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WEC 2013年 富士6時間レース 特派員レポート

ル・マン24時間レース以来、トヨタ・レーシングが2台体制で参戦するという発表があってから、心待ちにしていたWEC富士6時間耐久レース。10月18日(金)~20日(日)のスケジュールで富士スピードウェイ(静岡県)にて開催されました。TS030 HYBRID 7号車が今季初優勝という結果で幕を閉じましたが、そのわくわくとドタバタのレースウィークを振り返って参りましょう。

18日(金):公式練習走行開始!

レースウィーク初日、この2台の雄姿が見たかった。日本で見られることが、とてもうれしく感じましたね。2台揃ってピットアウトしていく姿に胸を躍らせ、ランデブー走行の撮影のチャンスを素人ながらも追いかけました。2回にわたる公式練習走行は、たくさんの方が"2ショット"をカメラに収めたのではないでしょうか?
そしてこの日は、公式練習走行1回目の後、今回のレースに参戦する日本人ドライバー7名の記者会見が行われ、中嶋一貴選手も出席。レースにかける意気込みなどを語り、LM GTE Proクラスに参戦する小林可夢偉選手と共に、若手の二人が会見を盛り上げました。この日は、御殿場市内の小学生1400名がサーキットを訪れていて、その中から代表者が会見に参加。質疑応答時には、ジャーナリストにまじり小学生からも質問がありました。「好きなクルマは何ですか?」という問いに、中嶋一貴選手は、"TS030 HYBRID"と回答。最後に小学生のみなさんと記念撮影を行い、和やかに終了しました。夜は、WEC主催のレセプションパーティーがあり多くのチーム関係者が出席していました。

19日(土):練習走行3回目、予選

レースウィークに入りグっと気温が下がった富士スピードウェイ。土曜の朝は、初冠雪の富士山が迎えてくれました。朝からパドックには、トヨタ・レーシング木下代表やドライバーからサインをもらうファンの姿がありました。そして1時間にわたる3回目の公式練習走行を終えあとは予選を待つばかり。今日は、トークショーへトヨタ・レーシングのドライバーも参加します。
イベント広場メインステージには、アレックス・ブルツ選手とステファン・サラザン選手が登場。ライバルチームとの共演で、外国人ドライバー4人。終始笑顔で笑いの絶えないトークショーとなり大変盛り上がっていました。なかなかお目にかかることのできないメンバーに、観客もさすがに多かったです。「いつか自分たちが主役になる!」と、アレックス・ブルツ選手が述べると、ステファン・サラザン選手は「トヨタの旗をたくさん振ってもらえるのが楽しみだ」と語り、最後にはかぶっていたキャップを二人とも観客のみなさんへ投げ込みました。
トヨタ・レーシングブースのステージでは、午前の走行でトップタイムだった中嶋一貴選手と、先日のオースティン戦時に二人目のお子さまが誕生したアンソニー・デビッドソン選手が登場。ここでも最後にサプライズが...。木曜日にドライバーたちが撮影で使用した「必勝祈願」鉢巻を、サイン入りでプレゼント!じゃんけん大会が催されました。"最初は、グー"のあのフレーズを、アンソニー・デビッドソン選手が何とも流暢に!あまりに上手な日本語に、会場は一様に驚いていました。

ドライバーサイン会

昨年は、並ぶと確実にサインがもらえるサイン会でしたが、今年の盛況ぶりはすごかった。日本人が参戦しているピットの前は長蛇の列。トヨタ・レーシングもご多分にもれず列が、隣の隣の隣のピットあたりまで伸びていました。昨年よりも確実にもらうのが大変。ドライバーは、目いっぱいサインしております。下ばかり向いておりますが、一人でも多くの方々に、サインを差し上げたい気持ちからだと思うのでお許しを...。応援団の方々もピットの前に自然と集まって来ていました。
午後の予選を終えてライバルチームからは、「トヨタ・レーシングの決勝でのパフォーマンスは高い、脅威である」とのコメントが。中嶋一貴選手からは、予選3番手をいう結果は納得の行くもので予選よりも決勝重視と語られ、予選のタイム差がなかった事から、思ったよりもチャンスのあるところにいるという力強い発言がありました。そういう意味でも、決勝レースで、トヨタ・レーシングの巻き返しをこの目でしっかり見届けたかったですね。
夕方からは、ピットビルのホスピタリティラウンジにて、メディア懇談会がありました。メディア、ジャーナリストの方々を招いての1時間。今後のトヨタモータースポーツの発展への想いを込めた忌憚のない意見のやり取りがあり、無事に一日が終了しました。

20日(日):決勝

朝からあいにくの雨。小降りだった雨も、ピットウォークの時間になると本降りに。そんな中、グリッドガールがスタンバイを始め、雨でどうなるかわからないにも関わらず、いよいよスタート間近と実感が湧きます。公募の浴衣のグリッドガールたち、3時間ほどお手洗いに行くことができないそうで、やる気で寒さを乗り切っていました。サーキットの華になったこと、とても良い記念になったのではないでしょうか?

スタート!

雨のため、セーフティーカー先導によりレースはスタート。バトルが見たいのは山々ですが、セーフティーカーのパレードランもある意味"レア"だと思い写真をパチリ。その後、赤旗が出てストレート上にクルマを停め、レースは中断しました。雨の為にシートをかぶったクルマたち。戦っているクルマが一番素敵ですよね。ドライバーの安全を考慮すれば仕方のないこと。リスタート、赤旗中断の措置が繰り返されました。そして、戦うことなくレースは成立となり終了しました。誰もが不完全燃焼のレースでしたが、これもレース、されどレースとそれを一番感じた一日でした。

レース後

実感のないまま、表彰式を経て記者会見。中嶋一貴選手と、アウディスポーツ・チームヨースト、ロイック・デュバル選手からも、このレースコントロールの英断に対し同意のコメントが寄せられました。囲み会見でも、みんな優勝の実感は湧いていませんでしたが、それも納得ですね。
その後、スタッフ全員でお疲れ様会が行われました。本当は、しっかり戦って昨年のように思いっきり祝勝会としたかったはずですが...。しかし、長かった母国でのレースウィークを慰労する会となっていました。今回80名弱のスタッフの登録があり、このレースにかけた想いは大変強かったでしょう。「心底レースがしたいと思った...」と語るスタッフもいて、きっとこの場にいるみんなも同様に思っていることだろうと、チームワークや仲間で戦うのがレースだと改めて感じました。
会を始める際、木下代表は、今度はドライでアウディに打ち勝とう!と、いつもの落ち着いた口調でみんなに話していました。

レースウィークのスナップ写真をどうぞ。

決勝レースのプレスリリースで発表されていますが、次戦の中国・上海でのレースには、トヨタ・レーシングは2台で臨むことが発表されました(中嶋一貴選手を除く)。今回の想いをぶつけて、勝利の報告を待ちたいですね。
雨の中、最後まで応援してくださって、本当にありがとうございました。来年もまた富士スピードウェイでお会いしましょう。