●2月27日(日)
翌26日土曜日は終日オフ。トレーニングなどをして過ごしたラルフは、日曜日には都内を精力的に動き回り、ファンとの交流を楽しんだ。
都内のホテルからレインボーブリッジを渡ってお台場にやって来たラルフは「今まで、通り過ぎたことはあったけど、実際に足を踏み入れるのは初めて」と興奮気味。「東京は10年前と変わらず大きな都市だね。以前とはずいぶん変わって、初めて見るビルなんかもあった。居心地がいいから気に入っているよ。今度時間があったらゆっくり散歩したいね」とコメントした。
チームウエアに着替え、気持ちを切り替えたラルフは、ヒストリーガレージに。トヨタF1カーの前後ウイングやエンジンカウルをはじめ、数々レース関連アイテムに囲まれたスペースは、ファンとの親交を深めるにはうってつけの場所。ここでは公式ファンクラブ(team TOYOTA)のミーティングが行なわれたのである。
抽選に当たった幸運なメンバーがステージの間近に座り、ラルフの一挙手一投足に注目。開幕を目前に控えたライブなコメントに耳を傾けた。ファンが直接ラルフに質問をぶつけることができるのは、親密なムードで満たされたイベントならではの趣向だろう。ファンの期待どおりの回答ができない場合は「期待どおりの答えがでなくてごめんなさい」と付け加えて相手を思いやるラルフ。ときには大胆な、ときには難しい質問に、表情やジェスチャーで反応し、たびたび会場を沸かせた。
質問コーナーの後は、ファンクラブのメンバーとグループで記念撮影。撮影を終えたメンバーは、同席した木下美明モータースポーツ部部長兼TMG副社長、高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)を交えた談笑に花を咲かせた。最後にラルフは、「日本に帰ってきて多くのファンに会えてうれしい。結果を期待してくれていると思うけど、今年はドライバーがふたりとも新しくなったし、クルマも新しい。F1はすぐに勝てるほど甘い世界でないことは分かってくれていると思う。でも、僕らはチーム一丸となってがんばる。今度は鈴鹿で会えることを楽しみにしているよ。応援よろしく」と語り、メンバーに手を振った。
ランチ(寿司だったというウワサ)を済ませたラルフは、トヨタ・シティ・ショウケース1階MEGAステージで行なわれたトークショーに出演。ステージの周囲はトークショーの始まる何時間も前から十重二十重の人垣が巡っていた。関係者によれば、トークショーの始まりは午後1時だというのに、朝7時の時点で30人の熱心なファンが詰めかけていたそう。500枚用意した整理券は配布開始から10分でなくなったため、急きょ追加で250枚ほどを用意したとか。
というような盛況ぶりだったから、会場後方の2階に現れたラルフがエスカレーターを使ってゆっくり降りてくると、歓声がどっと沸いたのもうなずける。
数多くの質問に答えたラルフだったが、耳より情報をひとつ紹介しておこう。今シーズンから使用できるタイヤが1セットだけになるが、この点について「温存しなければならないからタイヤは重要。スタート直後は燃料を積んでいるので、タイヤを労らなければいけない。もし、タイヤメーカーが用意したコンパウンドが柔らかければ、ブリスターが発生するし、スピンするシーンも多くなるだろう。見ている人にとっては面白いだろうね」と、自らの考えを語った。
MEGA WEBでのトークショーを終えたラルフは、池袋のアムラックス東京に移動。メガウェブでの演出と同様にエスカレーターを使ってドラマチックに現れると、大歓声が揚がった(『らるふ~っ』という黄色い歓声を多数確認)。自分の腰ほどの背丈しかない女の子からプレゼントを受け取ると、「僕のファンの年齢層もずいぶん低くなってきたみたい」とジョークを飛ばし、会場の笑いを誘った。
チームの印象や今シーズンの抱負などを語ったラルフは最後に、「温かい歓迎をありがとう。決して楽ではないシーズンが始まるが、いい成績が期待できそう。ぜひ鈴鹿で会いましょう」と語って、700名のファンに別れを告げた。 |