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toyota-f1.comインタビュー
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木下美明が語る“F1におけるトヨタのアイデンティティー”とは?
「われわれは全てを作って戦っています」
トヨタのF1開発体制や、F1の中でのトヨタとは何なのか?また、F1の世界を目指す者へのアドバイスを、日本とドイツを忙しく往復する木下美明氏(トヨタ自動車株式会社モータースポーツ部部長/TMG副社長)が、その核心を語る。
木下美明プロフィール  

トヨタF1に携わる日本人たち
●突然ですが、木下さんはケルン市内にアパートを借りられたと伺いました。
「はいその通りです。今年から兼務になりまして、今6週間目(※インタビューは2005年2月25日)になります。すでに3回往復しました。つまり1週間おきに日本とドイツを行ったり来たりという生活です。今後は2週間おきのペースになると思います」

●大変な頻度だと思うのですが、やはりそれだけ木下さんご本人が往復しないとなかなか日本とドイツの部隊を情報面その他で同じレベルに保てない、ということなのでしょうか?
「そうです。TMGでのポジションは副社長なのですが、それは技術を束ねないといけない、それから、技術に関わるすべての決裁を行わなければいけないわけです。ですから私自身が現地へ赴き、意思決定しなくてはなりません」

日本とドイツの足並みをそろえるために
●しかしその辺を束ねなければいけない、という立場の難しさもあるのでは、と思います。
「日本側の開発能力が去年から非常に上がってきているんですね。たとえば数値の計算なら、TMGよりも日本のほうが処理能力は高くなっています(※東富士研究所での開発のため、処理能力の高いスーパーコンピュータを豊田市本社に設置)。

日本の部隊は先行開発をしているわけですが、そのラインがずれてしまうと非常にもったいないわけです。だからそのラインを常にひとつにあわせるために、誰かが状況を見ていなければならないのです。去年もテレビ会議は導入していましたが、1週間に1回のテレビ会議では1週間分のズレが生じてしまうわけです。しかし、毎日の会議は不可能。そうなると、ひとりの人間が管理していった方が、お互いの情報共有や、そのタイムラグを少なくしていけると考えます」

●東富士の研究所に勤務されている方はみなさん日本人なのですか?
「ほとんどそうですね。しかし、日系の外国籍の人もいます。それは空力のスタッフなのですが、本当に空力を極めるとなると、実は本場はアメリカなのです。特に空力の計算では。つまりアメリカには大規模な宇宙産業があるわけですが、そのレベルのものは実物を用いて実験ができないわけです。その実験できない領域を計算でシミュレーションする事がアメリカは非常に進んでいます。そのような理由から、アメリカで修行をつんだ日系人も東富士で働いていますね」

●ケルンのほうへ、日本人の空力専門の方が派遣されているのでしょうか?
「はい。派遣されています。ドイツでは風洞を24時間体勢の3シフトで稼働させています。その内ひとつの実験部隊のリーダーは日本人です」

●空力を含め、TMGには全体で何名くらい日本人スタッフがいらっしゃるのでしょう?
「約30名です」

●一番初めはドイツ行きを希望する人を立候補で募ったと伺いました。
「そうです。第1陣でドイツへ送り込んだのはエンジン開発担当が主体でした。去年はその第一陣スタッフの帰国ラッシュでした。その後の第二陣は、車体スタッフがメインになります。今後は車体のほうへ派遣する人材をシフトしていくと思います」

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