、逃れるデュバル選手。途中で、シフトにトラブルが出始めたデュバル選手が、ロッテラー選手に捕えられる時が来ました。一気に抜き去り、強さ見せつけるロッテラー選手。そのままレースをリードしますが、視界不良の為、レースは赤旗により終了、残り5周でしたがレース成立となりました。異次元の速さを魅せてくれた二人のドライバーが、多くのドライバーをラップダウンし、トヨタ勢のワンツーでレースは終了しました。


表彰式まで視界不良でしたが、とにかく大きな事故に見舞われずに、安堵しました。大型ルーキー、キグナス スノコ チーム ルマン平川亮選手が、開幕戦に続き2戦連続で入賞。そして、2戦を終えて、ポイントリーダーはレノボ チーム インパル松田次生選手ということも忘れないでくださいね。

決勝日は、雨に加え強風と悪天候でしたが、そんな中、応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。次戦、スーパーフォーミュラ第3戦(7/13-14)は、富士スピードウェイにて開催されます。サーキットで、お待ちしております!