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WEC 2013年 サーキット・オブ・ジ・アメリカズ6時間レース 決勝

雨のサーキット・オブ・ジ・アメリカズを走行するTS030 HYBRID 8号車

トヨタ・レーシングのTS030 HYBRID 激しい首位争いで僅差の2位
次戦WEC第6戦 富士6時間レースでの勝利へ賭ける

スタート直後シーン アメリカ・オースティンで行われた2013年WEC第5戦サーキット・オブ・ジ・アメリカズ6時間レースで、トヨタ・レーシングのTS030 HYBRID #8は6時間にわたる激戦の結果、アウディ#2に次ぐ2位を獲得した。今シーズン3度目の表彰台。優勝したアウディとの差は僅か23.617秒だった。

TS030 HYBRID #8はアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザンのドライブで、ライバルのアウディと接戦を展開した。

ブエミは3番手からレースをスタートし、直後に導入された15分間のセーフティカー走行の後、レース再開で2位につけた。その後アウディ#1との接近戦が始まり、この2台は最初のピットストップまで激しく競り合った。

TS030 HYBRID 8号車 アウディ#1が他車との接触でダメージを負うと、ブエミはこれをリードすることに専念できたが、ライバルのアウディは2台が異なる戦略を採るため、アウディ#2との長い戦いが始まった。

アウディがピットストップ毎にタイヤ交換をしていたのに対し、TS030 HYBRIDは2スティントにわたりタイヤ交換なしで走行を続けた。これは、チームの素早いピット作業と相まってTS030 HYBRID #8のピットイン時の時間節約に大きく寄与した。これにより、レース開始の1時間45分後にサラザンがブエミに交替し、コース復帰した時には一時首位を奪取、レースの折り返し点を過ぎるまで、勝利に向けたシーソーゲームが続いた。

一方、今朝、娘が生まれ、二子の父親となったデビッドソンは、1スティントを受け持ち、その後、ステアリングをブエミに託した。ブエミは高温に悩まされるレース環境にもかかわらず、好タイムで周回を続けた。

最後のドライバー交替でブエミからステアリングを引き継いだサラザンは、短いスティントを完璧にこなし、2位でチェッカーフラッグを受けた。

アウディ #1と接近戦をするTS030 HYBRID 8号車 次戦はトヨタ・レーシングにとってホームレースとなる、10月20日(日)に行われるWEC富士6時間レース。このレースにトヨタ・レーシングはアレックス・ブルツ、ニコラス・ラピエール、中嶋一貴の乗るTS030 HYBRID #7を加え、2台体制で参戦、母国に於けるレースで必勝を期す。

TS030 HYBRID #8
(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/ステファン・サラザン)
決勝レース:2位(187周:首位と23.617秒差)、ピットストップ7回、最速ラップ:1分48秒745

アンソニー・デビッドソン #8:
我々にとっては良いレースであった。アウディとここまでの接近戦になるとは予想していなかったので、力を発揮出来たことは誇れると思う。当初からの2スティントでのタイヤ交換戦略はとても上手くいった。この週末に、初めてのサーキットにもかかわらず充分な走り込みが出来なかったので、私は1スティントのみを受け持った。私のスティントの始めは厳しいものだったが、公式予選も走っておらず、金曜日のドライコンディションも経験していなかったことを考えれば想定されたものであった。我々が最も欲しい結果は得られなかったものの、優勝争いが出来たことは良かった。

セバスチャン・ブエミ #8:
我々は、最後の最後まで可能な限り全力で戦った。本当にタフな戦いだった。1周でのラップタイムはともかく、戦略は上手く行き、勝利へのチャンスもあった。ハイブリッド・パワーによる加速のおかげで、2位に入ることが出来た。私はアウディとのバトルを楽しみ、何度もエキサイティングな瞬間を経験した。我々は全力を出し切ったし、優勝を逃したことは残念だが、表彰台を獲得したことには納得している。今、我々は、次戦へ向けて努力の手を休めない。

ステファン・サラザン #8:
ステファン・サラザン 表彰台に帰って来られてとても喜んでいる。最初のスティントが終わった時にアウディはタイヤ交換をしたが、我々はタイヤ交換なしで第2スティントを走った。その時に、勝てるかもしれない、と感じた。TS030 HYBRIDは本当にタイヤに優しく、第2スティントも最後まで激しくプッシュ出来た。ペースは今ひとつだったが、戦略は上手く機能し、我々のチーム全員が素晴らしい仕事をした。特に、非常に高温のコックピットで長時間の戦いを担当してくれたブエミには感謝している。なかなか勝利を得るのは難しいが、ライバルにプレッシャーをかけ続けることは出来たと思う。次の富士6時間はトヨタ・レーシングにとって母国のレース。何が何でも表彰台の中央に立ちたいと思っている。

木下美明 チーム代表:
今日のレースは、最後のピットストップまでどの車が勝つか見当が付かないほどの接戦だった。TS030 HYBRIDも、バランスが完璧だった序盤3時間は非常に順調だった。我々にとっての痛手は、ハイブリッド・エネルギーの回生区間が4個所しかなく、強みであるハイブリッド・パワーが十分に使えなかったことだ。ただ、ハイ・ダウンフォース仕様のレースにおけるTS030 HYBRIDの実力を初めて確認出来、それがアウディとの差を詰める要因になっていたことも理解出来た。今日は、ドライバーにとって2スティント戦略は非常にきつかったと思う。それを完遂してくれた彼らには感謝している。特にブエミはその2スティント戦略を2回もこなしてくれた。頭が下がる思いだ。