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WEC 2014年 第1戦(開幕戦)シルバーストーン6時間レース プレビュー

TS040 HYBRIDの走行シーン

トヨタ・レーシングの新型TS040 HYBRID
WEC開幕戦シルバーストーンのデビュー戦へ向けて準備万端

トヨタ・レーシングの6名のドライバーとTS040 HYBRID

トヨタ・レーシングは、今週末の2014年FIA世界選手権(WEC)開幕戦、シルバーストーン6時間レースで、1000馬力を発揮する新たなTS040 HYBRIDのデビュー戦を迎える。

新しいTS040 HYBRIDは、トヨタの画期的な4輪駆動ハイブリッド技術を採用し、ル・マン24時間レースを含む、今季のWECシリーズ全8戦へ向けた準備として25,000km以上のテスト走行を終えている。

開幕戦シルバーストーンでは、ハイダウンフォース仕様のTS040 HYBRIDが投入される予定で、この仕様は6月のル・マン24時間レース用に、最高速を重視したローダウンフォース仕様と比べ、最高速よりも空力的なグリップを重視している。

シルバーストーンのコース図 TS040 HYBRIDの#7はアレックス・ブルツとステファン・サラザン、中嶋一貴の3名が、 #8はアンソニー・デビッドソン、ニコラス・ラピエールとセバスチャン・ブエミの3名がドライブする。

トヨタ・レーシングはこれまで2回出場したシルバーストーン戦でどちらも表彰台フィニッシュを果たすと共に、昨年は予選で1-2番手を獲得した。今回はもちろん、新たなシーズンの完璧なスタートを切るべく、優勝を目指す。

TS040 HYBRIDは2014年の新車両規則に従い、更にパワフルになった。3.7リットル自然吸気ガソリンエンジンから生み出される520馬力に、新たなハイブリッドシステム(THS-R)が発揮する480馬力が加えられると同時に、消費燃料は昨年までのTS030 HYBRIDに比較して25%低減されることとなった。

TS040 HYBRIDの減速時には、前後車軸に取り付けられたモータージェネレータが、一般的なメカニカルブレーキとの組み合わせで制動力を生み出すと同時にエネルギーを回収し、スーパーキャパシタに蓄積する。加速時には、モータージェネレータはその役目を反転させ、モーターがパワーブーストを行う。

2台で走行するTS040 HYBRID 昨年までと異なり、TS040 HYBRIDはコース上のいかなる場所でもエネルギーの回生/力行を行うことが出来る。これにより、チームはこのハイブリッド技術を、燃費に振るか性能に振るか、戦略的な選択が出来るようになった。

ドライバーがシルバーストーン・サーキットでこの最新鋭技術を駆使する最初の機会となるのは、18日(金)11:55(日本時間19:55)と15:55(同23:55)からそれぞれ90分ずつの練習走行セッション。19日(土)は9:00(同17:00)から1時間の最終練習走行セッションを経て、12:35(同20:35)から25分間でLMPクラスの予選が行われる。決勝は20日(日)正午(同20:00)に6時間レースのスタートが切られる。

木下美明 チーム代表:
プレシーズンテストを全て終えて迎える開幕戦シルバーストーンは、どのレースカーが速いのか、真のジャッジが下される最初のレースとなる。それは非常にエキサイティングな瞬間であり、その瞬間を何ヶ月も想い続けてきた。チームはこのレースのために、信じられないほどハードな作業をこなしてきており、必ずそれが報いられると信じている。我々はパフォーマンスと信頼性の目標を掲げてきたが、それがレースにおいてどのレベルか分かることになる。3つのマニュファクチャラーがLMP1クラスで戦うことで、エキサイティングなシーズンになると思う。それはファンにとっても素晴らしいニュースであり、我々チームにとっても良いプレッシャーになる。我々はこれまでにないほど十分な準備をして来ており、日曜日にどのようなレースが繰り広げられるのか、とても楽しみだ。

アレックス・ブルツ (TS040 HYBRID #7):
冬の間にやって来たことが、我々の望むトップレベルに十分かどうかがシルバーストーンで明らかになる。我々はTS040 HYBRIDで多くの周回を重ね、素晴らしい進歩を遂げてきた。TS040 HYBRIDで用いられている技術、特にハイブリッドシステムは驚くべきものであり、これをドライブ出来るというのは本当に光栄だ。我々は十分な準備をして来たと思っているが、過剰な自信は禁物だ。シーズンのスタートを勝利で飾るためのチャンスを最大にするためにも、シルバーストーンでの週末が全て順調に行く必要がある。

ステファン・サラザン (TS040 HYBRID #7):
TS040 HYBRID #7での初めてのレースであり、アレックス、一貴と共に初めてレースウィークを戦うのが楽しみだ。チームの誰もが開幕戦を迎えて興奮していると思う。新しい車両規則と、新しいマニュファクチャラーの参戦により、今季は大きな挑戦となる。しかし、我々は十分に準備をして来ており、ライバルを迎え撃つ用意も出来ている。昨年の最終戦で私はトヨタ・レーシングでの初勝利を挙げたが、その記憶が冬の間も私の士気を高めてくれた。今季も初戦シルバーストーンから更なる勝利を狙って行きたい。

中嶋一貴 (TS040 HYBRID #7):
レースに戻るのは嬉しいし、TS040 HYBRIDがシルバーストーンでどれだけのパフォーマンスを発揮出来るか見るのを待ち切れない。シルバーストーンは私にとって好みのサーキットの一つであり、とても良く知っている。あの楽しいコースで、4輪駆動の1000馬力を経験するというのはどのようなものなのか、そしてライバルとの直接対決も、非常に楽しみだ。今年の選手権争いは非常にハイレベルなものになるだろうし、その中に加われるのはエキサイティングだ。もちろんこれはチーム全員にとって大きな挑戦であり、開幕戦から出来る限りハードにプッシュしていくつもりだ。

アンソニー・デビッドソン (TS040 HYBRID #8):
シルバーストーン6時間レースを、ずっと楽しみにしていた。私にとって母国でのレースであり、トヨタ・レーシングにとっては重要なシーズンの開幕戦だ。全ての開発とテストを終え、開幕戦はどのチームが優勢なのか、本当の力が明らかになる。我々は冬の間もハードワークを続けて来た。TS040 HYBRIDは昨年の車両に比べても、大きな進歩を遂げたと思っている。昨年最終戦バーレーンで味わった勝利はまだ記憶に新しい。それだけに、この週末、更なる勝利へ向けての意欲に満ちている。

ニコラス・ラピエール (TS040 HYBRID #8):
シーズン最初のレースであると共に、私にとっては#8のドライバーとしてアンソニー、セバスチャンと共に戦う初めてのレースとなる。もともと我々は良い関係を築いていたが、それは冬の間に更に強固なものとなった。私は#7で4勝を挙げているが、今度はそのチームがレースを戦う相手になるというのは不思議な気分だ。しかし、これらはチームのための決断であり、重要なのはトヨタ・レーシングとしてシルバーストーンで好結果を勝ち取ることだ。プレシーズンテストが順調に進んだこともあり、私はこのチームが十分な競争力を持っていることに自信があるし、LMP1クラスのバトルがどのようなものになるのか、パドック全体が注目している。

セバスチャン・ブエミ (TS040 HYBRID #8):
私にとって耐久レース2年目のフルシーズンとなるが、過去12ヶ月で多くのことを学んだ。2014シーズンに向けて良い準備が出来たと感じているし、チームも良い状態にあると思う。もちろんそれはシーズンの成功を保証するものではないが、自信と、シルバーストーンへ向けての高い期待をもたらしてくれる。間違いなくタフな戦いになるだろうが、我々には素晴らしいハイブリッド技術があり、その走りは必ず見る人を驚かせるだろう。そしてそれはシーズン開幕戦で好結果を得るための大きな原動力になるはずであり、それこそが今週の目標だ。

シルバーストーンでのトヨタ・レーシングの戦績
2012年 #7 予選3番手、決勝2位
2013年 #7 予選ポールポジション、決勝4位/#8 予選2番手、決勝3位