2日前にサーキット周辺を襲った寒波により、コース上には前日まで20cmを超す積雪があった。だが、サーキット関係者の除雪作業により、コースは走行可能な状態に。当日は天気に恵まれ、雪をいただいた富士山がくっきりと見ることができた。路面もドライになり、コース脇の雪と黒々としたコースの路面が見事なコントラストを見せていた。また、奇しくも新しく舗装されたサーキットの“乾きやすい”特性を証明することにもなった。
報道関係者やモータースポーツ関係者など600名が出席した落成披露式では、厳粛なムードの中でみそぎはらいを行う修祓式が執り行われ、続いて新生富士スピードウェイの概要を説明するプレゼンテーションが始まった。旧コースの最大の特徴であったロングストレートはそのままに、最新の設備と安全性を備えたサーキットに生まれ変わったことについて、島田久光・富士スピードウェイ社長は、「多くのレーサーが名勝負を歴史に残し、エキサイティングなバトルを繰り広げる若きレーサーがここから数多く巣立つことを願ってやまない」とコメントした。
走り初めの栄誉はラルフ・シューマッハーが浴することに。しんと静まりかえった新生富士スピードウェイをトヨタのF1カー(TF104)が甲高いエグゾーストノートを響かせて疾走。折り鶴をイメージした斬新な屋根が特徴のメインスタンドにさしかかると、独特のサウンドが増幅。周囲の音に合わせてボリュームが自動的に上がるスタンドの音響システムも、その効果をいかんなく発揮した。
クルージング、といってもF1の迫力を余すところなく伝えるに十分なスピードで5ラップを走ったラルフ・シューマッハーは、スタート/フィニッシュラインでマシンを降り、「素晴らしいサーキットだ」と感想を述べた。居並ぶカメラの放列に笑顔を振りまくと、開幕戦の地オーストラリア・メルボルンに向かうため、用意されたヘリコプターに乗り込み、麓まで真っ白な雪に覆われた富士山をバックに飛び立った。
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